愚見を申しますと~ | ほどよい敬語の使い方~「コミュニ敬語」でいこう

ほどよい敬語の使い方~「コミュニ敬語」でいこう

プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

「愚見を申しますと~」

改まった場で意見を請われて述べる場合の表現です。

『角川類語新辞典』で「意見」を引くと、同義語、敬語、謙譲語含めて
46あります。
「意見を言う」ことについていかに日本人が苦慮しているかが分かるのではないでしょうか。
「はっきりした物言い」をすることに抵抗があり、「愚見」という言葉を使うようになったものでしょう。

文字にすれば、愚かな意見、ということで謙遜しており、その場の雰囲気に合えば、正しい表現と言えます。ただし、耳から「グケン」と入ると、聞き手にとってはちょっと意味が分かりにくいかもしれませんね。

口頭の場合は「個人的な意見ではありますが」と言うと、さらに分かりやすいでしょう。

あるいは、「私見を申しますと」なら音だけでも分かるでしょう。「私見」は、割合広く使われており、『角川類語新辞典』にも掲載されています。

その他のいろんな「自分の意見」を参考までにあげておきます。
(意味は、『角川類語新辞典』より)

●私見=個人的な意見、自分の意見、謙称
●私意=自分の考えや意見
●愚見=自分の意見の謙称
●卑見=自分の意見の謙称
●管見=管を通して見るような狭い見聞。自分の意見の謙称

一方、「相手の意見」の敬称、つまり「ご意見」の類義語には次のものがあります。

●貴意=相手の意見・意向の敬称
●高見=優れた意見、相手の意見の敬称/ご高見

さらに、「どんな意見か」内容をうかがわせる類義語も付け加えておきます。
すべてではありませんが、「達見」など良い意味のものには
「ご達見」などと「ご」を付けると、敬称にも使えます。

●浅見/せんけん=浅はかな考え、意見
●短見/たんけん=目先や表面だけの見識
●偏見/へんけん=片寄った意見・見解
●僻見/へきけん=片寄った意見・見解
●謬見/びゅうけん=誤った考え・いい件
●臆見/おっけん=確かな根拠もなく適当に推し量った考え。憶見
●異見/いけん=人とは違った考え・見解
●異議/いぎ=違った意見・不服とする意見
●異論/いろん=違った論・意見
●定見/ていけん=一定の見解
●卓見/たっけん=広く見通した優れた見識
●達識/たっしき=広く物事に通じた見識
●創見/そうけん=独創的な新しい考え・意見

以上の中で、「卑見」は実際に見かけたことがありません。かなりへりくだった言い回しでしょう。
「私見」くらいがさりげなくへりくだっていてちょうどいいように感じます。

「浅見」「短見」「偏見」「僻見」は自分の意見をへりくだるだけではなく
「その意見は浅見に過ぎはしませんか」
「彼の意見は短見だと思う」
「いえ、それは偏見かもしれませんよ」
「彼の言葉は謬見だ」などと、人の意見について
間違いや浅はかさを指摘する場合にも使います。

自分の意見でストレートに
「浅見ですが」「短見ですが」「偏見ですが」「僻見ですが」と言うと
聞き手は「じゃあ、言うな」と思うでしょう。

わずかな違いですが、意味を吟味した上で
「浅見かもしれませんが」「短見と思われるかもしれませんが」
「偏見とおっしゃるかもしれません」「僻見を恐れずに言えば」

となど、他の言い回しを付け加えると、自分の意見を謙遜する場合に使えるでしょう。

しかし、ますます国際化が進むこれからの日本では、場面が許すなら
むしろ「率直に申し上げますと~」と言うほうが
ポジティブでいいと思いますが、いかがでしょう。

──────ポイント

☆「愚見を申しますと~」は、自分の意見を謙遜して言う正しい表現です。
ただし、文章で読むと分かりやすいのですが
耳から入ると分かりにくいので「私見を申し上げますと」
「個人的な意見ですが」のほうが聞きやすいでしょう。
「意見」にはたくさんの類義語があるので、意味を押さえておきましょう。
「率直に申し上げますと~」も上手に使ってみましょう。

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