住宅が密集し、庭のない家やマンション住まいの家庭が多い日本では、BBQはは何かの屋外イベントの時くらいしか楽しめませんが、家と同サイズまたはその倍も3倍もの庭がある英国や米国では、お家BBQが盛んです。


特に米国では、近年になり抗生物質やホルモン剤、遺伝子組み換えの問題が騒がれだしたものの、国民が飢えないよう食べ物が安くで買えるようにして来た国だけに食肉も安く、だからBBQは英国より更に盛んなようです。


BBQとなると、普段キッチンに立ったりしない男達でも、なぜか指揮を取りたがる!うちの旦那もそうです。ほぼ毎日晩御飯を作るのは私の役目ですが、私はただの一度もBBQで肉やバーガーを焼かしてもらったことがない!

和・美・Savvy Cooking

なぜ、世の男達がBBQの指揮を取りたがるのか、その理由を旦那に聞くと、薪をくべ火を起こし肉を焼くと、手や顔や洋服が汚れるので女性はしたがらない。そのお役目は男達に回ってくるので、当然BBQのコツってのを心がけている。


その男達が仮にBBQでしくじって肉を焦がしても、BBQの火とは縁の薄い女性は、こんなもんなんだと言われれば、あぁ、BBQってこんなものかと納得するので、真っ黒こげの肉でも、男たちはとりあえず自分の腕を自慢できるからだろうと言うとりました。(爆)


否、私そうではなくて、男ってのはみな子供の頃から大人になっても、BBQを含むいろんな“火遊び”が好きなだけなんだと思う。(爆)だって旦那は、BBQだけじゃなく暖炉の薪も、絶対に自分でくべないと納得しない人だから。


キャンプに行くことが決まり食事のメニューを考える段になると、大きな鍋でカレーを作り、4日間に分けて食べれば良いと言う私に、旦那は不機嫌になりとうとう、“BBQがしたいんやぁ!BBQせんでキャンプと言えるか!”と怒り出しました。(爆)


“火遊び”したがる旦那に従わざるを得なく、はいはい、準備しましたとも。しこたまの肉を!(爆)


しかし、よもやそのしたしこたまの肉をBBQするのに、波乱万丈色々な問題に直面するとは、二人とも想像すらしませんでした。


まずはグレイシャーキャンプグラウンドに到着した夜のBBQからご紹介です!


ファヒーター

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うちはまだ家を買っていない。だから、キャンプ道具だけじゃなくBBQ道具もないんです。BBQをするという旦那の希望を叶えるには、キャンプ用具だけじゃなく、最低限のBBQ用品だって準備せねばなりませんでした。


そんな中、買ったものの1つがキャストアイアン(鋳鉄)のプレート。お好み焼きやのプレートのミニ版です。このプレートをBBQの鉄板の上に載せ、朝食の卵やベーコンを焼く計画をしていました。


肉を仕入れに行くと、見掛け倒しでも柔らかそうな細切りの牛肉が売っていて、それを買い、同様にしてキャストアイアンのプレートを使い、BBQでファヒータをすることにもなりました。


マリネ液も、テキーラをミニボトルに小分けし、スパイスを調合して包み、現地でコリアンダーを刻みライムを搾ったら良いだけに準備万端整えました。


ところが、キャンプグラウンドに行くやいなや、私ら夫婦は自分達の大きな誤解に気づき、キャストアイアンのプレートをBBQで使えないことを知ったのでした。


BBQがあることは前もって知っていました。けど、どんなBBQなのかを確認しもせず、勝手に、BBQエリアがあり、そこにホームセンターで売っている大型BBQが設置されていて、空いてさえいれば使わせてもらえるものと思い込んでいたのです。


大型BBQで肉を焼くのに、網の上に載せれば前回焼いた肉や魚の臭いが移らず、同時に自分たちが焼いた後のお掃除も捨てれば済みって言う、アルミフォイル製の網まで準備して行ったのに、大きな計算違い!


キャンプグラウンドにあったBBQは、各サイトのテントの前に設けられた、六角形の鉄板で囲んだ焚き火用のホール!(爆)キャストアイアンプのレートを鉄板の囲いの上に直接載せようとしても、鉄板の2倍以上の幅があるので載せられない。


あわてて近所の店に鉄板の囲いのサイズに合うものを探しに行きました。そして同じくキャストアイアン製の折りたたみの脚付き網を買いました。鉄板の囲いの左右に伸ばした脚が載せられるはずだったのに、その幅は脚の幅よりまだはるかに大きかった!(苦笑)


もう私はすっかり諦め、お湯を沸かすのに準備して行った、カセットコンロでファヒータをするつもりになっているのに、“火遊び”好きの旦那はなんとかBBQでファヒータをしようとして諦めない。


BBQの燃料に炭を準備していたら、キャストアイアン製の脚付き網だから、ホールの中に直接突っ込み網の下で火を燃やすこともできたのですが、アホな夫婦は考えもなく、先に大量の薪を買ったもんでそれも無理。


おまけに、買った薪は湿っていたのか、火付け用の燃料をボトル1本丸ごと使っても火が起こせない!(爆)なのに旦那は1時間くらい、諦めもせず真っ黒になりながら火を起こすのに苦労しました。


最終的に疲れきった旦那。私のアイデアを採用し、買ってきた網をカセットコンロの上に立てて、その上にキャストアイアンのプレートを載せ、ジュージューと肉やたまねぎ、パプリカを焼きファヒータとなりました。(滝汗)


アイスボックスは6日間保冷のものを買ったけど、蓋を盛んに開け閉めすると保冷度が落ちるので、サラダや野菜はあらかじめ献立に応じ1回分ずつをジプロックに入れて保冷しました。


悪戦苦闘中の旦那を待っている間、小分けしたジプロックからサルサ用に準備したパックを取り出し、ちまちま私はサルサを作りました。ワカモレは出発前に家で作って行ったもの。トルティーヤは市販のものです。でも、結果的になんとかさまになったファヒータの夕食でした。

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ファヒータのレシピはこちら から...

BBQに悪戦苦闘した旦那と私。ファヒータをたらふく食って、ビール数本に白ワイン2本空けたら、前夜の寝不足でくたくたに疲れ、早めにテントに入り朝までぐっすり熟睡。


そして次の朝。炭を買うまではさすがにBBQは諦めた旦那。フライパンを取り出し、カセットコンロの上で朝食作りを始めました。


ベーコン&エッグ

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油を引かずにベーコンをカリカリに焼き、そのベーコンの脂で卵をオーバーイージー(目玉焼きの上下を返し黄身の面も数秒焼くアメリカンな焼き方)に焼き、ホームベーカリーで焼いたマルチグレインブレッド と共にいただきました。


卵料理に異常に自信を持っている旦那。この朝もそれを自慢しながら焼いとったんですが、1つの目玉焼きの黄身をつぶしてしまいよりました。(笑)私は確立100%で黄身をつぶせずオーバーイージーが焼けるのに!


旦那の作る朝食は普段から実に旨いんです。それが屋外で食べると更に味がまし最高に美味しかった!


この辺り、熊がでるんですよ!これ冗談じゃなく、まじ、熊がでるんです!


山道歩いている時、2回ほど熊のうんちを見ました!(恐)だからテントを空ける時は食べ物を放置するのは禁止。車の中に積んでドライブ観光です。でも、都合良いのは、小腹が空いても食べ物には困らない!この日もドライブの途中、屋外で旦那が準備してくれたスナックで軽いランチを。


プラウマンズランチ

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本格的なプラウマンズランチはこんな 感じです。

チーズにオニオンピクルスとリッツクラッカーだけのシンプルなものですが、イギリス製ヘイワード社のオニオンピクルスは、いつ食べてもやっぱり世界一旨い!シアトルにお住まいの方、QFCでも売っています。試してみてね!


さてさて今回のキャンプ料理の超目玉BBQ、それは2日目の夜に食べたこの肉でございます!


Tボーンの炭火焼ステーキ

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Tボーンとは、T字型の骨に片方はフィレ、もう片方はサーロインがくっ付いた、ステーキ好きにはたまらんステーキの中の王様と呼んでも過言でない骨付きの贅沢な肉なのです。


一時、狂牛病が騒がれた時、イギリスのスーパーやブッチャーから完全に姿を消したTボーン。肉好きはどんだけTボーンが帰ってくる日を心待ちにしたことか!それくらい、ステーキの醍醐味が味わえるステーキです!


1枚の目方が500g位あったのかなぁ...?それで日本円にして千円しないって言うから、硬いだの、ホルモンだの、抗生物質だの言っても、アメリカンビーフは安い!


この日はちゃんと炭を買ってきました。薪より割高ですが、どうしてもこのステーキだけは、夫婦してBBQで食べたかったのです。前日に買ったキャストアイアンの網を焚き火ホールに直接立て、その下で炭を燃やしジュージューミディアムレアーに焼きました。


私はあんまり好きじゃないけれど、旦那が好きなのでコーンを数本持って行きました。ステーキの付け合せに焼くことにしたのはよいものの、網が小さすぎ(てか、肉がでかすぎ爆)、コーンを載せるスペースがない。


で、仕方なく旦那は、家から持って行ったアルミフォイル製の使い捨て網を取り出し、その上でなんとかコーンを焼こうとしたんですが、コーンを焼くどころかたちまちフォイルに着火して、この通り、危うく火事!(爆)

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今回、旦那も初トライで試したことですが、コーンを皮ごと焼きました。すると、外は黒こげでも、中は蒸し焼き状態でジューシー。皮を剥き、好みでソースを塗って再びBBQに戻し焼くと、うぅぅ、旨~~い!是非お試しを。


Tボーンのソースはキャンプに出発する前に作った自家製焼肉のたれ 。スイートコーンにも塗りました。ウマウマのステーキとコーンに、私って料理が上手!と、自画自賛した夜でした。(爆)

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3日目の朝食。ブリティッシュな旦那がフライする朝食は、やっぱこれしかないでしょう!


イングリッシュブレックファスト

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お皿のトップから時計回りに、ベークトビーンズ(缶入り)、マルチグレインブレッド、オーバーイージーに焼いた卵、ベーコン、ソーセー、それにHPのブラウンソースです。


ベーコンはイギリス風のバックベーコンというロースベーコンではないし、ソーセージも保存性を考え生ソーセージではありませんが、これこそがイギリス風クックトブレックファストです!最高!!!


この朝も旦那は自慢しながら卵を焼いていたら、4つ焼いて2つ黄身をつぶしてしまいました。(爆)ちなみにこれはオーバーイージーに焼いた卵ですが、イギリスでは油を黄身にかけながら焼くサニーサイドアップが主流です。


3日目の晩御飯。これが今回一番手こずったBBQでした!(滝汗)


バタフライ丸鶏のハーブバター焼き

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バタフライとは観音開きすること。つまり、お腹の中心を縦割りに開いた丸鶏です。これはBBQで丸鶏を焼く1つの方法で、網の上にバタフライした丸鶏を載せ、蓋をして蒸し焼き状態で焼きます。


私ら夫婦、二人とも大型のBBQがあるものと誤解していたので、ダイナミックに丸鶏を焼く計画を立てたのです。けど、そこにあるのは六角形の焚き火ホール。(苦笑)どうしたもんか、アホな夫婦はない知恵を絞りました。(爆)


で、私がホイルに包んで1時間くらい蒸し焼きし、それから直火で焼くことを提案。旦那も良いアイデアと賛成し、早速その方向でチキンを焼く準備に取り掛かりました。


丸鶏は家でお腹を開いて、余分な脂身や血の塊を取り除き、綺麗に洗ってカチカチに冷凍して持ってゆきました。3日目の夜になっても、アイスボックスの中で保冷されていた丸鶏は、9割しか解けていませんでした。


柔らかくしたバターのバー1本(110g位)に、フレッシュセージ、フレッシュタイム、フレッシュローズマリーのみじん切りと、レモンの皮と汁を混ぜてハーブバターを作り、完全に解凍した丸鶏の皮と身の間にたっぷり押し込み、全体にも塗ってホイルで包みました。


付け合せのジャケットポテトもホイルで包み、共に六角形の焚き火ホールの中に立てた網の上に載せ、10分、20分、30分...と、チキンが蒸さるのを待つアホ夫婦!(爆)

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1時間経ってフォイルを開きナイフを刺して見ると、まだ赤い肉汁が出てきます。もう一度包みなおし更に焼くこと45分。しかしそれでも中からは赤みを帯びた肉汁が...(汗)


結局丸ごとチキンをダイナミックに焼くことを諦め、今度は解体作業!(爆)胸、もも、羽に6等分し、更に更に30分くらい焼きました。7時半には食べれる計算が、食べ始めたのは9時を回っていました。かなりの誤算!(苦笑)


しかし、残ったレモンをきゅっと絞って食べると、これが旨い!待った甲斐がある、Tボーンを超える美味!じゃがいももホクホクで、じゃがいも嫌いの私でも美味しいと思った。残りのコーンはやっぱり焼肉のたれを塗って焼きウマウマ。


苦労しましたが最終的には最高のBBQとなりました。


最終日の朝。BBQと言えばやっぱりバンズが出てこんでは話になりません!前日の朝食に食べた残りのソーセージで、私が準備した朝ごはんはこれです。


ホットドッグ

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焼いたソーセージを、薄くバターを塗ったホットドッグバンズ(市販のもの)にはさみ、マスタードを塗っただけのシンプルなホットドッグ。でも、コーンシロップを含んだ不味いケチャップを塗るより、ポメリーのマスタードだけで食べる方が断然に美味しかった。


長々と綴ってまいりましたが、これが今回私ら夫婦がキャンプ中に食べたものの全てです。


どこへ旅行してもグルメで大食いな夫婦、食事代がかなりかかるんですが(汗)、今回は外で買って食べたものと言うと、ハックルベリーのアイスクリームだけ。あとは全て家から準備していった食料でサバイバルしました。


キャンプなんか大量のカレーを作り、それを毎日温めなおして食えば良いと言っていた私ですが、ショーコちゃんにまたエンゲル係数高いって笑われるけどさぁ(笑)、こうして色々問題にぶつかりながらも、工夫して材料を持ち込みBBQした料理は本当美味しかったです。


毎日、毎日、薪や炭と真っ黒になりながら、汗一杯かいて悪戦苦闘してくれた旦那。おつかれちゃん!ほんでもって、ご馳走さんどした!ドキドキ

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