おそらく子どもに関わる人々、教師や医者、

すべての人々がもう認識しつつあるかもしれない。


友人の妻が、おそらくはこのゲームやネットの

重度の依存症になっている。


友人もとても悩んでいたために、

この本の一読を勧めた。

今、購入して読んでいる最中らしい。


自分も現場で子どもたちと接しながら、

その影響を毎年、驚きながら実感している。


親の世代がすでに罹患してしまっているので、

この脳内汚染の脅威は、関係者しか分からないかもしれない。


しかし、もはや水面下ではなく、

浮かび上がり、社会問題化となっているといっていい。


教師よりも一応は、子どもたちに身近に存在するものにとって、

実感できる今、そこにある恐怖なのである。


例えば、ある子供についていろいろと考えていて、

それが煮詰まり、その家庭に電話することがよくあるが、

その際、音が漏れている。


なんの音かといえば、Tvの音なのである。

電話中ですら、Tvを消すことができない家庭が

今、ほとんどになってしまった気がする。


これも慣れてしまったので、別段何とも思わないが、

学校の先生などから電話があった場合、

ちゃんとTvは消して、お話をするのだろうか。


塾屋などは軽く見られていることが多いので、

仕方がないけれど、親密な友人とお話しするのでなければ、

Tvをつけながら、他者とコミュニケートするということは、

あなたのおっしゃることは、私には受け入れる余地がない、

という意思表示にほかならないような気がしないでもない。




姉の子どもは、既にゲームからは隔離したが、

いまだTvは見せてしまっているようである。


願わくは、活字媒体のみに触れる状況になってほしいが

メディアが溢れ帰る現在、そうもいかない。


実家に帰り、姉の子どもに接するたびに、

その危険性を指摘してきた。


まだ、話せば分かり、自分の持つ恐怖が、

彼らに伝染するために、理解できるようだ。


自分の周囲は、なんとか食い止めたいものだと思う。


これは、一人一人がその危険性を認識し、

取り組まなければ、自分の周囲だけでも守りきれない。


著者がおっしゃることは全て深く頷くところばかりで、

ただただおろおろしてしまうばかりだ。


最近の子どもたちの口の悪さは、目に余るが、

それもTvを中心とした世界観の中に脳を浸していると

考えれば合点がいく。


Tvが入ってこなかった地域を取り上げ、

入ってくる前と後の調査が、なされた例が書かれていたが、

暴力行為が2.6倍に跳ね上がり、

一番影響が出たのは、小さな子どもたちからであったという。


口が悪くなり、高い攻撃性を見につけてしまうといった

現象がもろに子どもたちに現れたらしい。


Tvですらそうなのに、ゲーム・ネット・携帯などが加われば、

身の毛がよだつ。


しかし、確かに現在進行形のことであると断言できる。



活字に親しむためには、先にTvを中心とした、

映像メディアに触れさせてはいけない。


活字を読み、情報を取り込んだり、活字情報の中で、

空想を膨らましたり、それを元に自分で考えたり、

こんな作業には、カナリの時間を要する。


子どもが活字にふれるために、必要なことは

前に↓に書いたが、学びには何事も段階がいる。
http://ameblo.jp/crio85461729/theme7-10002306196.html


一足飛びに超えてしまう子もいるが、

そんな例外は勝手に伸びていくので、

ほっておいてよい。


母親や周囲からの読み聞かせ、

そしてひらがなを覚えて、音読を聞いてあげる。


そんなちまちました作業をしながら、

車や自転車で道行く最中、看板などを指差して、

「アレ、なんて書いてあるの?」

などといった日常の中の学びをいれていく。


そしてだんだんと黙読ができるようになり、

辞書なんて引いていたら、本なんて読んでいられないから、

これなんて意味?とかどう読むの?なんて質問には、

さっさと応えてやりながら、習慣化させてゆく。


この読書の習慣化さえ、一度やってしまえば、

もう後は、勝手に興味があるものを読んでいく。


冒険もの、推理小説、なんでもいい。



このめんどくさい作業がいま全て省かれて、

子どもがTvメディアを母親代わりに育ち、ゲームでハイになり、

ネットで中身にのない自分を表現したりする。


50分間のゲームで、覚せい剤を静脈注射したのと

同じドーパミンが脳内に放出されるという。


特に、ゲームは、見えない覚せい剤である。

このことをちゃんと認識していないと、

今、現場で起きていることの混乱に対処できない。


前著「脳内汚染」から進み、著者もつ差し迫る危機感が

共有できる本である。


子育て世代のみならず、日本人全てが

共有すべき知識であると感じる。


メディア自体を毒のように扱ってしまっているので、

Tvメディアを主体として、その危機を声高に

世間に広めることが出来ないのは、

公害などとは大きく違い、そこが怖い。



しかし、科学的見地から実証主義的に、

明らかにされつつある問題であるがゆえに、

明らかにされてしまえばしまうほど、

後戻りのできない事象となることは疑いようがない。



つまり、メディア論を大きく塗り替えて、

映像メディア論と活字媒体を軸としたメディア論、

もちろん新聞は活字媒体としてはあまりに雑で

一次情報以外、意味合いを持たないだろうが、

新しいメディアのあり方が、近いうちに確立されるかもしれない。



ただ、脳が汚染されてしまっては、

依存症のようなものから脱却することは

時間がかかることは明白で、

その間にも犠牲者は、等比級数的に広がっている。


それも世界各地に、である。



ぜひ、全ての人に読んでいただきたい一冊である。


現場で起きていることのいくつかの問題点は、

氷解するとことが多いと思われる。