渦潮の女怪 ― カリュブディス | 無人のモグハウスで発見された手記

渦潮の女怪 ― カリュブディス

本日のお題は、オデュッセイアからの出典、地中海に棲む海難の女怪“カリュブディス”です。


このカリュブディスは、地中海はシシリア沿岸、その近海で最も幅の狭いメッシーナ海峡に、同じく航海の脅威たる魔獣スキュラ(上半身は美しいニンフ、下半身は六つの魔犬の頭と十二の脚という魔物です)と対峙する格好で出現します。


その姿ははっきりと描写されたものがなく、イマイチ漠然としているのですが、日に三度海水を吸い込み、それを吐き出す事で渦潮を作り出す怪物(そのまんま、渦潮の擬人化されたものです)だったようです。


カリュブディスは、元々は海神ポセイドンと、大地母神ガイアの間に生まれた女神の一柱だったのですが、彼女は度を外れた健啖家(早い話が「超」のつく大食らい)でした。


ある時彼女は、英雄ヘラクレスが連れていた牛(ヘラクレスの十二の偉業の十番目、ゲリュオンの牛です)を盗んで、それを食べてしまいます。
その目に余る食い意地はついには大神ゼウスの不興を買うことになり、カリュブディスはゼウスの雷霆に打たれて海へ落ち、そして怪物化してしまったのです。


さて、このカリュブディスがオデュッセイアに登場するのは、彼らがセイレーン の棲む海域を抜けた先の事です。


オデュッセウスは、スキュラとカリュブディスが向かい合っているメッシーナ海峡を抜けなければならないのですが、彼の乗る船体はかなり大きなものだったため、彼女らの間をすり抜けることが出来ず、どうしてもそのいずれかの支配海域へ踏み込んで通り抜けなければなりません。


オデュッセウスは苦慮の末に、カリュブディスを回避し、スキュラの海域を進む事を決断します。
何故なら、カリュブディスは大渦の怪物であるために、一度に船を丸ごと飲み込んでしまいますが、スキュラはその首の数ずつしか襲う事が出来ないからです。


こうしてオデュッセウスは、六人の乗組員の犠牲を出しながらではありますが、メッシーナ海峡を抜ける事に成功したのです。


FFXIにおけるカリュブディスは、海蛇の岩窟に出現する、片手剣ジュワユース をドロップするSea Monk族NM、俗に言う「ジュワタコ」ことCharybdisとして登場します。


攻撃回数が極端に多い(1~8回攻撃)モンスターで、盾を張るのが詩人の援護を受けた忍者かシーフでもない限り、大苦戦は必至です(…というか、まず勝てないでしょうね)。