消費者心理とマーケティング -男女の消費者行動の違いNo5 Part3- | 消費者心理学とマーケティング - 消費者心理学・消費者行動論の研究より -

消費者心理とマーケティング -男女の消費者行動の違いNo5 Part3-

Part2から続く



(3) テレビCM

男性の方がテレビCMを基に、店舗・商品・サービスの選択傾向が強いと思います。理由は下記の通りです。

男性の方が未知の情報を得た際の理解力に自信を持っています (generalized information processing confidence (GIPC)) (Kempf, Palan, & Laczniak, 1997)。よって、女性を説得する方が多くのCMのエクスポージャーが必要だと思います(Wolin, 2003)

(4) 口コミ

女性の方が口コミを基に、店舗・商品・サービスの選択傾向が強いと思います。理由は下記の通りです。

女性の方が、周囲とのコミュニケーションを大切にし、自分の個人的な情報を共有する傾向があります(Brannon, 1999, sited in Garbarino, & Strahilevitz, 2004)。よって、より口コミを重視した意思決定をする傾向があると思います(Garbarino, & Strahilevitz, 2004)

(5) 店舗・サービスの雰囲気・サービス

情報処理能力の観点からも、女性の方が、様々な違いに気付き、大切にする傾向は強いです。よって、女性の方が、店舗・サービスの雰囲気・サービスを重視する傾向は強いと思います。

(6) 時間がない時の意思決定

男女間の差はほとんど無い傾向があると思います。女性も熟慮する時間がない場合は、先日の情報処理能力の差も無くなります (Meyers-Levy, & Sternthal, 1991)。そのため、女性も時間がない場合は、男性的な簡便な(ヒューリスティクな)意思決定をすると思います。つまり、ブランド名だけで商品を選んだり、いつもと同じ商品を選んだりし、その他の情報(パッケージ、POPなど)をあまり見ないと思います。


(7) 高額品の購入

男女間の差はほとんど無い傾向があると思います。男性も熟慮する必要性が高いと自覚する場合は、先日の情報処理能力の差も無くなります (Meyers-Levy, & Sternthal, 1991)。よって、より女性的に様々な情報を加味して意思決定すると思います。

(8) 気分が消費に与える影響

気分が消費に与える影響は女性の方が大きいと思います。この点は次回からの衝動買いに関連するので、その際に取り上げます。

以上で男女の消費行動の違いは一旦終了とさせて頂きます。いずれ他のネタがなくなった際にまた戻ってきます。

なお、双方向のコミュニケーションにした方が互いに有益だと思います。私もアカデミックになりすぎないよう、実務家や消費者の方からの実例に関する情報を頂きたいために、このブログを開設しております。よって、私の取り上げた例に関する実例や反対の例などをどんどんコメントして下さい。そして、他の方のコメントに関しても私を通さずにコメントをして下さって結構です。

前回の最後に今回は男女のポジティブ・ネガティブな情報の感じ方の違い(感情に関連させて)を取り上げるとしましたが、調べているうちに、男女の感情に関するリサーチの結果のコンセンサスがまだ学者の間にもない事が分かりましたので、いい加減な(一方に偏った)議論を避けるため、今回は取り上げることを止めました。

次回は、衝動買いを取り上げます実際、衝動買いは女性に多く見られまので、今回の男女の消費行動の違いの議論とも関連があります。

主な参考文献:

Fischer,E., Arnold,S. (1990). More than a labor of love: Gender roles and Christmas gift shopping, Journal of Consumer Research, 17, 333-345.

Garbarino,E., & Strahilevitz,M. (2004). Gender differences in perceived risk of buying online and the effects of receiving a site recommendation, Journal of business research, 57, 768-775.

Kempf,D.S., Palan,K.M., & Laczniak,R.N. (1997). Gender differences in information processing confidence in an advertising context: A preliminary study, Advances in Consumer Research, 24, 443-449.

Meyers-Levy,J. (1988), The influence of sex roles on judgement. Journal of Consumer Research, 14, 522-530.

Meyers-Levy,J., & Sternthal,B. (1991), Gender differences in the use of massage cues and judgements. Journal of Marketing Research, February, 84-96.

Wolin,L.D. (2003). Gender issues in advertising – An oversight synthesis of research: 1970-2002, Journal of Advertising Research, 111-129.