山本文緒のエッセイ「結婚願望」。
読むページ読むページ、共感の連続でした。
なかみはタイトル通り、結婚願望を軸に、
オンナの一生を綴るシロモノと断言してしまいます。
さらにエッセイというより、ひとつのドキュメンタリーともいってしまおう。
というわけで、物語は「二十代の結婚願望」にはじまって「三十代の結婚願望」「みんな結婚する」「もう半分の人生」の章へと続く。
なぜに“四十代の結婚願望”が抜けているかというと、
当時の山本文緒は、バツイチの37歳。
それ以降のことは実感として分からず、
人生八十年として、
まだ四十年も生きなくてはいけない……。
そのなか、なぜ結婚したいのか、しなければならないのかを考察していく。
そして、独身のまま生涯を過ごす覚悟をすることと、
結婚をあきらめることは、大きく違う……と定義し、
どうやって残りの人生を過ごしていくのか、様々な対策も語られていくわけだけど……。
二十代後半以降の女子で、一行も共感しない人が果たしているんだろうかと思った。
特に恋愛体質の人はそーだ。
いつだって礼儀正しい人間関係をジャマするのは恋愛感情であり、それに伴う独占欲である。
ふむふむ……。
結婚したいほど好かれている、という事実ほど、その人個人の存在を肯定するものはなかなか他に見つからない。(中略)人格がはっきりと肯定される瞬間というのは、意外と少ないものだと私は思う。
ふむふむ、確かに……。
と、共感しまくりなんである。
いちばん面白いのは、
文庫版(その二年後)あとがきで「知り合って二ヶ月の男性に求婚され、嬉しかったので結婚を決めました」の“嬉しかった”というくだり。
読むときは、ぜひに文庫版を読みましょ。
ちなみに、この本に書かれている問題提起のほぼ9割近くは、
もう自分で“答え”を出しているワタクシですが。
ウィリアム・エヴァレットの「いかに愛するか」に続く、人生第二の書に認定でございます。
※過去の個人ブログからの転載でございます。
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