やっちゃんのmy Pick
もしビジネスパーソンや学生さんのあなたが、後輩からこう質問されたらどう答えますか。
「先輩、グーグルの会長がスゴイ額のストックオプションを受け取るって聞いたんですが、ストックオプションって何ですか。」
「・・・そろそろ花粉症の季節だからね。『ヘックション!』や『ヘップション!』というクシャミに混じって、『ストックオプション!』という声も聞こえるよ。」
「・・・。(一応感心したふり)」
そんな強引なボケをしても、ごまかされません。後半の「オプション」はそれでごまかせたとしても、前半の「ストック」はどこから出たんですか、「ストック」は。
『・・・いつも強引なボケをする人、説明をお願いします。』
まず結論からざっくりいうと、「ストックオプション」とは、
企業の役員や従業員に「一定期間ならば、あらかじめ決めた価格で自社の株を買っていいですよ」という権利のことです。
具体的に説明しましょう。
ここに、急成長した「ジオン社(仮名)」という機械メーカーがあると仮定します。
その会長兼CEOであるデギンさん(仮名)は、小さな企業であったジオン社を一代で巨大企業へとのしあげました。
ジオン社がまだ小企業だったとき「将来きっと株価が上がる」という思いから、また役員・社員のモチベーションアップのためにストックオプションを取り入れ、自分をはじめ役員・社員に「5年以内に1株300円」でジオン社の株を買う
「権利」を1株ぶんずつ与えました。
3年後、ジオン社の新製品が大ヒットし、ジオン社の株は3,000円になりました。
ここで、もし役員・社員がこの「権利」を行使(こうし)すれば、3,000円の株を300円で買えるので、差し引きすると、
3,000円-300円=2,700円の利益が出ることになります。
逆に、大ヒットがなく、株価が100円だった場合は、わざわざ100円の株を300円で買う必要はありませんので、「権利」を行使しなければいいのです。
(話をわかりやすくするために1株ぶんとしましたが、日本では会社法上、付与する株式数に制限はありません。)
このように、ストックオプションには「手元に現金がある必要がない」などのメリットもありますが、逆に権利の行使によって多額の報酬(ほうしゅう)を手にした人材が流出する危険性もあり、経営者としてはあまりに多くのストックオプションを与えるのもリスクが大きいといえます。
最近のニュースで出た、海外の例も紹介しましょう。
2011年1月25日の日本経済新聞夕刊によると、グーグル(Google)の会長兼CEOのエリック・シュミット氏が、2月2日に3,560万ドルの株式と4,440万ドルのストックオプションを受け取るそうです。
(シュミット氏は4月にCEO職を共同創業者のラリー・ペイジ氏に譲り、会長に専念することが内定していますが、退任するCEOにこれだけ大量の自社株やストックオプションを与えるのはめずらしいそうです。)
1ドル83円で計算すると、現在の時価で株式・ストックオプション合わせて1億ドル=83億円。うちストックオプションは約37億円です。
ただ、これはあくまで「時価」なので、グーグルの株価がもし決めた価格より下がればストックオプションを利用して自社株を買うと逆にソンします。
逆にこれ以上株価が上がれば、37億円以上の利益を手にする可能性もあります。
欧米・特にアメリカではストックオプションを導入している企業が多いのですが、日本でも1997年のストックオプション制度の全面解禁後、導入企業が増えつつあります。
ただグーグルの場合はアメリカだから、また成長を続ける企業だからここまでの額のストックオプションを与える(受け取る)ことができるのでしょう。
それにしてもケタ違いの金額で、新聞記事を読んでビックリしました。
ちなみに、「機動戦士ガンダム」に登場したデギン・ソド・ザビには、ギレン・ドズル・キシリア・ガルマのほかに、設定上サスロという息子がいますが、一年戦争前に死亡したことになっていて、物語には登場していません。
(参考:柴山政行/著,『グーグル会計学』,フォレスト出版,2009)
紹介記事へのリンク↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10784904806.html
CEOとCFOの違いを説明した記事へのリンク↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10721181135.html
アメリカの社会のしくみを説明した記事へのリンク↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10686475417.html
ガンダムでビジネス知識を説明した記事へのリンク集Ⅶ↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10794837327.html