買って後悔した唯一のカメラ | Photograph to Life ~生活に写真を~

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10歳のときに始めて手にした「Konica C35EF」以来、何台ものカメラを手にしてきましたが「買って失敗した」と思ったカメラは以外と少ない私です。むしろ、手放したり壊れたりで残念と思った方です。
C35EFは親父が買ったカメラなので別として、「Nikon FG」「Nikon NewFM2」「Nikon F301」「Kodak ADVANTiX 4100ix」と銀塩を、「Kodak DC210A Zoom」「CASIO EXILIM EX-S1」「Nikon D50」「Nikon D700」「FINE PIX Z33WP」とデジタルを、さらにオークションで手に入れた「PENTAX AUTO110」「Nikon PRONEA S」「Nikon F70D」「AGFA OPTIMA Sensor」、ハードオフのジャンクコーナーで見つけた「Kodak EasyShare C330」と数多くのカメラを所有し使ってきましたが、後悔したのは「Nikon FGを手放した事」で、残念と思ったのは「Kodak ADVANTiX4100i」を息子が壊してしまったときです。

そんな私も1台だけ「買うんじゃなかった」と後悔したカメラがある。ADVANTiX 4100ixが壊れた後で、簡単カメラが無いと困るという理由で買った「Canon IXY320」です。

Digital Device Life & Work Diary-IXY320 「Canon IXY320」

IXYと言えば、ステンレス素材ボディとデザインの良さからかなりヒット商品になったカメラです。ADVANTiX 4100ixはAPS規格(IX240)のカメラが登場してすぐの製品だったせいもあって「ミッドロールチェンジ(フィルムの撮影途中での交換)」に未対応でしたが、IXY320はミッドロールチェンジ対応でした。私が買った頃(2002年)はデジタルへの移行期だったせいも有って半値以下で購入出来た記憶があります。

はっきり言ってしまうと、IXY320は「デザインだけで見かけ倒しのカメラ」です。APS初期モデルのADVANTiX 4100ixと比較しても劣る画質、もっさりしたレスポンス、子供の動きに追従出来ないAF、操作性の悪いボタン類。見た目の高級感からするとびっくりするほど悪い性能です。むしろ、ADVANTiX 4100ixの安っぽいプラスチックボディに対して、切れの良い解像度のレンズやスイッチオンからのレスポンスの良さ、早い動きにも追従したAFが不釣り合いと思えるほどです(発売当初価格はIXY320が15000円ほど高い)
ミッドロールチェンジもあれば便利ではあるけれど、実際には25枚撮りフィルムを1回使い切り的な使い方をしていたので無くても困らない機能だった(実際、途中でフィルムを変えた事は一度も無い)

IXY320で困ったのは「狙った写真が撮れない」と言う事だ。旅行の際の記念写真などでは困らないのだが、「動き回る子供の写真を」となるとAFタイムラグがひどくて使い物にならない。現在もコントラストAFのコンデジは若干遅れてシャッターが切れる感覚なのだが、それと似ている感じだ。つまるところ、子供の動きで狙った瞬間が撮れないのである。一応はリアルタイムレリーズも可能だが、AF速度が遅いので大抵はピンぼけになる。機構的には「アクティブ・パッシブハイブリッドAF」と凝っているらしいのだが、新しい事に手を出したは良いが詰めが甘いという感じだ。

そもそも、私は1996年にADVANTiX 4100ixを買うまで「AFカメラを買った事が無い」のだ。これは、ずっとMFの一眼で撮ってきて、MFの自由度の高さに慣れていたからである。また、旅行先などで「シャッターお願いします」と頼まれてAFコンパクトを触った時など、ちゃんとシャッターが切れているのか不安になるほど聞こえないシャッター音の為に、巻き上げ動作音で初めてシャッターが切れた事に気づくというのになじめなかったせいもある。
それでも、勤務先の労組青年部役員などやっていた当時、常に撮影隊になってしまうので誰でも使えるカメラが必要になり買ったのがADVANTiX 4100ixだった。行きつけの写真店の店主が「使いやすさ」と「画質の良さ」から勧めてくれたので買った物だ。なので、私にとってはAPSフィルムの画質の基準はADVANTiXの画質でもあった。

詳しい資料が無いので断言はできないが、ADVANTiX 4100ixのレンズはガラスと樹脂のハイブリッド非球面レンズを使っているのに対し、IXY320は100%樹脂レンズなのではと疑わせる。IXY320では非球面レンズを2枚使っているらしいのだが、色収差はともかくとして解像度の低さは4100iとは比べ物にならないからだ。もっとも、デジタルにおいてもKodakのカメラが採用しているレンズは秀逸な物と感じる。先日ジャンクコーナーで見つけて買った「EasyShare C330」も400万画素にしてはシャープで解像度の高い描写をしてくれる。100万画素のDC210Aのレンズも同様だ。
カメラの命はレンズだと思うのだが、IXY320にはそれが感じられない。言ってみれば、「ファッションアイテムの一つとしてカメラをデザインしてみました」と言う感じなのだ。確かにステンレスのボディは美しいしデザインも秀逸だと思う。しかし使いやすさやカメラ本来の基本性能がおざなりという気がする。

もっとも、性能が優れた製品が売れるとは限らないのがマーケティングの世界ではあるのだけれども...。



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by TREview