2006-12-14 21:44:45

消費者心理とマーケティング-店舗の雰囲気No8-

テーマ:ムード・店舗の雰囲気

消費者心理とマーケティング-店舗の雰囲気No8-を取り扱います。

 

今回は色彩の(店舗内での)消費者の感情と行動に与える影響No1を取り扱います。

 

1.色彩の基礎

色彩は下記の3要素で表現されます(Diamond & Diamond, 2004)。

 

(1)色相(Hue

赤色、青色などという色そのものの名前

 

(2)明度(Value

色相の明暗のこと

赤色に白を混ぜるとライトレッド、黒を混ぜるとダークレッドと明度が変化します。

 

(3)彩度(Intensity

色のさえかたのこと

 

2.色彩・感情:古い研究よりMehrabian & Russell, 1974

私のMehrabian Russellのモデルに関する過去の記事を読んでいない方はこちらNo1No2 を先に読んで頂けると、以下の内容が分かり易くなります。

 

(1)快(pleasure/不快(displeasure)との関係

明度(Value)と彩度(Intensityが快(pleasure/不快(displeasure)と正の関係を持っていることが過去の心理学等の調査で分かりました。つまり、明るいもしくは鮮やかな色の方が人間は快適に感じるようです。

 

色相の好みは下記の順です;

青、緑、紫、赤、黄色

 

(2)覚醒(arousal/昏睡(nonarousal

暖色(赤など)は寒色(青など)よりも覚醒(ドキドキ)の程度を高めることが分かりました。

彩度が高い、明度が低い色は暖色と同じ働きがあると思われます。

 

Mehrabian Russellの研究自体は一般的な状況に関する研究で小売業を対象にしたものではありません。

 

3.小売を対象にした研究結果

A)暖色と寒色の比較

A-1)感情との関係

寒色(青など)の環境の方が暖色よりも顧客は快適に感じました(Bellizzi, Crowley & Hasty, 1983; Bellizzi & Hite, 1992

覚醒(ドキドキ)の程度は暖色の方が予想通り高かったのですが統計的には有意ではありませんでした(p=.55)。

 

※環境:両方とも実験室での実験のため、商品等を映すスライドの背面に色が付けられているケースと実験室の壁に色を付けられているケースが用いられました。

 

A-2)行動との関係

寒色(青など)の環境は暖色(赤など)よりも商品の購買意図が高まった(Bellizzi & Hite, 1992)。

寒色(青など)の環境は暖色(赤など)よりも使用しようとする金額が高かった(Bellizzi & Hite, 1992)。

暖色(赤など)を使った商品は寒色(青など)を使った商品よりも最新の製品とより見られた(Bellizzi, Crowley & Hasty, 1983)。

 

A-3)解説

寒色は店舗内での快適度に関連し、暖色は覚醒(ドキドキ)度に影響を与えるようです。

以前取り扱っているように、快適度は店舗での滞在時間・購買意図等により大きな影響を与えるので、寒色系の店舗の方が購買意図、使用金額を高めたと思われます。

一方、覚醒度は適度だと店舗での滞在時間・購買意図等に正の影響を与えますが、高すぎる程度になると逆に負の影響を与えます。

 

B)色相全体での比較(Crowley, 1993

A-1)感情との関係 ; Mehrabian & Russell (1974)の測定方法は使われていません

快適に感じる順番;青、緑、黄色、赤

覚醒度が高い順番;赤、青、黄色、緑

 

A-2)解説

快適に感じる順番は過去の結果とも大きな相違はありませんでした。

覚醒度に関しては、過去のBellizzi等の研究では青は(赤に比べて相対的に)覚醒度が低い色と位置づけられていたが、実際、青色は(スペクトルで赤・青の中間の)黄色、緑よりも覚醒度が高い色ということが分かりました。

 

4.応用

(1)店舗滞在時間・使用金額などを上げるには?

快適度を上げる施策が中心になるべきです。適度な覚醒(ドキドキ)度も効果があるのですが、それは顧客が快適と感じるという環境下のみと理論的には考えられます。また覚醒度が高くなりすぎると逆効果となってしまいます

 

よってポイントは、

寒色の割合を多めにする

当然、白なども効果的に使うべきです

ただし、青色は暖色である黄色よりも覚醒度を高めるというリサーチもありますので、極端な寒色(青色のこと)を多用することも避けた方が良いかもしれません。

 

暖色は使いすぎないようにする

アパレルなどで暖色中心のディスプレーをしている店舗がありますが、店舗滞在時間などを上げたいと考えているのならば逆効果だと思います。

 

赤のパッケージの商品は非常に目立ちます。ただし店舗全体の効果を考えずに、暖色のパッケージの商品を多く陳列しすぎると覚醒度が高くなりすぎて逆効果となってしまいます。クリスマスシーズンなど壁紙なども赤に変えている店舗が良くありますが、(陳列も含めて)赤の陳列が多くなりすぎると全体のイメージとしては暖色が強すぎるようになることもありえます。

 

暖色はエンドなど戦略的な位置に効果的に使用する

暖色は心理効果として(寒色よりも)自分に近くに感じさせる効果があります(Diamond & Diamond, 2004)。そのため、主通路のマグネット部分やエンドなどに暖色を使用することで顧客を呼び込む効果があります。

 

衝動買いは覚醒度と関連があると言われます。そのため衝動的にものを買わせたい場合などは効果的だと思います。

 

(2)回転率をあげたい場合は?

マクドナルドのように顧客の回転率を上げることで勝負をしている業種の場合は、暖色を多く使用した方が好ましいと思われます。この点、マクドナルドのカラーの使用の仕方は非常に理に適っていると思います。

 

※感情の測定には50から100項目程度にのぼる質問票とそのデータに対する統計分析が必要になります。

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コンサルタント時代の同志とGoot Advice(こちらというサイトでマーケティングに関する無料相談を承っています。

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主な参考論文

Bellizzi,J.A., Crowley,A.E., & Hasty,R.W. (1983). The effects of color in store design. Journal of Retailing, 59, 21- 45.

Bellizzi,J.A., & Hite,R.E. (1992). Environmental color, Consumer feeling, and purchase likelihood, Psychology & Marketing, 9- 347-363.

Crowley,A.E. (1993). The two-dimensional impact of color on shopping. Marketing Letters, 4, 59-69.

Diamond,J., & Diamond,E. (2004). Contemporary visual merchandising; Environmental design. Pearson Education LTD. New Jersey.

Mehrabian.A., & Russell,J.A. (1974). An approach to environmental psychology, Cambridge, MIT press.

コメント

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1 ■無題

寒色の方が、落ち着くという結果には驚きました。
たしかに、居心地がよい空間がいいですね。

ならば、マンガ喫茶・ネットカフェや学校・学習塾など長時間いてもらいたいところはベース色としてみるといいかもしれませんね。

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