昨日、私は朝の8時から夕方6時前までずっと料理しっ放しでした。旦那が久しぶりに同僚を招待すると言うので、とびっきりのご馳走を振舞おうと、内助の功ってやつで頑張ったんです。


今回のおもてなしのメインの献立に選んだのは、このヴェリーブリティッシュなお料理です。


本格スコッチブロス

なんでスコッチブロスを選んだかは、写真を撮り英語のレシピを完成させ、旦那の叔母さんに送ってあげたかったから。


10月にイギリス帰省した時、私はこのスコッチブロスを作り旦那の叔母さんに食べさせてあげました。その時、大層気に入って食べてくれたのですが、先日その叔母さんから私宛に手紙が届きました。


手紙の内容は、私のスコッチブロスの味が忘れられなくて、それ以降、本やネットでレシピ検索したそうですが、どうも同じ様なのが見つからないので、手間でもレシピを書いて送って欲しいと言うのです。


そりゃあこのレシピは私のオリジナルレシピだから他に同じものがないのは当然のこと。イギリス人に英国料理を作って、ここまで気に入ってもらったら私も本望。それなら分かりやすく写真付きでレシピを英語で書き送ってあげようと思ったのです。


日本では骨付きの煮込み用ラム肉というのが入手困難なので、同様に作ることは難しいと思いますが、英国料理にはローストビーフ以外にも、こんな手の込んだ美味しいものがあるってことをわかってもらいたいのと、私自身の覚書の目的で記事にします。


このレシピを参考に、スーパーでいつも売れ残って割引きになっているジンギスカン用の肉や、牛すじなどを代用し同じ様な煮込みを作ってみてださい。実に美味しいですよ!


イギリスでは腐るほどラム肉が売っていますが、アメリカもラム肉のバラエティーは日本とあまり大きな違いがありません。よく見かけるフレンチラックという骨付きの肉か、ロースト用の大きな塊くらいしか売っていません。


うちの近所にちょっとお洒落な肉屋があり、そこは大概の肉を売っているのと、なければ取り寄せてくれるので立ち寄ってみたら、ありました、骨付きのラムの首の肉!スコッチブロスを作るのには最適の部位です。

クッキングリッシュの会

イギリス人って、この手の血の気の多い部位や臓物を、一度さっと茹でて綺麗にして使わないんです。いきなり料理に入れます!(爆)キドニーと言う腎臓なんかは、だからかなりアンモニア臭い!


私は大阪人で牛すじをまず湯にさっと通し綺麗にしてから使う習慣があるので、これも一度沸騰している湯の中で洗うようにしながら2~3分転がし綺麗にします。全体に血の気がなくなったらざるに一旦取り出し、鍋も洗剤で綺麗に洗います。

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再び鍋に首肉を戻し、酒100ml(この辺は本格とは言えない日本人的アイデア!笑)+たっぷりの水を張り火にかけます。


沸騰したら火を弱めて蓋をし、ここからは2時間くらいじっくりと柔らかくなるまで煮込みます。牛すじを調理する時も私は同様の手順を踏んで、おでんや牛すじこんを作っています。


2時間くらい煮込んで柔らかくなった首肉を取り出し、冷めたら脂肪などを取り除きながら肉と骨を分けます。骨や脂肪は処分し肉は大きくほぐしておきます。首肉を煮込んだストックは当日食べるなら鍋ごと冷蔵庫に入れ、数時間冷やし余分な脂肪を取り除きます。

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ここまでの作業を私は前日までに行いました。そうすると冷蔵庫に鍋ごと入れたりしなくても、翌朝ラムを煮込んだストックの表面には、この下の写真の通り、たっぷり脂肪だけが浮いて至極簡単に取り除きやすいからです。

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このストックを私は数枚のキッチンペーパーを使ってこします。すると、こんな綺麗なストックが取れます。スコッチブロスはここまでの準備が大変ですが、ここからはおでんを煮込むのと同様で、結構手間要らずの煮込み料理。

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スコッチブロスというと必ず加えるのがパールバーリーです。パールバーリーとは精白丸麦のこと。これも私は日本に住んでいる頃いろんなところで探しましたが、結局見つけられなかったものの1つです。押麦で代用できます。煮たら殆ど変わりなし。

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パールバーリーを加えるとスープにボリュームが出るし、自然なとろみがついて実に美味しい!これを綺麗に洗ってその他の材料と一緒に煮込みます。


私が最初にスコッチブロスを作った時のレシピは、はっきり今記憶にないけれど、確かたまねぎとリークくらいしか入れてなかった様に思います。でもそれから自分の好きなものをどんどん入れだし、今では我が家のスコッチブロスは具沢山。

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ラムはそれでなくても脂っこいのに、首の肉なんていうとさらに脂肪がのっているので、私が最初に参考にしたレシピでは具は炒めてはいなかったはず。でも私は一度オリーブオイルで野菜を炒めてから煮込みます。


なんで炒めだしたかというと、それは旦那の一言です。“英国やアイルランドの古い料理は塩こしょうで味付けするだけで、あとは素材の持ち味を生かしただけの簡単料理ばかり。素材の持ち味を生かすには、まず大切なのはたまねぎをしっかり炒め甘味をつけること。”


私はこの旦那の言葉に納得したので、以降、英国料理に限らずどんな料理でもたまねぎはしっかりと炒め、出来上がった料理に自然な甘味や風味がつくように心がけています。


そうやってしっかり炒めたたまねぎに、にんにく、セロリ、リークを加えます。リークは旦那の故郷ウェールズのシンボル。それに夫婦して好きなのでしこたま入れます!この日は太いのを3本です!

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にんにくは古いイギリス、スコットランド、アイルランドの料理には使っていないはずです。にんにくと言うのはイギリスでは比較的新しい野菜の1つで、古いレシピには登場しません。でも私は3かけ位投入しました。やっぱ香りが良いもんね。


人参と、今回はウエーデン株ではない英語でターナプと呼ぶ普通の株を1個入れました。この野菜の色、これこそブリティッシュ、UKカラー!イギリスのシチュー、スコッチブロス、アイリッシュシチューみなこの色です!

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一晩置いてこしたストックを加え煮たってきたら、ラム肉、パールバーリー、パセリのみじん切り、それにベジタブルストックを加えて2時間くらい煮込んだら出来上がり。味付けは塩こしょうだけ、でも信じられないくらいこくがあります!

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昨日はこのスコッチブロスの他に、スープと一緒に食べるパンも焼きました。イーストを使わず重曹で焼く簡易ブレッド・アイリッシュソーダブレッドです。亜麻と胡麻を加えた芳ばしい味のソーダブレッドです。

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亜麻胡麻ソーダブレッドのレシピはこちら から...

スターターとデザートを何にするか結構悩みましたが、スターターにはスモークサーモンのパテを作ることにしました。


このパテが載かっているのはお花のパイではなく、パイクレットと呼ぶミニパンケーキです。これの作り方は後日別途記事にします。セイボリーだけじゃなく甘いものにも生かせる、ちょっとお洒落で可愛いミニパンケーキです。

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そしてデザートはカスタードタルトの応用でレモンタルトを。こってりラムの後にはさっぱりレモンで!


とっても美味しく出来、甘いもの、酸っぱいものがでも、大の苦手でも旨いと思う味なんですが、こすタイミングを間違い表面に気泡が一杯!いつかリベンジしその時にレシピを公開します。タルトは非常に綺麗に焼けました。

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どっちみち4人でこんなデカイタルトを、ラムを食った後に食べきれないと思ったので、お土産に持って帰ってもらおうと、初めからケーキ用のタッパーの台に載せておきました。


テーブルの準備も出来ました。しかし、ここで大変なことを思い出しました!


客用のディナーマットを乾燥機にかけ縮ませてしまったことを、ゲストが来る直前まですっかり忘れていて、結局100均の和食器に合わせて買った“すだれのディナーマット”を使うことに...(滝汗)

ゲストは中国人の母娘。母ちゃんは英語が一切出来ない!でもとってもお茶目で陽気な人で、紙とペンをもって私とは筆談。(笑)


おまけにその母ちゃん、たっくさん餃子を作ってきてくれて、皮も手作りって言うんだけど、これから我が家はその母ちゃんの大量の餃子をどうやって完食するか課題が残りました。(笑)とりあえず冷凍しぼちぼち食べることに。


私が毎週旦那の会社に差し入れるものを楽しみにしてくれている、私のファンの一人で、来る前から母娘で、私の作るものなら旨いと期待してくれていたようでプレッシャーだったのですが、実際想像以上に沢山食べてくれ私も大満足。

イギリス、いやスコットランドをイギリスに含めたらスコティッシュに叱られるので、英国と呼ぶことにします。英国にはこうして手の込んだ美味しいものが沢山あるんです!


それを作らなくなってしまった現代の英国人。世界から旨いものがない国と思われているのが、なんかとっても嘆かわしいです。


もっと簡単に作れるスコッチブロスのレシピは、こちら から...

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