『僕たちは戦後史を知らない』 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回は佐藤健志さんの『僕たちは戦後史を知らない~日本の「敗戦」は4回繰り返された』を読んだ感想になります。といってもこの本は少し前に読み終わっていたのですが、その前に出た『震災ゴジラ』と合わせて読むと、なお面白いです。


 この本の中では「第一の敗戦」は文字通り、1945年8月15日の玉音放送時のことを指されておりますが(ちなみに正確な敗戦については本当はこの時ではないことを指摘されています)、当時の日本人は「アメリカという「真の日本」が勝ったので、日本は敗けたと意識していなかった」と思っていたとのこと。


 そんな馬鹿な!?Σ(゚д゚;)


 しかし、実際に本書を読むと、なるほどそうだったのかと思わされてしまいます。つまり、戦後の日本人はファンタジーの世界を作り上げファンタジーの世界の住人として今まで生きてきたというわけのようです。これだけでもなんとなく恐ろしい気分になってしまいますね(((゜д゜;)))


 ファンタジーの世界に生きていた日本人ですが、世界情勢の変化でファンタジーの世界が崩壊していくのですが、さらに新たなファンタジーを想像することによってファンタジーの世界に居座り続けることに成功します。それがよかったことだったのかは分かりませんが・・・。そして石油危機などの影響もあり、高度成長がストップすると「第二の敗戦」がささやかれるようになっていました。


 しかし、崩壊しかけたファンタジーにしがみついていた日本人は再び戦後を繰り返すのでした。しかし、1990年代に入り、バブル崩壊、阪神淡路大震災が起き、冷戦が終了しても世界が混沌とする中、再び「第二の敗戦」(第三の敗戦ではない)がささやかれ始めたと。そして、三度戦後を繰り返し、構造改革に邁進するのですが、景気はかえって悪化。東日本大震災時に、また「第二の敗戦」(第四の敗戦ではない)という言葉が躍る。


 こうして日本は第一の敗戦のあとは戦後と第二の敗戦を何度も繰り返しているということですねこのあとはワクワクリフレTPPを推進していって、首都直下地震で四度目の「第二の敗戦」ってことでしょうか?ここらへんで地獄のらせん階段から抜け出したいものですね。佐藤さんも最後に書いていましたが、「ファンタジーの戦後史」にしがみつかず、真の戦後史を知らなくてはならないということでしょう。


 そういえば、藤井先生がメルマガで本書について触れていましたね。

 【藤井聡】「まどかマギカ」って、「戦後脱却」物語?

 http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/12/24/fujii-68/


 私もたとえ話を一つ思いついたので、書かせていただきます。分かりにくかったらすみません。


 テレビゲームなんかを進めていくと要所要所でセーブ(記録保存)をしていくのですが、ごくたまに「そこでセーブしちゃアカン!!」というところでセーブすることがあります(アカンかどうかはセーブした時には気づかないものですが)。それで、先へと進めていくと、どうしてもクリアできなくて、ついにはゲームオーバーとなってしまいます。もちろん、セーブしたところから再開して、試行錯誤しながら再び進んでいくのですが、やはり再びゲームオーバーとなってしまいます。そして、またセーブしたところから再開して、いろんな手段を講じて先へ進もうとするのですが、やはりクリアできません。


 どうやら、日本の現状はこんな感じなのではないでしょうか。要するに

 詰んでいるのです!!!!!!!∑ヾ( ̄0 ̄;ノ


 でも、ここまで時間をかけてきて、バックアップはその詰んでるセーブデータしかありません。人の心としてはどうにかしてこのデータを使って、先へ進みたい。何か道はあるはずだ。と考えたくなるのは分かります。私もよくやりました。


 しかし、このゲームをクリアしようと思ったら、そのデータは詰んでいるということに気付かなくてはならないのです。詰んでいることに気付かずに先へ進んで、セーブをしてしまったことがいけなかったのです。


 これを本書風に言うと、敗けたことに気付かず(というより敗けていないフリをしていたのですが)先へ進んで、ファンタジーの戦後史を構築してしがみついてしまったことがいけなかったということですね。


 4回敗戦を繰り返したと本書では書いてありましたが、日本人は敗けたと思わずにここまで来てしまったのです。そろそろ敗けを認めるべき時が近づいてきたということではないでしょうか。そして、また一からやり直していかなくてはならないということなのではないでしょうか。と言ってもファンタジーの世界で過ごしてきた70年が無駄だったわけではありません。なんとか先へ進もうと試行錯誤したことは財産になるはずです。この経験がリベンジマッチ時に役に立つはずです。というわけで


 日本人のみなさん!一度ちゃんと敗けましょう!!

 そして最初からやり直しましょう!!!


 あぁ。でも、データが詰んだと分かった時に最初からやり直すか、投げ出すかというのが一つ敗けを自覚した時に発生する問題ですね。このブログの読者のみなさんは投げ出したりしませんよね(^_^;)??


 三月末には佐藤健志さんと中野剛志さんの対談本も出るみたいなので、それも読んだら、また感想を書いてみます。


 本書の詳しい解説は下記動画を参照

【古谷経衡】さくらじ#119 佐藤健志が語る『震災ゴジラ!』と『僕たちは戦後史を知らない』【saya】


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