トゥルーディー大叔母のホワイトフルーツケーキ | COCOのおいしい話

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  毎日のごはんやお気に入りのおやつ、おいしそうなお料理やお菓子が登場する物語やエッセイを紹介しています。

*Great Aunt Trudy's White Fruit Cake*


週末はいよいよクリスマスですね。

我が家もキャンドルやリース、クリスマスツリーでちょっとだけムードアップしました。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、ツリー、リース&キャンドル


童心に帰って(笑)暖炉には靴下(こちらではストッキングと呼びます)を下げます。銀之丞と私、休暇を過ごしにやって来た姉、そして3年前に亡くなった飼い猫ムーカウの分の4本。

ストッキングの中には小さいサイズのプレゼントと、大抵はチョコレートやキャラメルなどのお菓子を入れて贈り合うのが我が家では慣例になっています。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、ストッキング


リースの松ぼっくりはもともとついていたもの。それにリボンとオーナメント、鈴をつけました。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、リースアップ


テーマカラーは「金、銀、赤、緑」。それ以外の色を使おうとすると銀之丞から「それはクリスマスっぽくないよ?」とダメ出しが(笑)。

お菓子を入れておく鉢にも小さなオーナメントを。これは銀之丞お気に入りの日本のチョコレートです。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、菓子鉢


クリスマスと言えば私が必ず読み返す一冊にホフマンの「くるみわり人形とねずみの王さま」があります。

ずっと欲しいと思いながら買いそびれていたミニチュアのくるみ割り人形を、今年姉が誕生日にプレゼントしてくれました。

色違いで3体。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、くるみ割り1


CDプレーヤーを乗せているコンソールテーブルです。ガラスのオーナメントと松ぼっくりと一緒に。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、くるみ割り2



そしてこちらはクリスマスカラー鮮やかな…。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、ケーキアップ


この季節のうちの定番になっているフルーツケーキです。

フルーツケーキ、と聞いたらまずどんなものを思い浮かべますか? 

私の場合はドライフルーツ入りのどっしりしたパウンドケーキで、どちらかと言えば苦手なお菓子だったのです。上の写真の「トゥルーディー大叔母のホワイトフルーツケーキ」に出逢うまでは…。

2000年、夫の生まれ故郷のミネアポリスに引っ越して初めて迎えたクリスマス。親族が集まったパーティーで、夫の90歳をとうに越した大叔母(銀の父方の祖母の妹)トゥルーディーから、みんなに手作りのフルーツケーキが贈られたのです。

手のひらに乗る程の大きさの小箱が配られると、みんなが口々に「まあ、嬉しい! トゥルーディーのフルーツケーキ、大好きなのよ!」と言って大喜び。

私も笑顔でお礼は言ったものの、正直なところ、アメリカのお菓子の甘さには辟易していたので、「これも歯にしみるほど甘いに違いない…。小さい箱でよかった。」と思ったのです。

家に帰って開けてみると、箱はクリスマスカードを使って作った手作りのものでした(グッドアイディア!)。金色の紙に包まれたそのケーキは、私が思い描いていたものとは様相を異にしていました。

赤と緑のドレンチェリーにデーツやレーズン、それにくるみ、アーモンドなどのナッツがぎっしりひしめき合っています。ところどころ黄色く見えるのはパイナップル。想像していたバターケーキの生地はみじんもないのです。

食べてみると…。

ドライフルーツがみっしり入っていますからその部分は甘いのですが、香ばしい、でも淡白な味わいのナッツもたっぷり入っているのでそれがいい緩和剤になっています。

特に今まで「味がなくてイマイチ」と思っていたブラジルナッツのほのかな脂肪っぽさ(?)がとてもおいしく感じられてびっくりしました。

こちらがブラジルナッツ。ぽくぽくした食感は、ちょっとマカダミアナッツに似ています。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、ブラジルナッツ


フルーツとナッツの蒸しようかんのような感じで(?)私は大いに気に入り、私と同じくフルーツケーキと聞いただけで「ボクの分も食べていいよ。」と失礼にも見向きもしなかった銀之丞にも、「これはおいしいから食べてみて!」とすすめました。

果たして彼も「こんなフルーツケーキは初めてだ!これはおいしい!」と大絶賛。後日、大叔母にお願いしてレシピをいただいたのです。


話はちょっと変わって…。

クリスマスのフルーツケーキと言えば、有名なのはイギリスのクリスマスプディングですね。「大砲の弾のような」プディングが登場するディケンズの「クリスマスキャロル」も、この季節には必ず読み返す作品です。

でもこの本よりも更においしそうに、念入りにこのプディングが描写されているのはクリスティーの「クリスマス・プディングの冒険」です。

まず豪華なクリスマスディナーのメニューと、ポアロの健啖ぶりに食欲をそそられます。彼の肥えた舌をも満足させたクリスマスプディングは、七面鳥ディナーの最後に、よぼよぼの執事が銀盆にのせて運んで来ました。

大きなフットボール型をしたそれにブランデーがふりかけられ火がつけられると、その炎が消えないうちに皆がそれぞれ願いごとをするのです。プディングの中には占い用にボタンや銀貨や、盗品の大きなルビーまでが隠されていて、さあ、誰にどれが当たるのか…? ポワロが受け取った「プディングには手をつけるな」という警告の意味は…?

ポワロものにしてはちょっと異色の、コミカルなサスペンス短編です。クリスティーの子供の頃の思い出であろう、伝統的なイギリスのクリスマスの慣習やプディングの作り方の細かい記述が興味深かったです。家族のみんなで願掛けをしながら混ぜて作るということを、この本で初めて知りました。

このイギリス式のプディングを私は残念ながら食べたことはないのですが、レシピを見るとフルーツ、ナッツの他にスパイスや牛脂も入っているので、ちょっと重い印象でしょうか。

実際、林望氏は著書「イギリスは愉快だ」の中の「甘いクリスマス」で、イギリスの友人宅でクリスマスディナーをご馳走になった夜、ひどい胸焼けに苦しんだと書いています。イギリスではクリスマスプディングとは別に、クリスマスケーキ(マジパンで包まれたフルーツ入りパウンドケーキ)も食べるものなのだそうです。

それでもイギリス風のクリスマスも、いつか機会があったら是非味わってみたいです。


アメリカのフルーツケーキに話を戻します。

この「ホワイトフルーツケーキ」…ホワイト、というのは、モラセス(糖蜜)やブラウンシュガーを入れて色濃く仕上げたものと対比させてそう呼ぶらしいのですが…これは、あまり一般的ではないレシピのようです。

一般的な方の、ドライフルーツ入りのパウンドケーキである「フルーツケーキ」はこの季節の贈り物の定番で、アメリカ人も家で手作りしたり、またベーカリーの店頭にも山と積んで売られるものなのですが、実は「もらって嬉しくないギフト」のトップスリーにも入る物なのだそうです。

事実、大叔母のフルーツケーキを初めて作った年、沢山出来たので銀之丞の職場の方達にお裾分けを、と思って彼に持たせたのですが、「フルーツケーキを持ってきたよ。」と言った時の同僚達の反応は芳しいものではなかったようです。

これもこちらに来て初めてわかったことなのですが、アメリカ人は食べ物の好き嫌いを割合はっきり口にします。お招ばれの席であっても頂き物であっても、日本人の大人のように「嫌いだけど悪いからとりあえず食べなければ」というような我慢を(気遣いはしても)あまりしないのですね。

同僚の女性の一人は、「フルーツケーキい?」と(日本語に訳せばこのような抑揚で言ったと思われる)顔をしかめて見せ、「私、フルーツケーキは食べないの。」と言い放ったそうです。

夫が、これはその辺のとは違う種類のなんだ、食べてみればわかるよ、と尚もすすめると、疑わしそうに手に取り、口にして、「ああ、これは本当に違うわね。これならおいしいわ。」と言ったそうです。

でも夫は私の手作りだと説明した筈で、そう聞けば、アメリカ人でも「おいしい」と言わざるを得なかったんじゃ…?と思ったのですが、その女性が「ハズバンドにも食べさせたいからもう一つ」と持ち帰り、そのハズバンドも「おいしい、これはどこで買えるんだい?」と言っていたと聞いて、どうやら本当にお口に合ったらしい、と安心しました。

他の皆さんも「このフルーツケーキならおいしい」と言って食べてくれたようで、今では毎年楽しみにしてくれているとか。

以来12月になるとこのケーキを焼いて、友人、知人にもお裾分けするのが恒例になっています。大きな型で作るのですが、多い時は2、3本焼くこともあります。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、焼き上がり


トゥルーディー大叔母に倣って、金紙、銀紙で包み、クリスマス仕様のシールでとめて。


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、プーボックス


レシピは別にアップしました。こちらです。→「*レシピ*トゥルーディー大叔母のホワイトフルーツケーキ」


COCOのおいしい話-フルーツケーキ、クリスマスツリー


トゥルーディー大叔母は今年御年103歳を迎えられました。最近はベッドで過ごすことが多くなったものの、お元気でいらっしゃるそうです。

Trudy, thank you so much for introducing us to this wonderful fruit cake.

Merry Christmas and Happy New Year!


どうぞ皆様も楽しいクリスマスをお過ごし下さい。








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