Eさんのお子さんは、障害を持って生まれて来た。
妊娠中に障害がわかったが、
生むことを選んで、
育児に取り組むEさんへのインタビュー。
Eさんへのインタビュー
堀江「こんにちは。
今日はよろしくお願いします。」
Eさん「よろしくお願いします」
堀江「ようやく外出したりできるようになったそうですね」
Eさん「そうなんです。
外出できるようになったのは、
3月終わりくらいからなんです。
親に手伝ってもらえるようになったので。
生まれてから1歳半くらいまでは、
ずーっとつきっきりでした。
最初の半年は、
NICU(新生児集中治療室)に入っていたので、
1日に1~2時間くらい会うことしか出来なかったんですけど、
私も初めての子供だったし気になるので、
家から大学病院に通ってました。
半年たってNICUから病棟に移ると逆に、
付き添わないといけないよーって、
看護師さんに言われました。
在宅を目指していたので、
それもあって看護師さんがいわれたんでしょうけど。
堀江「今は入院生活が続いているこどもさんを
将来的には自宅に連れて帰る予定で、
その方向に入っているんでしたよね」
Eさん「時期的なことや、呼吸器をつけていることで、
すぐに連れて帰ることができないんです。
私は普通に勤めていたんですけど、
私一人でケアのすべてが出来るわけでないので、
看護師さんとか地域のお医者さんとか、
バックアップ体制を整えてから出ないと無理なので。」
堀江「実際そういう体制はどうなんですか?」
Eさん「やっぱり、
個人の開業医さんで見てもらえる先生が少ないんです。
たまたまある先生に、
よかったら診てあげるよって言ってもらえました。
赤ひげ先生みたいな先生なんです。」
堀江「障害児の支援医療が、
個人の先生の努力に大きく依存してるんですね・・・。
先生を探したり、
支援体制を組んだりっていうのは自分でしなくちゃいけないんですか?」
Eさん「全部病院のソーシャルワーカーさんが手配してくれます。
保健所とか市役所とかと、
連絡を取ってくれたりして。
段取りは全部ソーシャルワーカーさんがしてくれるんで、
助かります。」
堀江「金銭的な面とかも大変じゃないんですか?」
Eさん「いまは乳幼児医療があるので、
医療費自体は無料で食費ぐらいです。
ただ、1ヶ月とか半年とか決まってればいいんですけど、
先が見えない状態で、
私も今までは仕事をしていたのが、
勤めれないし、
こどもにもお金がかかるし・・・。
身障者手帳は持っていて、
療育手帳もあって、
扶養している親に出るお金、
本人に出るお金もあるけど、賄いきれなくて・・・。
助成とかはあるんだけど、
そういったのはソーシャルワーカーさんがアドバイスしてくれます。」
堀江「心理的な負担や肉体的負担もありますけど、
金銭的な不安も大きいですよね」
Eさん「そうなんです。
金銭的な心配はイライラというか、不安を増すだけなので・・」
妊娠6ヶ月の時に障害がわかった
堀江「うちに初めて来られたのっていつでしたっけ?」
Eさん「行きだして半年くらいかな、
1回妊娠したけど流産して、
今の子は堀江さんところに通いだして
1年くらいたってるのかな。
流産したあとに半年くらいかかっているので。」
堀江「そうでしたよね。
流産もされましたもんね・・・」
Eさん「そうなんです・・・。
流産とかもあったから、
余計に堕ろしたくないのもあったし、
流産で掻爬するときの嫌な感じもあったし。
ああいうことをするんだと思うと・・・
しかも生きているのに、
元気なのに、と思うと余計に。」
堀江「障害があることは、
いつ頃わかったんですか?」
Eさん「妊娠して6ヶ月の頃にエコーでわかったんです。
赤ちゃんの身長って大腿骨の骨を測るんです。
大腿骨の骨の長さと、
お腹まわりの大きさの比率が全然合わなくって。
普通の子と比べて合わないって。
骨がすごい短いって、
伸びてないっていう話になって。
そこから先生が色々調べられて、
当てはまる病気はコレじゃないかっていう話になって。
ただ、それは実際に生まれてみて、
遺伝子検査をしないと断定はできないって言われたんです。」
堀江「最初から大学病院だったんですか?」
Eさん「最初は違ったんですけど、
大学病院を紹介されて。
産科の先生に見てもらったときに、
先天的に異常がある子っていうのは、
他にもいろいろな疾患がある場合も多いから、
ちゃんと調べたほうがいいって言われて。
6ヶ月でわかって、
2週間に1回くらいのペースで診てもらってました。
妊娠9ヶ月目からは入院してくださいって言われたんです。
こどもに先天的な病気があると
羊水が多くなっちゃうことがよくあるんですって、
そうなると早産のリスクも高くなっちゃうんで。
あんまり早く生まれちゃうと、
いろなところが未熟なまま生まれちゃうから、
なるべく正期産がいいからって言われて。
管理入院みたいな感じでした」
堀江「じゃあ、最終的には正期産で?」
Eさん「そうですね。
37週で産んだのかな?
だからもう普通に産んでも大丈夫で。」
障害がわかった時
堀江「6ヶ月で障害がわかって、
どういうふうなお話になるんですか?」
Eさん「最初は病名とかは言われずに・・・、
ちょっとご主人とゆっくり話しましょうと。
で、主人と一緒に話を聞きに行って、
その時にちゃんとした病名というか、
たぶんこれだと思うって言われて。
もし堕ろすんだったら、
中絶をするんだったら、
法律的にあと2週間くらいしか猶予がないって。
その先生も、
前にも同じような病気の子を見たことがあって、
その子は危ないかもしれないよって話だったけど、
生まれてからも障害はあるけども
元気で暮らしてるって。
ただでも、個人差があるからなんとも言えないし、
ご夫婦で話し合って決めてくださいって」
堀江「実際に障害があるってことはわかっても、
具体的にどの程度かって全くわからないんですよね。
結果的に障害があっても健康に育つかもしれないし、
わからない状態でどうしますかってことになるんですね。。。」
Eさん「そうなんです。
ダウン症とかだと、
エコーとかで顔つきでわかるそうなんですよ。
うちの子は、ダウン症じゃないねって言われて。
ただ、そういう障害をもってるってわかっても、
軽度か重度かっていうのは、
先生たちもエコーでは診断できない。
うちの子と同じ病気を持ってても、
生まれてすぐに亡くなる子もいれば、
二十歳くらいまで生きてらっしゃる子供さんもいらっしゃるんです。
その子は病院にずっといるみたいんなんですけど。
ホントにわかんないし、個人差が大きくて。」
堀江「病名ってついてるんですか?
差し支えなければ教えていただけますか?」
Eさん「病名はあります。
致死性骨異形成症っていうんです。
ちょっと前は、人工呼吸器の管理が難しくて、
生まれてもすぐに亡くなる子や、
おなかの中で亡くなる子が多かったそうなんです。
いまはすぐに口から管を入れて、
人工呼吸の管理が出来る病院が増えたので、
やっと最近、
長期生存してらっしゃる子供さんが増えたらしくて、
だからやっと最近、
病気について詳しくわかりはじめたんです。」
堀江「そうか、呼吸器の管理ができないと
命に関わるから生存期間が短かったんですね。
そうなると病気についてわからないことがいっぱいあるんですね」
Eさん「そうなんですよ。
亡くなった時の検死とかでどこに異常があるとかはわかっても、
実際に生きてて、どういう病気になりやすいとか、
あとから合併症になるとか、
そういうことがわからなかった。
実際に、
今日本全国で生きてらっしゃる子供さんも
治療が手探り状態みたいで。
頻度としては3万人~5万人に1人くらいみたいで、
そんなに珍しい病気ではないみたいなんです。
ただ、亡くなる方が多いから報告例も少ないみたいで。」
堀江「原因は、偶然というかたまたまなんですよね」
Eさん「そうなんです。
親に何かの原因があるわけではなくて、
ダウン症と同じで、
たまたま誰でもなる可能性があると。
だから私もブログを始めてから、
「うちの子も実は・・・」みたいなメッセージがあって、
多いんだなって思いました。」
堀江「すごいですね、ネット。」
Eさん「すごいです。
絶対に昔だったらお互いのことは知らないし、
連絡も取れないですもんね。
ある意味、先生よりも情報があったりします。
個人差があるとは言っても、
「他の子供さんはこういう感じだたみたいですよ」とか言うと、
先生も「そうなんですか」って。
もちろん、それを100%鵜呑みにはされませんけど、
ひとつの情報として。」
つづく
↓ ↓
「障害があることに向き合って(中編)」