亡きダイアナ妃がご健在だった頃、小さなウイリアム王子とヘンリー王子をお連れになり、母息子、3人が仲むつまじくしている光景が、テレビや雑誌にお目見えすることがちょくちょくありました。


当時、小学生くらいだったのかな、ウイリアム王子。それが、今月末ご結婚されると言うから、おばちゃんは歳を取るはずです!(滝汗)


私はアメリカに暮していてもやっぱりブリティッシュ派。ウイリアム王子とケイト・ミドルトンさんのウェディングのことは気になる。先日もスーパーでロイヤルウェディングの特集雑誌を見つけ買ってしまいました。


今週の旦那の会社への差し入れは、このロイヤルウェディングを祝し、Very Britishなものを作りました。古くからイギリスに伝わる実に素朴で可愛いタルトです。


ベイクウェルタルト

和・美・Savvy Cooking

英語では、“Bakewell Tart”。“Bake”は「焼く」と言う意味で、“well”には「十分に」「完全に」と言う意味があります。


そんなもんで、昔私はこのタルトの名前は、「しっかり焼き過ぎるところまで焼いたタルト」だから、こう言う名がつけられたのだとばかり思い込んでおったのです。(滝汗)もともと英語は大嫌いな科目で大の苦手だった私。この手の勘違いが多々ある。


炭酸の入っていない水を英語では“still”と呼びますが、スーパーで売っている一番安い水しか買えなかった貧乏な頃、この”still”の表示を、「安くてもこれはミネラルウォーターです。」と言う意味だと思い込んでいました。


“still”には、「~でも」と言う意味もあるので、安くても水道の水ではありません!腐っても鯛!ミネラルウォーターです!と言うことを、消費者に分からせる為につけた表示だとばかり誤解していたんです。(バカ!)


ベイクウェルの名前の謂れは、イギリスにベイクウェルと言う町があり、そこで生まれたタルトだからこの名前がついたのです。


タルトケースの底にラズベリーやストロベリージャムをたっぷり塗り、その上からフランジパンと呼ぶ、ヴィクトリアスポンジケーキの生地の小麦粉をアーモンドの粉にかえて作った生地を詰めて焼いたのが、ベイクウェルタルトです。


冒頭の写真のタルトはどちらもベイクウェルタルト。中身は全く同じです。


後方のタルトは表面にアーモンドスライスを散らして焼き、冷めてから粉砂糖を振ったもので、手前のは焼きあがって冷めてから、アイシングをコーティングしグラッセチェリーを飾ったものです。


この様に大きな型で焼くベイクウェルタルトは、写真後方のアーモンドスライスを散らしたものが一般的です。


アイシングをトッピングしたものは、通常は直径5~6cmの型で焼いた一人用タルト。チェリーベイクウェルタルトと呼び、イギリスのベーカリーではどこでも必ずと言っても過言でないほど見かけます。箱入りも売っています。(参考写真はこちら ...)


うちは、旦那がフランジパンがあんまり好きじゃないので、ベイクウェルタルトは殆ど作りませんが、先日近所の“英国よろず屋”でベイクウェルタルトを見かけ、今週の差し入れに焼くことにしました。


今日ご紹介する私バージョンのベイクウェルは、タルトにもフランジパンにもオレンジの皮を加えた、風味の良いタルトです。また、酒の好きの私らしく、フランジパンにはアマレットも加えています。


タルトさえ焼いてしまえば、後はシンプルな過程で作れるベイクウェルタルト。是非焼いて、濃く淹れた熱いミルクティーと共にお召し上がり下さいまし。


<材料 22.2cm x 2.9cmのアルミフォイル製パイ皿1個分> 

(タルト生地)
小麦粉...250g
塩...1つまみ
無塩バター、冷蔵庫から出したてのもの、角切りにする...125g
グラニュー糖...大さじ2
オレンジの皮...1/2個分(約小さじ1)
卵黄...1個

(フィリング)
ラズベリーまたはストロベリージャム...大さじ3~4
無塩バター...150g
グラニュー糖...150g
全卵...3個
卵黄...1個
オレンジの皮...1/2個分
アマレット...小さじ2
アーモンドミール/フラワー(アーモンドプードル)...150g

(その他)
アーモンドスライス...適宜
粉砂糖...適宜
アイシング...適宜
グラッセチェリー...適宜


<作り方>

1.小麦粉と塩をあわせふるいにかけながら大きめのボールに入れる。バターを加え、指またはペイストリーブレンダーを使って、バターの塊1つ1つを丁寧に潰しながら粉に擦り込み、ボロボロのビスケットのようなそぼろ状にする。

2.1にグラニュー糖、オレンジの皮、卵黄を加える。フォークなどで卵黄を潰しながら粉と混ぜ合わせる。フォークから手にかえ、冷水を適宜加えながら生地を一まとめにする。滑らかな生地になったらフォイルで包み冷蔵庫で30分以上休ませる。

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私はタルトの差し入れの時は、前日に生地を捏ねて冷蔵庫で一晩寝かせています。

3.
台の上に軽く打ち粉(分量外)をし、2を麺棒でパイ型より5~6cm大きい円形に延ばす。生地をパイ型に載せ、手のひらで生地を軽く抑えながら型の内側に貼り付ける。

4.型からはみ出た生地(1cm程度)ははさみで切って整え、フォークで型押したり指で織り込んだり、好みのデザインに仕上げる。底面、側面全体をフォークでブスブス刺して空気穴を作り、冷凍庫に入れ30分以上凍らす。

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5.オーブンを190度で予熱し、焼く準備が整ったら冷凍庫から出したパイ皿を即オーブンに入れ15分焼く。15分経ったら一旦取り出し、フィリングに使う卵の一部を刷毛で底面に塗り、再びオーブンに戻し8分焼く。焼き終わったら型に入れたまま冷ます。

6.5の底に好みのジャムを分厚く塗る。

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7.フランジパンを作る。バターをボウルに入れ電子レンジで20秒程度加熱し柔らかくする。バターのボウルにグラニュー糖を加え電動ミキサーで3~4分混ぜ合わせ、白くふんわりしたバタークリームにする。

8.全卵と卵黄を合わせて溶き、7に徐々に加える。加える度にミキサーでよく混ぜ合わせる。

9.8にオレンジの皮とアマレットを加えスパチュラーで全体に混ぜ合わせたら、最後にアーモンドプードルを加えてさっくりと混ぜ合わせる。

10.6の型に9を注ぎ入れ、180度で予熱を済ませたオーブンで40~45分焼く。アーモンドスライスをトッピングする場合は、焼き始めから20分経過した時点で一旦取り出し、表面にアーモンドを散らし残りの時間を焼く。

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うちにあったアーモンドミールは皮付きアーモンドをひいたもので茶色い。
白いのを買い直して使おうかと思ったけれど、もったいないからこれで堪忍してちょ!(笑)


チェリーベイクウェルタルトに使ったアイシングは、少し固めに作ったこちらのアイシング x2倍です。卵白で作るロイヤルアイシング の方がしっかり固定はされるとは思いますが、どうも卵のにおいが気になり今一好きになれないのです。


アーモンドスライスを散らして焼いたタルトの方は、ケーキが冷めてから粉砂糖をまぶしました。これで今週の差し入れも出来上がりです!

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ところで、最近ではキッシュなんて言うハイカラな料理が流行り、日本の家庭の食卓にも普通に登場するようになりました。それにつき、自宅で生地を捏ねタルトケースを焼く方も増えましたが、タルト生地の焼き縮みで悩んでいる方おりませんでしょうか?


パイ皿やタルト型のサイズに合わせフィリングを作ったのに、前もって焼いたタルトケースが縮んでしまった為、フィリングが残ってしまったと言う問題が私にはよくあります。


型に貼った生地をフォークでブスブス刺し焼く寸前まで凍らせておいたら、多少は縮む割合は少ないんですが、それでもまだ完全とは言えません。パイ用の石など載せてみたって、底面が膨らまないだけでやっぱり縮みます。


ところが、ここで朗報です!


私、最近画期的な隠し技を発見したんです。このベイクウェルタルトのタルトケースは、その隠し技を使って焼いて見ました。結果は写真を見ての通りです。焼き縮みは、なんと99%防げました!

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上のレシピにはその隠し技は書いていません。次回のブログで、どうやったらタルトを焼き縮みさせずに焼くことが出来るかを別途ご紹介いたします。


えっ?こんな単純なことで、生地は縮まないの?ってほど、シンプルな隠し技です。


追記:期待して次回のブログを見に来て下さって、“アサヒさん、知らなんだんはあんただけで、そんなことはもう常識。既に世間の人はみなやっています!”ってことなら、ごめんちゃい。(汗)

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