お連れ様がお待ちになっております | ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

「お連れ様がお待ちになっております」

2人以上で待ち合わせをして、自分が遅れてお店に着いた。
そんな時にお店で聞くフレーズです。

「お連れ様」は正しい言い方です。
「お待ちになる」も「待つ」「に「お~になる」をつけた正しい表現です。

しかし「おります」をつけているので変なのです。


「お連れ様がお待ちになっておられます」がいいでしょう。

広辞苑によれば「おる」は「ゐ(坐)あり」が転じたもので、「動きを止めてじっと同じ状態でいる意」とあります。人の場合に多く用いられますが、古くは人以外にも用いました。「今日は晴れておるか」と、立場が上の人から下の人に使うことが多かったために、上の人が動作の主である下の人を低める表現として古くは解釈されていました。


「いる」のほうが使用頻度が高くなってきた結果、「おる」は改まった感じがするようになってきた背景があります。

同じく、広辞苑では「おる」には、「その場を動かずにいる。じっとしている」という意味もあります。

もうひとつ「動詞、助動詞の連用形、またはそれに助詞「て」の付いたものに付いて自分に付いて卑下、他人に付いて軽侮・罵言の意味を含むことがある、とあります。
冒頭の用法は、これに近いので、聞いた人が違和感を持つのでしょう。

「お待ちになっている」のはお連れ様、つまり動作の主体です。
話す人(店員)が、お連れ様を低めて、遅れてきた人(つまり話す相手)に対して敬意を表現することになるので、やはりいい用法とは言えません。


「お連れ様がお待ちになっておられます」
「お連れ様がお待ちになっていらっしゃいます」

がいいでしょう。

──────ポイント

レストランなどで先に来たお客様の存在を
後に来たお客様に知らせる場合は
「お連れ様がお待ちになっております」ではなく
「お連れ様がお待ちになっておられます」
「お連れ様がお待ちになっていらっしゃいます」
「お連れ様がお待ちでいらっしゃいます」


*「おる」には、文中にあるように「今日は晴れておるか」など上からの目線で使われていた歴史的な背景があります。このため「おる」という言葉に謙譲の意味を感じる方があり、「おられます」になっても違和感を持たれる場合があります。




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