本多孝好『MOMENT』 | 文学どうでしょう

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MOMENT (集英社文庫)/集英社

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本多孝好『MOMENT』(集英社文庫)を読みました。再読です。

この間、『WILL』を読んだのですが、どうやら『MOMENT』とリンクしてるっぽいので、読み直してみました。

主人公は、病院で清掃のアルバイトをしている大学生の男。その病院のアルバイトを紹介した葬儀屋の女が『WILL』の主人公ですね。

つまり、『MOMENT』には『WILL』の主人公が脇役で、『WILL』には『MOMENT』の主人公が脇役で、ちょっとずつ出てるという形ですね。2人は幼馴染です。

さてさて、内容ですが、都市伝説みたいのがその病院にはあって、死を間近にした人の前に、願いを叶えてくれる人が現れるという噂。

主人公はその伝説の人に間違われるんですが、結局、死ぬ間際の人の願いを叶えてあげようとするわけです。そうした4つの短編の積み重ねで、長編のようになっています。

それぞれのお願いが、お願いとその結果がちょっとずつひねってあって、ミステリー的には小気味で面白いですが、なんだか後味がいい感じではないですね。

WILL』の時は、ぶっきらぼうな主人公に共感ができなかったわけですが、『MOMENT』の主人公は、なんだかやる気がないのに、ウィットにとんでいて、なんだかんだなんとかなるところは、村上春樹の小説の主人公っぽかったりします。

それはそれで共感しにくいという(笑)。もっと必死になれよ、と思ったり思わなかったり。読みやすいは読みやすいので、興味のある方はぜひぜひ。