今回も引き続き『アフター・モダニティ』の感想&まとめをやっていきたいと思います。
今回は浜崎洋介氏が担当した第Ⅱ部の前半部分を取り上げたいと思います。第Ⅱ部では昭和初期の文学、そして小林秀雄にスポットが当てられております。それでは、さっそく行ってみましょう。
第Ⅱ部「「批評」の誕生―小林秀雄と昭和初年代」(浜崎洋介)
第5章 「危機」と「批評」―解体する時代の中で
自分とは何か?
自分を形作るものは他人(あるいは環境?)。
ということは自分=他人ということでしょうか。
自己の内面そこにあるものは?外面との違いは?
内面というものや近代的自我が大事にされ栄えてきた大正文学も、関東大震災とその後に続く様々な社会の動乱により、自己の内面や近代的自我に対する信憑性が失われていきました。
自己という存在があやふやなものになってくる危機の最中、小林秀雄により「批評」というものが産み出されたとのこと。
書いてあることはいまいち難しいですが、とにかく読み進めていくとしましょうか(;^_^A
第6章 取り払われた「屋根」―第一次世界大戦と西欧
明治・大正時代と違って、昭和の文学は海外の刺激を受けたのか、世界における問題も日本において同時に見られていたようですね。
第一次世界大戦後の新感覚派やプロレタリア文学とかいうものは世界の影響を受けて登場してきたとのこと。
第一次世界大戦後、ヨーロッパにおいても近代に対する懐疑、精神なるものの危機が勃発。人々は社会秩序(階級や共同体含む)の崩壊を受け、孤立感・不安感を増大させていたようです。砂粒化ってやつですかね?
自己の内面というものが怪しくなってくるにつれてヨーロッパの文学にも変化が訪れたと。
精神の無力感に対し、その「無」を実現しようという流れ(アクセルの道)を十九世紀のヨーロッパ文学は歩き始めます。いわゆる引きこもりってやつですかね?(違っていたらすみません)
一方、二十世紀にはいるとヨーロッパの精神の衰弱に対抗する手段を非ヨーロッパの世界に求める道(ランボーの道)が出現します。また、アクセルの道でもランボーの道でもない主観と客観のあいだを探る第三の道(「政治」への道)なるものも出現したと。
そこで浜崎氏はこの世界の流れと日本の文学史を対比させ共通点を見出します。
アクセルの道の閉塞≒関東大震災、芥川龍之介の死、芸術至上主義の行き詰まり
ランボーの道≒初期小林秀雄の模索、新感覚派文学
政治の道≒プロレタリア文学
もちろん、両者は完全に一致せず、一致しないところが日本固有の問題だろうとのこと。
まぁ、この流れを理解するには世界の流れも理解していた方がより理解が深まるということで設けられた章なんでしょうね。
第7章 近代日本の「不安」―関東大震災、新感覚派、芥川龍之介の死
大正時代には読者人口も増え、優雅な暮らしをしていた作家さんたちですが、関東大震災以後は、人々は本など読んでられるかってな時代に突入しちゃったと。
はたして昭和文学はどうなっちゃうんでしょうか?
関東大震災によりガラリと作風が変わってきた昭和初期の文学会。そこで現れてきたのが新感覚派と呼ばれる人たちだったようですね。「個人」の内面にアプローチする感じではなく、「個人」を「モノ」として捉えるような感じなんですかね?
大正文学を牽引してきた芥川龍之介はその近代的自我が空虚に追い込まれ、「ぼんやりとした不安」という言葉を残して死をとげます。
こうして、日本においても「アクセルの道」なるものの閉塞が訪れてしまったわけですね。自己の内面へ向かい続けることが不可能になってしまったと。
第8章 「非人間的なるもの」をめぐって―プロレタリア文学と近代の超克
個人の内面ではなくその周囲や人間の集団などにアプローチする新感覚派(横光利一ら)でしたが、芥川龍之介の死以後、プロレタリア文学にとってかわられていきます。
理想と現実という矛盾の中で、プロレタリア文学は近代の個人主義を超えていこうとします。しかし、その道もやはり困難なものとなるのではないのでしょうか。
そんな中、新感覚派でもプロレタリア文学でもないところから、一人の男が「批評」というものを産み出していきます。
それが、小林秀雄です。
第Ⅱ部の前半は大正~昭和初期にかけての文学界の流れを見ていきましたが、後半部分は小林秀雄を中心に近代日本というものが歩んできた道のりと、現代日本が抱える問題の突破口を見出していくことになります。
というわけで、次回が『アフター・モダニティ』の最終回です。
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