8月の海南発自分を鍛える企画。 | とんぼ玉 ころん。ココロンコ   うさかなのブログ

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まったりと。。。

グラスタウンさまで毎月行われている『海南発自分を鍛える企画展』。


グラスタウンさまHP

http://town.wcs.jp/


今月のお題は「浮く」でした。


今月も無事に鍛えることができましたよ~♪

たまとおはなしを楽しんでいただけるととても嬉しいです。




『浮く ~浮世で宴~ 』



「タマや、支度はできているかね?


 むかえの馬がきているぞ」



今年も爺さんと一緒に里帰り。


馬に乗ってひとっ走りすると


そこは婆さんが待っている懐かしい家。







「ただいま。


おお、婆さん元気そうでよかった」


爺さんは目を細めた。



なつかしい家ではご馳走やお酒がたくさん用意されて


爺さんの兄弟たちが集まっている。


息子と息子の嫁さんと小さな孫ふたりもやってきて、


おなかが空いたという孫たちの声で宴がはじまった。





さて。


こちら側のお客?も賑やかなもので



爺さんの父さんと母さん


爺さんの兄弟


爺さんの爺さんと婆さん


爺さんの爺さんの父さんと母さん


それから犬や猫や鳥たち……


とにかく、大勢がふわふわと浮いている。






浮世の人たちも


浮世から離れた人たちも


みな楽しそうに語らいながら酒を飲み、ご馳走をいただいた。



あっという間に二晩が過ぎ、


爺さんの兄弟や、息子一家はそれぞれの家に帰っていった。






三日目の夕日が沈むころ


爺さんは、盆棚に手を合わせる婆さんに語りかけた。



「なあ、婆さん。


おれは毎日タマと笑ってのんびり過ごしているよ。


こっちの暮らしもわるくはない。


だがね、婆さんはもうしばらくそっちでがんばれや。


どうしてものときは迎えにいくから」




「さあ、そろそろ送ろうかね。


爺さん、また来年も待っているよ」



婆さんは小豆の俵おにぎりを用意すると


家の前で火を焚き


空を見上げた。








そんなおはなし。