250.2 妄想 金の斧 ❤続編❤ | かたくりのつれづれのままに

250.2 妄想 金の斧 ❤続編❤

只今、妄想をまとめ中です。
過去の小話です。抑え気味のストーリーなので読み手が妄想を爆走してください(笑)
 
 
池の平登山道から妙高山を登った。
妙高は標高が高い、眼下に霧が雲海のように広がり盆地が消え、斑尾・志賀などの山が雲海に突き出すように見える。
遠くに野鳥の声を聞きながら登っていくと白滝付近のガレ場で思いがけずクモ★マ*ツマキ★チョウを見た。
かたくりのつれづれのままに-\クモマツマキチョウ

 
手の届きそうなところの花にふわりととまった。 
心臓の鼓動がはっきりとわかるほど興奮した。
接写をしようと近づくとそれを茶化すように数メートルはなれた花にまたとまった。
何度か繰り返し追いかけているうちに、霧がでて周囲がつつまれた。
方角が分からなくなった。
かたくりのつれづれのままに-霧
振り返ると、透き通るような薄衣をまとった女神が立っていた。
薄衣の袖の先が朱にそまりさきほどのチョウを思わせた。
若く、色白の美しい女形であった。
長い黒髪を丸く結わえ古代の壁画の女をおもわせる。
柳眉でふっくらとした頬、切れ長でまつげが長く口にさした紅がまぶしい。
タケノコ採りで根堀りをなくしたとき出遭った女神のことを思い出した。

 
「そのせつはありがとうございました。」
「根堀りのことは妹の“赤倉”のことであろう。
私は、双子の姉“妙高”そなたに逢うのははじめてじゃ。」
「ついて参れ」
言外に有無をうわさぬ雰囲気があった。
顔立ちはそっくりだが、先の女神の柔らかな微笑みはなくややきつい印象をうけた。
 
数分ほど霧の中を歩いていくと、石の祠がありそこで立ち止まった。
女神が祠のまえで何事か唱えると二人は祠に吸い込まれた。
 
気がつくと、先ほどの霧は晴れて一面に花が咲いていた。
ニリンソウ、ハクサンフウロ、ムラサキサギゴケ、フデリンドウ、イワカガミ、ガンコウラン・・・・・
女神のあとをついていくと彼女は振りかえり妖しい含み笑いをした。
結わえた紐をほどき黒髪を伸ばし、薄衣の結びをゆっくりとほどきはじめた。
男は状況がのみこめず息をのんだ。
「“赤倉“とあったとき、風に衣が乱れて情をもよおしたであろう。お前のその情の先が知りたい。」
薄衣を脱ぎ捨て一糸まとわぬ姿になると女神は、花の咲き乱れる園に身を置いてもう一度微笑んで身をころがした。
 
男は心が乱れた。
 
(2013-07-07 18:57:06 original wrote)