ULTIMATE MC BATTLE 2008 東京予選 その④ | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。

前回の続き。

そう、決勝のステージに残ったのは般若とRUMI。因縁の対決なんてチープな言葉は相応しくないし、当人同士にしか解らない何かが確実にある2人。12年前、YOU THE ROCKのナイトフライトでデモテープ「般若経」を紹介された、刺客ヨシと女夜叉RUMIの、あの般若。

いつしか2人は袂を分かち、別々のHIP HOP街道を歩んできたと言えよう。そこには紆余曲折あっただろうが、結果的には2人ともマイクを置かずにここまでやって来た。そして再会したのはバトルのステージ上…。もうドラマチックすぎる演出に、会場が息を呑む。

準決勝でZONEを破ったRUMIはそのままステージに居て、マスターらに呼ばれて袖から般若が登場する。ここで般若、途中まで歩いてきたのに、先に待ってるRUMIを見て引き返すマネをするというお茶目な行為に。即座に司会の3人に、「逃げんな逃げんな(笑)」と突っ込まれてステージに戻ってくるのだが。なんか、彼女に浮気がバレた時みたいな1シーンだったな~。


ジャンケンで勝ったRUMIが後攻を選び、ビート選択権のある般若は、ブラックムーンの「WHO GOT DA PROPS?」を選ぶ。そしてバトル開始。


初っ端から般若は、「オマエはいつかバックレた!」と、キツい一言。対するRUMIは、「オマエの音源で確認しているアタシは自分の位置もオマエの位置も全て見えてる」や、「通す筋なんて、口じゃ何とでも言える!」と、互いの内面をエグり出すような言葉を吐いていく。般若も、「とりあえず(結婚)おめでとう」的な優しさを垣間見せたり、どちらもここまでの試合とは違った雰囲気の中でのバトルだった。

この決勝まで危なげなく勝ち進んだRUMIだったが、やはり般若が相手ではやりにくかったのだろうか、ここまでのようなパンチラインがなかなか出ずに、勝利の女神は般若に微笑んだ。この日の般若は、バイブス、アンサー、リリックの内容、と申し分ない出来で、誰にも止められず優勝した。1回戦からほぼ全ての試合を見ていた俺は、般若の優勝にケチをつける気なども毛頭ない。ただこれは考えすぎなのかも知れんが、RUMIは般若に勝つ事を遠慮しているようにも見えた。

優勝後に般若は、「1回戦でドタマってヤツに負けたかと思った」と洩らし、会場の笑いをとったが、あれはマジな感想だったのだろう。確かにドタマはソートー追い詰めてた。それでも会場は東京代表でこの男を選んだ!


勝者の表情!
同じS53年産まれとして、何か嬉しい。般若は作品もライブもバトルも、全てがスリリングで聴く者を魅了してやまない。俺もそんな般若に今もヤラレている一人のヘッズだ。「なんでアルバムをドクター・トーキョーってタイトルにしたか解っただろ?俺が東京代表だからだ!」と言ってのけた般若。最後は優勝賞金の5万円を会場に投げ込むフリをして、自分の懐に入れ、「早くキャバクラにいきてー」と胸のうちを明かす。マスターに「時間的にまだ早いだろ」と突っ込まれるも、「日曜はこれくらいがイイ」と一言。最後までカッコ良かった。

ハンパないこの東京代表にマイク5本、いや、5000VOLT。