消費者心理とマーケティング -衝動買いNo3 Part1-
消費者心理とマーケティング -衝動買いNo3 Part1-して、モノの所有と個性(self-identity) No2を取り上げます。前日の続きで40代以降についてです。
以下は前日
も取り上げましたが、前日分を読んでいない人用に簡単に概略を載せます。
1. モノの所有の意味
モノも所有の意味に、「所有物=広い意味での自分」と言う考え (Belk, 1988) があります。一般の会話でも、「所有物は個性・自分を表す」との表現がありますが、モノを所有することで、自分がこのように人に見られたいという欲求を満たせます。
2. アイデンティティを表現するためにモノを所有するようになってきた理由
現実の社会では自分の意思でコントロールできることは非常に限られていています(理想と現実のギャップ)。そのため、自分の意思でコントロールできるモノの所有によって、厳しい現実から逃避したいという欲求が生まれます (Goldberg, & Lewis, 1978, sited in Belk, 1988)。特に自尊心が低くなるケースでは、自分でコントロールできるモノの所有を代わりにすることで、低くなった自尊心の補完ができます(Gollwitzer, 1982, sited in Belk, 1988)。
以下は前日が、思春期から子供ができた若い夫婦までだったので、今回はそれ以降の世代についてです。
3.年代別特徴
d. 40-50代
社会的なステータスに関するアイデンティティが強くなります (Furby, 1978, sited in Belk, 1988)。トヨタのセルシオ(昔はクラウン)に乗ることはその典型だと思います。
ただし、以下の先日のプリウスの事例を頂いた方
からのコメント(一部抜粋及び修正)を読みながら、環境問題の関心の高まりや、日本社会の成熟化を考えると、40-50代には社会的責任というキーワードを投げかけても良い時期なのかなと個人的には考えました。
皆様もご意見を下さい。
プリウス(ハイブリッド)は「私は環境への配慮まで考える人間です」という理想印象づくりに見事に成功しましたね。車は衝動買いとは微妙に異なるかも知れませんが、理想とのギャップに悩む人よりも一旦成功してさらに理想を追求する人(部長に昇進して次も)に対して、あなたのような方には是非乗っていただきたいというような謳い文句で攻めると落ちやすいかもしれないとイマジネーションしました。
e. シニア
「過去・ヒストリー」に関するアイデンティティが強くなります (Olson, 1981, sited in Belk, 1988)。
アンティークが好きになったり、部屋に昔の家族や仲間との写真が飾ってあることを目にすることも多いと思います。
退職後は(仕事場で与えられていた)社会的なステータスがなくなるため、多くの方が過去(例、昔は部長だった、仲間に囲まれていた)に自分のアイデンティティを求めるようになります。
4. 衝動買いとの関係
年齢及びライフサイクルのステージ(学生、働いているシングル、退職など)によって衝動買いに反応する商品が明らかに異なります。
d. 40-50代
基本的にはステータスがキーワードだと思います。
女性の体型の変化もチャンスなのかもしれません。以下はトホホ様
から頂いたコメントです。
女性の容姿・自己表現に関連する商品の衝動買いは、うちの妻が矯正下着を買ったことがあったので、笑ってしまいました。そういえば、深夜のTVの通販は容姿改善に関係する器具、飲食物等が多い、効果があればいいのですが、うちのには出てませんね。
e. シニア
ノスタルジーがキーワードだと思います。
以下のコメントをセブン様
から頂きました。
本日セブンイレブンで衝動買いをしてしまいました。品は80S 帰ってきたヨーヨー&復刻デザインボトル。(3セットで750円)エンドに配置されていたため、ふと目がとまり、ノスタルジーに訴えかけられてしまいました。セブンイレブンのマーケティング恐るべし!!
ノスタルジーを感じる年齢層(別にシニアに限らず40・50代などへも)には非常に強力な手法だと思います。コンビニにあるということは、(売行きが悪い場合は)直ぐに販売されなくなるという時間的な切迫感もあって衝動買いしたのだと思います。
次回は衝動買いと自分への理由付けを扱います。今回も少しコメントしましたが、自分への理由付けがある場合は衝動買いしやすいです。
皆さんの実例があると、わかりやすく内容も発展しますので、皆さんの実例やコメントをどんどんお待ちしています!!
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主な参考文献:
Belk.R, (1988), Possessions and the Extended Self, Journal of Consumer Research, 15, 139-168.