消費者心理学とマーケティング - 消費者心理学・消費者行動論の研究より -


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ドコモがシニア向け携帯電話フル生産

先日の下記の記事でシニア向けの携帯電話が伸び悩んでいる旨の記事がでていましたが、

今度はまったく正反対の事実が判明しました。なんと、ドコモが(予想外に需要があるので)

フル生産をしているとのことです。


ドコモフル生産

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000904-san-bus_all


シニア向けの携帯電話が伸び悩んでいる旨の記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000015-inet-inet


(他の人もそうですが)私も指摘したように先日の記事のもとになっている調査がいい加減だった

のが、正反対の記事がでた理由だと思います。


調査がいい加減さについてのブログの記事

http://ameblo.jp/consumer-psychology/entry-10038164978.html


ドコモのシェアが高くなると思われる理由やマーケティング上の課題などは下記の私のまぐまぐの

記事に詳細を先日書きましたので、興味をお持ちの方はご覧下さい。

http://www.mag2.com/m/0000222431.html

シニア向け携帯電話 No1

こんにちは。今回はシニア向け携帯電話(日本)を取上げます。

具体的には以下のことです。

1.記事の問題点

2.NTTドコモの使用比率が高い理由

3.購入する際に仕様・スペックの比較をするか?

4.仕様・スペックなど機能は重要な要素か?

5.ドコモらくらくホンⅡのCMをどう評価するか?

なお、本メルマガはまぐまぐのシニアマーケティング-欧米事例研究-の抜粋版です。

全編及びバックナンバーは下記のサイトでご覧になれます。

http://www.mag2.com/m/0000222431.html

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こんにちは。先日、インターネットで日本の記事を見ていたところ、シニア向けの携帯電話の加入率が伸び悩んでいると言う記事が以下のサイトにありましたので、今回はシニア向け携帯電話(日本)を取上げます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000015-inet-inet

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○記事の要点

インターネットコム株式会社とJR 東海エクスプレスリサーチが行った「シニア向けケータイ」に関する調査によると、40歳以上の男女で「現在利用している」のはわずか4.8%だった。

メーカー別にはドコモ の「らくらくホン」が68.8%(11人)、KDDI の「簡単ケータイ」は18.8%(3人)

意外にユーザーを獲得できていないシニア向けケータイだが、何が余計で、何が足りない機能なのだろうか。


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1.上記の記事の問題点を指摘してください

2.NTTドコモの使用比率が高い理由

3.購入する際に仕様・スペックの比較をすると思いますか?

4.仕様・スペックなど機能は重要な要素ですか?

5.以下のサイトに載っている、ドコモらくらくホンⅡのCMをどう評価しますか?

http://www.fmworld.net/product/phone/cm/f881ies/index.html

シニア向け携帯No2(前回)に続く

シニア向け携帯電話 No2

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○記事の問題点

意外にユーザーを獲得できていないシニア向けケータイと書いてありますが、本当にそうなのかについて、気になる問題点がいくつかあります。

第一に、40歳以上を対象にして4.8%しか使用していないとなっていますが、40代、50代は本当にシニア向けケータイの顧客対象なのかという疑問が出てきます。私が日本で働いていた時の記憶では40代、50代の同僚でシニア向けの携帯電話を使っていた人は1人もいません。ドコモもまさか40代がシニア向け携帯の顧客だと考えてはいないでしょう。

第二に、インターネットコム株式会社を使っての調査と言う事で、インターネットを使ったアンケート調査だった可能性があります。通常、シニア向けの携帯電話を使うのは視覚や聴覚に衰えが見えた方なので、そのような層は今回のアンケート対象から漏れている可能性が高いです。

以上より、「意外にユーザーを獲得できていないとは言い切れるかな」と私は思います。

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NTTドコモの使用比率が高い理由

NTTドコモの使用比率が高いことは他の調査でも同様の結果があるので、正しいのではないでしょうか。

http://bcnranking.jp/flash/09-00014131.html

ここではなぜ、NTTドコモの使用比率が高いのかを考えてみます。

一般的に、情報処理能力の減退が見られるシニアは商品に対するロイヤルティーは(若者と比べて)高い(e.g., Moschis, 1996)と言われます。つまり、同じ商品を選択し続ける傾向がある。そのため、以前からドコモを使っていたシニアはシニア向けケータイを購入する際にも同じメーカー(ドコモ)を購入しつづける傾向は高いと思います。

詳細は過去の記事をご覧下さい。

http://blog.mag2.com/m/log/0000220190/108480357.html?c=bsc

また、シニアは情報処理能力の減退等の理由で、様々な情報を基に意思決定をすることが、シニアは苦手になります。必要な情報を考慮して意思決定するよりも、簡便的(ヒューリスティク)な意思決定が行われ易くなります(Yoon, 1997)。

例えば、旅行に行くので品質の良いスーツを洋服店に買いに行くとします。

本来は使われている素材、製法、値段など様々な要素を考慮して品質が良くてお買い得なスーツを選ぶのですが、簡便的な意思決定の場合は「ブランド名が有名」、「値段が高い」などを手がかりにして品質の良いスーツを選びます。

有名ブランドが他メーカーにブランド名の供与をしている現在は、品質とブランド名・値段の関係は薄れているのですが、シニアは簡便的にブランド名・値段を品質に結び付けて、「ブランド名が有名」、「値段が高い」商品を品質が良いと思う傾向にあると思われます。

今回の例では、「どのシニア向けケータイを購入しようか?」と悩んでいる際は、「ドコモは有名だから!」などと言う簡便的な意思決定で、「ドコモの商品=最も優れている」と判断することも多いと思います。

詳細は過去の記事をご覧下さい。

http://blog.mag2.com/m/log/0000220190/108088710.html?c=bsc

シニア向け携帯No3(前回)に続く

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シニア向け携帯電話 No3

○購入する際に仕様・スペックの比較をするか?

シニアは(若者に比べて)購入の際に仕様やスペックの他社ブランドとの比較はたいしてしていないと思われます。

過去の消費者心理学・行動論シニアの情報探索は(若者と比べて)少ないことが言われています。よって、ドコモの商品だけしかチェックしないシニアや2社分しかチェックしないシニアは非常に多いと思います。その際にチェックも仕様やスペックの詳細な検討はしません。

詳細は過去の記事をご覧下さい。

http://blog.mag2.com/m/log/0000220190/108285059.html?c=bsc

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○仕様・スペックなど機能は重要な要素か?

「まったく重要ではない」など極端なことを言うつもりはありませんが、若者ほどは重要視していません。前述のように情報処理能力に減退がありますので、むしろ簡便的な意思決定をします。

下記のサイトによると、シニア向けケータイ購入動機は以下のようです。

1.操作が簡単そう(61%)

2.ボタンが大きくて使いやすそう(59%)

3.家族、友人に薦められたから(40%)

ここで重要なのは、本当に操作が簡単かと言う細かいことではなく、シニアが一目で見て「簡単そうに見えるか」がポイントです。ボタンが大きいのは、「ボタンが大きい=使い安い」という連想が働き易いので、シニアには効果的です。

シニア向けケータイ購入動機

http://bcnranking.jp/flash/09-00014131.html

シニア向け携帯No4(前回)に続く

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シニア向け携帯電話 No4

○ドコモらくらくホンⅡのCMをどう評価するか?

私は感情面に焦点を当てずに、機能面(ゆっくりボイス、歩数系)に焦点が当たっているため評価しません。

第一に、シニアは(若者と比べて)感情に関連する情報を(感情とは関係のない情報;機能などよりも)覚えています。

 (Fung & Carstensen, 2003)。

情報に訴える広告と感情に訴える広告の記憶に関して、シニアと若者を比較した研究(Fung & Carstensen, 2003)があります。

(参考)使用されたメッセージの例

A.情報

ア.カメラ;探索したことのない世界を撮ろう!

イ.健康ジュース;貴方の輝かしい未来のために健康でいよう!

B.感情

ア.カメラ;特別な瞬間を撮ろう!

イ.健康ジュース;貴方の愛する人のために健康でいよう!

結果は以下の通りです。

シニアは(若者に比べ)感情に訴える広告の方を記憶する

若者は(シニアに比べ)情報に訴える広告の方を記憶する

シニアは(情報に訴える広告に比べ)感情に訴える広告の方を記憶する

若者は感情に訴える広告と情報に訴える広告の記憶に差がない

第二に、シニアは(ポジティブな状況になろうというメッセージと比べて)ネガティブな状況を避けるメッセージを選考し、記憶します(Williams & Drolet, 2005)

過去のリサーチでは以下の結果が出ました。

(参考)メッセージの例

A.ポジティブな状況になろうというメッセージ

花;貴方は忙しいかもしれませんが、貴方にとって特別な人を満足させると貴方自身も幸せに感じるでしょう!

B.ネガティブな状況を避けるメッセージ

花;貴方は忙しいかもしれません。貴方にとって特別な人を満足させる機会を逃すと貴方は悲しく感じるでしょう!

結果は以下の通りです。

シニアは(ポジティブな状況になろうというメッセージと比べて)ネガティブな状況を避けるメッセージ(B)を選考し、記憶しました。

よって、私ならば、孫からの電話を受けた大竹しのぶが早口を聞き取れなくて、電話を切られたという内容にします。

詳細は過去の記事をご覧下さい。

http://blog.mag2.com/m/log/0000220190/108159705.html?c=bsc

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参考文献

Fung,H.H., & Carstensen,L.L. (2003). Sending memorable to the old: Age differences in preferences and memory for advertisements. Journal of Personality and Social Psychology, 85, 163-178.

Moschis,G.P. (1996). Gerontographics: Life-style segmentation for marketing strategy development. Westport: Quorum books.

Williams,P., & Drolet,A. (2005). Age-related differences in responses to emotional advertisements. Journal of Consumer Research, 32, 343-354.

Yoon,C. (1997). Age differences in consumer’s processing strategies: An investigation of moderating influences. Journal of Consumer Research, 24, 329-341.

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なお、本メルマガはまぐまぐのシニアマーケティング-欧米事例研究-の抜粋版です。

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シニアマーケティング -欧米事例研究- -フォードAirstream & 日産Bevel -

一部の読者の方からシニアマーケティングの事例の紹介もできないかというお話が来ましたので、シニアマーケティングの(欧米の)事例研究に焦点を絞ったメールマガジンを発刊することにしました。(無料です)

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フォードAirstream & 日産Bevel の事例(サマリー版)を前回の記事で紹介しています。

ご確認下さい。


メールマガジン発刊のお知らせ(シニアマーケティング-欧米事例研究-) No1

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今回はシニアマーケティング-欧米事例研究- の中から、一事例をピックアップして内容の紹介を行います。

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シニアマーケティング-欧米事例研究- Ford Airstream & Nissan Bevel

以下はThe Auto Channelでの記事の(一部)要約です(日本語への意訳は私が行っています)。

http://www.theautochannel.com/news/2007/01/14/033986.html


上記記事では先日のデトロイトモーターショーにフォード、日産から出展された2車(コンセプトカー)が取上げられています。

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フォードは、既に旅をするためにリタイアしている(一部)放浪癖(旅行癖)のあるセグメントを対象にthe Airstreamを発表 しました。アメリカの象徴的なキャンピングトレーラーメーカーであるAirstream trailer company社と共同で開発されました。フォード社のデザイン担当の統括責任者J Mays氏によると「私達はレクレェーショナル車(RV)の需要を期待している」とのことです。また従来のRVとは異なり、ハイブリッドパワートレインが載せられています。

(引用終了)




-------------- (一部省略・変更) ---------------------------------------------------------------------


似たようなデザインであったのがベビーブーマーをターゲットにしている日産のBevelでした。ターゲットは45-60歳で、家族を車で運ぶよりも、道具を運びたがるような「趣味人」や「DIY(日曜大工)熱中者」がターゲットです。日産デザインアメリカのJohn Cupit氏によると「Bevelは従来のカテゴリーの破壊」だそうです。従来のオフロードやMPV(Multi Purpose Vehicleミニバン あるいはトールワゴン )で飽き足りない層がターゲットです。the Airstreamのように左右対称でないなどのデザインが特徴的です。また、あからさまに70年代のスタイルです。

(引用終了)





-------------- (一部省略・変更) ----------------------------------------------------------------------


1.The Auto Channelの記事について

Ford、日産ともベビーブーマー向けのコンセプトカーをデトロイトモーターショーに出展したことが今回のポイントです。それも従来のようにシニア・ベビーブーマーを1つのセグメントと見るのではなく、以下のように、かなりニッチなセグメントに絞り込んでいることが特徴だと思います。


Ford

放浪癖(旅行癖)のあるセグメント


日産

家族よりも日曜大工などの道具を運びたがるような「趣味人」や「DIY熱中者」のセグメント


セグメンテーションは、年齢、地域などデモグラフィックな情報ではなく、ライフスタイルで分類されていると思われます。両方とも家族よりも「放浪癖(旅行癖)」、「DIYなどの趣味」というようにかなり特徴のあるセグメントが対象です。


はたしてこのような独特な特徴のある車に興味を持つ層がベビーブーマーにはあるのでしょうか?


下に続く

メールマガジン発刊のお知らせ(シニアマーケティング-欧米事例研究-) No2

2.ライフスタイルによるセグメンテーション

古いですが、アメリカのシニア(60歳以上)をライフスタイル基準にてセグメンテーションしている研究がありますので、見てみましょう(Sorce, Tyler, & Loomis, 1989)。(古いことと年齢層が若干ずれることはご注意して下さい)


この研究では、下記の6グループに分けられました。


A.独立独歩(Self-reliants 全体の25%

・安心感を求める程度は低位

・冒険心は中位

・運動は中位

・家族(家庭)志向は中位


特徴は下記のコメントに現れます

・新品でないと買わない

・退職後のことをたっぷり考えている

・教養講座を取る事を楽しみにしている


B.静かな内気タイプ(Quiet introverts) 全体の19%

・自分への信頼は低位

安心感を求める程度は低位

・家族(家庭)志向は中位


特徴は下記のコメントに現れます

・冒険心はない

・教養講座に興味はない

・新商品を真っ先に買う気はない


C.家族志向(Family-orienteds) 10%

・自分への信頼は非常に低位

・冒険心は低位

・安全に関しては中位

・運動に関しては高位


特徴は下記のコメントに現れます

・教養講座に興味がある

・新商品を真っ先に買いたい

・やりがいのあるプロジェクトにボランティアで参加したい

・「中古よりも本当に欲しいものを欲しい」というコメントには反対


D.活動的な退職者(Active retirees) 20%

安心感を求める程度は非常に高位

・自分への信頼は中位

・家族(家庭)志向は中位


特徴は下記のコメントに現れます

・退職後のことをたっぷり考えている

・やりがいのあるプロジェクトにボランティアで参加したい

・中古のものは買わない

・「本当に欲しいものには多少多くのお金を使う」というコメントには反対;所得が低いため


E.ヤング&セキュア(Young and Secures) 13%

・冒険心は高位

・運動は中位

・自分への信頼は中位

・家族(家庭)志向は低位

・リスク回避度は最も低位


特徴は下記のコメントに現れます

・教養講座を取ることには最も興味がある

・新商品を真っ先に買いたい

・ファイナンシャルプランナー(資産運用の専門家)には会っている

・中古よりも本当に欲しいものが欲しい


F.ソリティア(Solitaires) 13%

・自分への信頼は中位

・運動は中位

安心感を求める程度はやや高位


特徴は下記のコメントに現れます

・ファイナンシャルプランナー(資産運用の専門家)には会う傾向がある

・教養講座を取ることには最も興味がある

・新商品を真っ先に買いたい


ソリティア(Solitaires)は、ヤング&セキュア(Young and Secures)と同様の傾向があるが、ソリティア(Solitaires)は多くが一人暮らしの女性である。

メールマガジン発刊のお知らせ(シニアマーケティング-欧米事例研究-) No3

3.考察

上記の例を見てお分かりのように、セグメントごとにシニアのライフスタイルには大きな違いがあります。よって、シニアを一つのセグメントと見ることは誤りだと思います


上記の分類ではFord Airstream Nissan Bevelのターゲットが共に、ヤング&セキュア(Young and Securesだと思われます。


冒険心が高いという記述は、Ford Airstreamのアメリカンジャーニー(旅)のコンセプトにピッタリですし、家族(家庭)志向が低い点は、Ford Airstream Nissan Bevelのターゲット共にピッタリです。 ホームページ等を見た方は気づいたと思いますが、スタイル・デザインなどがかなり奇抜です。そのような新しい概念を受け入れる要素ヤング&セキュア(Young and Secures)にはあるようです。


この層の母集団に占める比率は13%です(実際のベビーブーマーでの比率はもう少し高いのかもしれません)。大多数を占めるセグメントではないことは確かだと思います。


この比率を高い・低いと見るかはそのメーカーの狙うシェアによるのではないでしょうか?トヨタやGMなどはより母集団の中での構成比率がより高い「A.独立独歩(Self-reliants)」(25%)を狙って来るかもしれません。 シェアが6%の日産には13%のヤング&セキュア(Young and Secures)は手ごろな層だと思われます。一方、私にはシェア18%のフォードはニッチなマーケットを狙い過ぎているのではないかと思います。


《参考》

2005年シェア (出所:NADA)

GM;26.30%

フォード;18.34%

トヨタ;13.34%

日産;6.36%


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ポイント

シニアを一つのセグメントと見ることは誤り

ライフスタイル分析は製品開発に有用!

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参考文献

Sorce,P., Tyler,P.R., & Loomis,L.M. (1989). Lifestyles of older Americans. The Journal of Consumer Marketing, 6 53-63.

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当メールマガジンは、

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ご自身で引用先の英文を直接お読みになることをお奨めいたします。


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消費者心理とマーケティング-店舗の雰囲気No8-

消費者心理とマーケティング-店舗の雰囲気No8-を取り扱います。

今回は色彩の(店舗内での)消費者の感情と行動に与える影響No1を取り扱います。

1.色彩の基礎

色彩は下記の3要素で表現されます(Diamond & Diamond, 2004)。

(1)色相(Hue

赤色、青色などという色そのものの名前

(2)明度(Value

色相の明暗のこと

赤色に白を混ぜるとライトレッド、黒を混ぜるとダークレッドと明度が変化します。

(3)彩度(Intensity

色のさえかたのこと

2.色彩・感情:古い研究よりMehrabian & Russell, 1974

私のMehrabian Russellのモデルに関する過去の記事を読んでいない方はこちらNo1No2 を先に読んで頂けると、以下の内容が分かり易くなります。

(1)快(pleasure/不快(displeasure)との関係

明度(Value)と彩度(Intensityが快(pleasure/不快(displeasure)と正の関係を持っていることが過去の心理学等の調査で分かりました。つまり、明るいもしくは鮮やかな色の方が人間は快適に感じるようです。

色相の好みは下記の順です;

青、緑、紫、赤、黄色

(2)覚醒(arousal/昏睡(nonarousal

暖色(赤など)は寒色(青など)よりも覚醒(ドキドキ)の程度を高めることが分かりました。

彩度が高い、明度が低い色は暖色と同じ働きがあると思われます。

Mehrabian Russellの研究自体は一般的な状況に関する研究で小売業を対象にしたものではありません。

3.小売を対象にした研究結果

A)暖色と寒色の比較

A-1)感情との関係

寒色(青など)の環境の方が暖色よりも顧客は快適に感じました(Bellizzi, Crowley & Hasty, 1983; Bellizzi & Hite, 1992

覚醒(ドキドキ)の程度は暖色の方が予想通り高かったのですが統計的には有意ではありませんでした(p=.55)。

※環境:両方とも実験室での実験のため、商品等を映すスライドの背面に色が付けられているケースと実験室の壁に色を付けられているケースが用いられました。

A-2)行動との関係

寒色(青など)の環境は暖色(赤など)よりも商品の購買意図が高まった(Bellizzi & Hite, 1992)。

寒色(青など)の環境は暖色(赤など)よりも使用しようとする金額が高かった(Bellizzi & Hite, 1992)。

暖色(赤など)を使った商品は寒色(青など)を使った商品よりも最新の製品とより見られた(Bellizzi, Crowley & Hasty, 1983)。

A-3)解説

寒色は店舗内での快適度に関連し、暖色は覚醒(ドキドキ)度に影響を与えるようです。

以前取り扱っているように、快適度は店舗での滞在時間・購買意図等により大きな影響を与えるので、寒色系の店舗の方が購買意図、使用金額を高めたと思われます。

一方、覚醒度は適度だと店舗での滞在時間・購買意図等に正の影響を与えますが、高すぎる程度になると逆に負の影響を与えます。

B)色相全体での比較(Crowley, 1993

A-1)感情との関係 ; Mehrabian & Russell (1974)の測定方法は使われていません

快適に感じる順番;青、緑、黄色、赤

覚醒度が高い順番;赤、青、黄色、緑

A-2)解説

快適に感じる順番は過去の結果とも大きな相違はありませんでした。

覚醒度に関しては、過去のBellizzi等の研究では青は(赤に比べて相対的に)覚醒度が低い色と位置づけられていたが、実際、青色は(スペクトルで赤・青の中間の)黄色、緑よりも覚醒度が高い色ということが分かりました。

4.応用

(1)店舗滞在時間・使用金額などを上げるには?

快適度を上げる施策が中心になるべきです。適度な覚醒(ドキドキ)度も効果があるのですが、それは顧客が快適と感じるという環境下のみと理論的には考えられます。また覚醒度が高くなりすぎると逆効果となってしまいます

よってポイントは、

寒色の割合を多めにする

当然、白なども効果的に使うべきです

ただし、青色は暖色である黄色よりも覚醒度を高めるというリサーチもありますので、極端な寒色(青色のこと)を多用することも避けた方が良いかもしれません。

暖色は使いすぎないようにする

アパレルなどで暖色中心のディスプレーをしている店舗がありますが、店舗滞在時間などを上げたいと考えているのならば逆効果だと思います。

赤のパッケージの商品は非常に目立ちます。ただし店舗全体の効果を考えずに、暖色のパッケージの商品を多く陳列しすぎると覚醒度が高くなりすぎて逆効果となってしまいます。クリスマスシーズンなど壁紙なども赤に変えている店舗が良くありますが、(陳列も含めて)赤の陳列が多くなりすぎると全体のイメージとしては暖色が強すぎるようになることもありえます。

暖色はエンドなど戦略的な位置に効果的に使用する

暖色は心理効果として(寒色よりも)自分に近くに感じさせる効果があります(Diamond & Diamond, 2004)。そのため、主通路のマグネット部分やエンドなどに暖色を使用することで顧客を呼び込む効果があります。

衝動買いは覚醒度と関連があると言われます。そのため衝動的にものを買わせたい場合などは効果的だと思います。

(2)回転率をあげたい場合は?

マクドナルドのように顧客の回転率を上げることで勝負をしている業種の場合は、暖色を多く使用した方が好ましいと思われます。この点、マクドナルドのカラーの使用の仕方は非常に理に適っていると思います。

※感情の測定には50から100項目程度にのぼる質問票とそのデータに対する統計分析が必要になります。

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コンサルタント時代の同志とGoot Advice(こちらというサイトでマーケティングに関する無料相談を承っています。

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主な参考論文

Bellizzi,J.A., Crowley,A.E., & Hasty,R.W. (1983). The effects of color in store design. Journal of Retailing, 59, 21- 45.

Bellizzi,J.A., & Hite,R.E. (1992). Environmental color, Consumer feeling, and purchase likelihood, Psychology & Marketing, 9- 347-363.

Crowley,A.E. (1993). The two-dimensional impact of color on shopping. Marketing Letters, 4, 59-69.

Diamond,J., & Diamond,E. (2004). Contemporary visual merchandising; Environmental design. Pearson Education LTD. New Jersey.

Mehrabian.A., & Russell,J.A. (1974). An approach to environmental psychology, Cambridge, MIT press.

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