3:可塑剤・難燃剤等による室内空気汚染の実態とその曝露量評価 | 化学物質過敏症 runのブログ

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7) ペルメトリン7,8)
ペルメトリンはピレスロイド系の殺虫剤で,野菜,果樹,花卉の害虫駆除に使用される.その他にはハエ,蚊,ゴキブリ用のエアゾール剤やダニ用のくん煙剤として家庭で使用されることも多い.ペルメトリンは昆虫に対して神経毒として作用するが,近年、EPAは人に対する発ガン性の恐れを指摘しており31),また、内分泌かく乱作用についても報告がある32).
調査の結果,室内空気及び外気から検出され,最大値はオフィスビルで検出された(37.9 ng/m3).
8) フェノブカルブ8)
フェノブカルブは,BPMCの名称でも知られるカーバメート系の殺虫剤で,稲のウンカ,ツマグロヨコバイ駆除の他,住宅の防蟻処理にも使用される.コリンエステラーゼ阻害作用により殺虫効果を発揮し,有機リン系殺虫剤との複合剤として使用されることも多い.
調査の結果,住宅室内空気及び外気から検出され,最大値は住宅において検出された(8.1 ng/m3).

厚生労働省から示されている室内濃度の指針値(33 µg/m3)を越える濃度は検出されなかった.
9) DDT類8)
DDTは有機塩素系の殺虫剤で,1948年に農薬登録され,稲,野菜,果樹等の農薬として使用された33).

しかし1971年に農薬や家庭用殺虫剤としての販売が禁止された後は木材のシロアリ駆除剤として使用され,1981年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)により第一種特定化学物質に指定されるまでその使用が続いた33).
調査の結果,o, p’-DDT及びp, p’-DDTは,室内空気及び外気のいずれからも検出されなかった.
10) クロルデン類8)
クロルデンは有機塩素系殺虫剤で,1950年に農薬登録され,稲,野菜等の農薬として使用された.

1968年に農薬登録が失効したが,その後にシロアリ駆除剤としての使用量の伸びが著しく,建材用木材への塗布,合板接着剤への添加,土台木材への注入,敷地土壌への注入処理剤として多用された.

しかし,1986年には化審法により第一種特定化学物質に指定され,製造・販売・使用が禁止された33).
調査対象4物質のうち,室内住宅からは,trans-クロルデン,cis-クロルデン,trans-ノナクロルの3物質が検出され,オフィスビルからはいずれの物質も検出されなかった.

外気からはtrans-クロルデンのみが検出された.cis-ノナクロルは検出されなかった.

最も濃度が高かったのは,住宅におけるtrans-クロルデン:9.6 ng/m3であった.
11) 各物質の濃度比較
住宅及びオフィスビルの室内空気から検出されたSVOC40物質の濃度の比較をFig.1に示す.

図中の線は,上限が最大値,下限が最小値を示し,線上の点は室内濃度中央値を表す.

なお室内濃度中央値は住宅及びオフィスビル濃度中央値の平均を表す.検出されたSVOCのうち中央値が高かった上位5物質は,DnBP(578 ng/m3),DEHP(283 ng/m3),DEP(81.5 ng/m3),4-NP(53.2 ng/m3),DMP(47.9 ng/m3)の順で,5物質中4物質がフタル酸エステル類であった.

また,最大値が高かった上位5物質は,TCIPP(住宅:14.2µg/m3),DnBP(住宅:7.2 µg/m3),DMP(住宅:6.3 µg/m3),DEHP(住宅:2.4 µg/m3),フェニトロチオン(オフィスビル:1.5 µg/m3)であった.

TCIPP及びフェニトロチオンについては,中央値はそれぞれ9.6 ng/m3,0.80 ng/m3と低かったが,場合によっては高濃度になるケースがあることが確認された.