クッションショック
ワクワクしたい。
けど、
ワクワク出来ない。
そんな場合は
何よりも先にやるべきことがある。
『記憶の再構築』
それは
ワクワク出来ない自分の記憶を辿り、
ワクワク出来る自分を取り戻す旅路。
まずは、
ワクワクするのに必須な
“気力・活力”を養うために、
睡眠の質を見直すことから
始めなければならない。
だからあの時、
僕は様々な書籍やネットの情報を元に
自分専用の『睡眠チェックリスト』を
日々アップグレード&実践してきた。
ところが1年以上経過しても、
“漲る活力”は手に入らなかった。
だから、捨てたのだ。
…
そんなリストの中に、
ヤツは名を連ねていた。
『快眠まくら』
僕は心の中で悪態をついた。
「は。
なにが“快眠”まくらだ。
笑わせるな。」
そしてあろうことかその日の夜も、
床についてから首の位置が定まらず…
もう、我慢の限界だった。
「…
貴様はもはや用なしや。」
僕はベッドから立ち上がり、
この名ばかり快眠まくらを
無言でゴミ箱に突っ込み、
変わりに
座布団代わり使っていた
スポンジ状の安物クッションを
頭部にあてがった。
すると
不思議なほどに
違和感なく、眠気に包まれた…
翌日。
いつも通り目が覚めた。
いつも、通り…
いや、一つだけ、
決定的に、違う点があった。
明らかに、
首が、変だった。
それもそのはず。
あれだけ“何ヶ月”も続いたのに。
首が、
左右に“普通に”曲がる。
…
まさか。
僕は思わず
ゴミ箱の方向に目を向けた。
確かに、僕も
本やネットで度々目にしていた。
『枕は自分に合ったものを』
でも、ヤツと出会った当時は、
首の痛みなんて…無かったのに。
更には
他のチェックリスト項目の
甲斐もあってか、徐々に寝つきが
良くなってた気がしたから。
だからこそ
1年以上の間、
ヤツを疑おうなんて
そんなの全く頭に無かった。
…
…
何れにしても、僕は決めた。
リストとは完全に決別して、
自分の感覚だけを頼りに、
過度の緊張状態に、挑む。
それも、
首を、集中的に。