イギリスに居た頃、私が一年でクリスマスより楽しみにしていたのがイースター(復活祭)でした。


クリスマスってプレゼントとご馳走だけで、あとはなんも特別なことがない。プレゼントも欲しくないものもらったり(笑)、電車もバスも全面休止、店もみな閉まります。それに反しイースターは、プレゼントもご馳走もないけど、寒く暗い冬の終わり、春の訪れを実感できるのが嬉しかった。


イースターは変動カレンダー。今年は4月8日の日曜日がその日です。前々日の金曜日(グッドフライデー)に処刑されたキリスト様が復活したことを祝う日です。


そのキリスト様が処刑されたグッドフライデーに、イギリス人は必ずこのパンをミルクティーと共に食べます。


ホットクロスバンス2011

和・美・Savvy Cooking

イースター前のイギリスのスーパーではどこでも、大小さまざまな卵の形をしたチョコレートと、このホットクロスバンズと呼ぶ十字架の飾りがついたレーズンパンがところ狭しと並んでいます。


焼きたてほやほやを、または冷めたらオーブンかレンジで温め直し、横2つに割ってバターをたっぷり塗り、熱いミルクティーと共に食べるのがイギリスの春の味なんすよ!


うちは夫婦してクリスチャンではないですが、クリスマス同様、イギリスでは宗教の域を超えたイベント日となっているイースターには、やっぱこれを食べないと春が来た気がしません。


世界中どこに住んでも、お互いの伝統や文化を何時までも大切にしたいと思っている私は、イギリスを去り市販のものが買えなくなった今、旦那にこれを食べさせて上げたくて、毎年自分でホットクロスバンズを焼く様になりました。


今年は一足先に焼きました。しかも今年のホットクロスバンズは、恐らくこれまで私が焼いたものの中で、一等美味しい豪華版のホットクロスバンズです。


何が豪華なのか...?


まず、フルーツです。通常はレーズンだけのところを、今年はレーズンプラスドライミックスフルーツを加えて生地を捏ねてみました。

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アメリカって面白い国で、ピールやグラッセチェリーってのは、感謝祭やクリスマスの時季にしかスーパーで見かけないんですよ。


賞味期限がかなり先まであるし、なもんで、去年の暮れ、思い切ってレモンピール、オレンジピール、グラッセチェリー、クリスタルジンジャーを買い占めて置きました。それらを各20gと、レーズンとサルタナ各30gを使うことにしました。


グラッセチェリーとクリスタルジンジャーは細かく刻み、そのほかのドライフルーツと共に耐熱容器に入れ、大さじ2のラム酒を振ってレンジでチンして柔らかくしておきました。

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生地は例年通りこのレシピの生地 を使用。但し今年は薄力粉ではなく、オールパーポスと言うアメリカで一般に使われている小麦粉を使用。この粉は英プレインフラワーに同じで、日本の中力粉に似た粉です。強力粉と薄力粉半々に合わせれば似た粉になります。


ホームベーカリーのレーズンパン生地コースを選択。出来上がった生地は打粉をした台の上でガス抜きしてしばらくベンチタイム。

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その後12個に分けて丸め、濡れぶきんかサラダ油を塗ったラップを被せ、温かいところで40~50分2次発酵させます。

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さて、豪華版のもう1つの特徴は、ホットクロスバンズの表面に飾る十字架です。


ここ数年はアイシングで十字模様を入れてきましたが、今年はふと、メロンパンのクッキー生地風のもので十字を作ってみてはどうやろうか...とひらめき実行に移しました。


薄力粉(60g)に粉砂糖(20g)と塩ひとつまみを加えよく混ぜ合わせ、そこに無塩バター(30g)の角切りを加え、ペイストリーブレンダーが指で粉にすり込み、レモン汁(小さじ1程度)と水(適宜)加えて生地をひとまとめにし、冷蔵庫で30分くらい休ませておきました。


このクッキー生地を薄く細長い長方形に延ばし、発酵したバンズの大きさに合わせ、幅1cm程度の24本の帯に切り分けます。溶き卵をのり代わりに薄く帯に塗って、バンズの上に十字なるように2本ずつ貼り付けます。

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残った溶き卵をバンズとクッキー生地全体に塗り、190度のオーブンで17~18分焼きました。(私の使っているオーブンはかなり火力が強いので、以前のレシピでは220度設定にしていますが、今回は温度をかなり下げて焼きました。

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7、8分もするといい色に焼け始めます。シーちゃんとベイDASH!に邪魔され、クッキー生地が薄くなりすぎた為にところどころ切れたりしていますが、これはこれでホームメイドの良いところ。とっても美味しそうです!

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ちょうど焼きあがったところにやって来た旦那に1個上げました。その食べる姿があんま美味しそうなので、私も焼きたてを1個味見することに。

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こりは、旨い!最高に旨い豪華版ホットクロスバンス!自分で言うのもおこがましいが、これに勝るホットクロスバンズはないと自負しとります。(笑)


シンプルに小麦粉と砂糖を水で溶いた生地の十字は、正直、それを取り除いて食べないと美味しくない!バニラアイシングは香りが良いけれど、それもちょっと飽きてきたところ。メロンパンのクッキー風の生地で十字を作ると、サクサクしてて実に美味しい!


いろんなフルーツが入っているところも、イベントに食べるパンらしくワクワクして楽しい!


ちなみに私のレシピのホットクロスバンズは、甘いものが嫌いな私には珍しく甘めです。特にミックスフルーツを入れ、クッキー生地で十字を作ったバンズは、更に甘く感じるかもしれません。


でも、私はこれでよいと思っています。予想通りの上出来バンズだと満足しています。


苦いものが人生の苦なら、甘いものは人生の楽。キリスト様が“死”と言う苦を克服し復活されたことを祝うお祭りのパンです。思いっきり甘いパンにするのが当然でしょう!

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