ブタ積みは1京円突破 | くらえもんの気ままに独り言

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 先日、三橋貴明氏のブログにこのような記載がありました。


新経済世界 ECBと日本銀行(後編)

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11878883813.html#cbox


『日銀の資産において、2013年におよそ70兆円の国債等が増えています。すなわち、マネタリーベースが約70兆円増えたわけです。日銀は国債買取の際に、日銀当座預金の残高を増やす形で銀行に代金を払います。すなわち、銀行の資産における日銀預け金の増加です。70兆円のマネタリーベースが増えた反対側で、58.1兆円の日銀預け金が増加したということは、増加したマネタリーベースの八割強が市中への貸し出しに回っていない、という話になります。』


 マネタリーベースというのは日本銀行が発行した日本円のことです。一般の銀行はお金を現金で持っている他は基本的には日銀にある自分の銀行の口座に入れております(これを日銀当座預金と言います)。つまり、銀行が国債を70兆円分日銀に売った際に、日銀は70兆円の日本円を発行して国債と交換しているというわけでございます。


 上記の引用箇所に対して、私は反論を行っておりますので、興味のある方はご覧になってください。(と言いましても、詳しくはこのあと説明しますが(;^_^A)


 まぁ、三橋氏の言い分を噛み砕いて言うと

「日銀は70兆円も日本円を新たに発行して銀行に渡しているのに、日銀当座預金が58.1兆円も増えているということは、銀行は全然貸し出しを増やしていないんじゃないか!!」

 ということです。

 

 これをブタ積みと呼んでいるわけですね。新たに発行した日本円の8割強にも及ぶ58.1兆円も積み上げるだけ積み上げて使われていないじゃないか。と言っているわけです。


 そこで、正確を期すために日銀のHPからデータをひっぱてきて検証してみました。


 まず、マネタリーベースと日銀当座預金の関係について三橋氏は述べているので、両者のデータについて見てみます。2013年の話をしているようなので、2013年1月と2014年1月の平均残高を比較してみました。


マネタリーベース(2013年1月→2014年1月)

131兆9205億円→200兆4141億円

(+68兆4936億円)

日銀当座預金(2013年1月→2014年1月)

41兆957億円→109兆1821億円

(+68兆864億円)

 

 三橋氏が提示したデータといきなり乖離が出てしまいましたね(;^_^A

 おそらく見ているデータが違うのでしょうが・・・。


 しかし、このデータを見て三橋氏流に解釈すると

「日銀は68兆円も日本円を新たに発行して銀行に渡しているのに、日銀当座預金が68兆円も増えているということは、銀行はホントに一切まったく全然貸し出しを増やしていないんじゃないか!!」

 となるのでしょうね。


 でも、それは違います!!


 マネタリーベースは日銀が発行した日本円の合計ですが、「現金(お札と硬貨)」と「預金(日銀当座預金)」の合計になります。日銀が国債etc.を銀行から買い取る時には銀行の日銀当座預金口座にお金を振り込むわけですが、そうするとマネタリーベースが増えた分だけ日銀当座預金が増えるのです。(当たり前ですが)


 ちなみに銀行が貸し出しをいくら増やしたとしても日銀当座預金はピクリとも動きません。簡単な例で説明すると


例)A銀行からB社が100億円借りてC社に投資をしました。


 C社の口座もA銀行にあるならば、A銀行の日銀当座預金は±ゼロです。

 C社の口座がD銀行であった場合は、A銀行の日銀当座預金は-100億円ですが、D銀行の日銀当座預金は+100億円になるので、トータルで見れば±ゼロです。


 つまり、「マネタリーベースを増やしたけど、日銀当座預金も増えてるじゃないか、ブタ積みだ!!」なーんて言うのは筋違いも甚だしいというわけでございます。


 お?いつもと違ってリフレ派擁護か?と思ったみなさん。


 安心してください。息の根はきちんと止めますので(^O^)/

 

 さて、銀行は預金者がお金を引き出したい時etc.に備えてもっているお金の一部を日銀当座預金に入れておくことが法律で決まっています。これを準備預金制度と言います。銀行の形態や規模によって準備率(準備預金に回さなければならない比率)は違いますが、平均すると約0.95%くらいの準備率になっています。


 つまり、銀行に100億円のお金があれば、9500万円は日銀に預けなくてはならず、残りの99億500万円は貸し出しに使ってもいいよということになります。貸し出された先の金融機関は99億500万円のうち、0.95%は日銀に預けなくてはならず、残りの99.05%は貸し出しに使ってもいいよということになります。以下、延々に続く・・・。


 それでは、ブタ積みに話を戻します。

 日銀当座預金のうち準備預金制度の対象外の証券会社・短資会社などをのぞいた金融機関の日銀当座預金を準備預金と呼びますが、法定準備預金を超えた額の準備預金を超過準備と呼びます。


 簡単に言うと銀行に100億円のお金があって、90億円しか貸し出していない場合、本来では日銀当座預金にお金を入れるのは9500万円だけでいいはずなのに、10億円入れちゃっていることになります。この場合、法定準備預金は9500万円で超過準備は9億500万円ということになります。

 この超過準備のことをブタ積みと呼ぶのです。(分かりましたか三橋さん?)


 それでは、超過準備(ブタ積み)の推移を見てみましょう。



超過準備

 はい。ブタ積み容赦ないですね(苦笑)


 先の例にならって2013年1月と2014年1月を比較してみました。


法定準備預金(2013年1月→2014年1月)

7兆8560億円→8兆2402億円

(+3842億円)

準備預金(2013年1月→2014年1月)

37兆6683億円→98兆6683億円

(+61兆円)

超過準備(ブタ積み)(2013年1月→2014年1月)

29兆8123億円→90兆4281億円

(+60兆6158億円)


 この1年間で60兆6158億円ブタ積みを増やしたというわけですね。アベノミクス(失笑)・・・。


 それでは最新の2014年3月のデータを見てみましょう。


法定準備預金:8兆2355億円

準備預金:114兆8763億円

超過準備:106兆6408億円


 2014年3月の時点ではブタ積みはさらに増えて106兆6408億円になっていたというわけですね。


 では、このブタ積み分の106兆6408億円がすべて貸し出しに回ればブタ積みははれてゼロになるんでしょうか?


 それは違います。


 貸し出された先でも準備預金に回すのは0.95%の1兆131億円だけでよいので、超過準備(ブタ積み)はまだ105兆6277億円残っているということになります。


 それでは、あといくら貸し出しが増えればブタ積みがはけてしまうのでしょうか?それは、なんと・・・・・


1京1225兆3474億円!!!!!!!!!!!!!!


 まぁ、準備率を一律0.95%を採用しましたが、実際は金融機関毎に違うので正確な数値は若干違うでしょうが、とんでもない数値になっております。つまり、あと約1京1200兆円分、銀行の貸し出し余裕があるというわけですね。(三橋氏のブログのコメント欄で約8000兆円て書いてましたが、ちゃんと計算したら既に1京円超えてました(;^_^A)


 異次元緩和とか言ってバカみたいに通貨を発行しまくった結果が1京円を超えるブタ積みだったというわけです。


 日銀の重要な仕事の一つに金融調節がありますが、本来であれば日銀は金融市場で資金需要が増えた(資金不足)ときには日銀当座預金を増やし、資金需要が少ない(資金過剰)のときには日銀当座預金を減らすことによって、金利を適切にコントロールすることをやらなければならないはずなのです。しかし、本来の業務を放棄して通貨を発行しまくった結果がこの体たらく。


 適切に日銀当座預金の規模をコントロールしてさえいれば、出口戦略の心配もする必要はなかったはずなのに、無駄にブタ積みを増やしすぎた現日銀&安倍政権。出口戦略のむずかしさだけでなく、過剰なブタ積みが海外に利用され不要なバブル形成の誘因となってしまう可能性も・・・。


 そろそろ、これ以上の金融緩和は無駄どころか有害であることをリフレ派の連中および安倍政権は認識していただきたいものです。だいたい、これだけ積み増しても、景気良くならないことは分かったんだから(いや、分かってない?)、

とっとと、借りて使えよ

と言いたいです!!


 それどころか、移民に規制緩和に消費税増税・・・・・・。金を使わないことばかりしか考えていない・・・。一刻も早く支持率を下げなければ日本がもたなさそうです・・・。


 それでは最後に一曲


「詭弁出す(愛は勝つ)」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm23079777



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