21.逃亡 | 【作品集】蒼色で桃色の水

【作品集】蒼色で桃色の水

季節にあった短編集をアップしていきます。

長編小説「黄昏の娘たち」も…

 黎明は東京駅で唯一を降ろすと、その足で同じ目的のために育って来た亘の元へと向かった。

亘は車のディーラーをしながら物資の調達をしている。

亘の住まい兼事務所に着くと合い鍵を使って中へと入っていった。眠っている亘の傍らに立つと無理矢理お越しにかかった。亘はまだ睡眠が充分足りてない様子でなかなか目を開こうとはしないが黎明は話し始めた

「拙いことになった。昨日話した女が彼奴らの探していた女だったんだ。そして、ラドウは俺を疑っている。俺は何て馬鹿だったんだ。てっきり連れの方が奴等の女だと思っていたのにみすみす自ら奴に捧げちまうなんて…おいっ早く起きろよ。奴が俺の事を殺そうとしたんだ!ここも危ない…袖手傍観はもう終わりだ」

「はいはい。起きるよ。ほら、起きたぜ」

亘は起きあがると、デスクの上から書類を取り上げるとそれを黎明に渡しながら

「ほい。これ結花子って女の調査書と例の女神像の調査書。殺そうとしたって?」

「雅が奴にやられた。その亡骸を俺に処分させた。しっかりヴァンパイアに変化させてね。それを俺は処分した…時間の問題だ。俺がハンターだってばれるのもな。雅はここ最近俺の事をずっと見張っていた。盗聴器なんかもつけてな…ラドウが行動を起こそうとしている、こっちも先手を打たなければ…くそっ!もっと時間があると思っていたのに、潜入は失敗だった」

亘は話を聞きながら、着替えを済ませると

「話は後だ。お前の車は此処に置いていく。俺の車に乗っていけ。お前も早く自宅へ戻って始末してこい。ジョーには俺が連絡しておく取り敢えず一度神の家で集合しよう」

黎明は書類の束に目をやってから

「じゃ、これはあっちで読むよ。昼頃には俺も着くだろう…」

黎明は書類の束をデスクの上に置くと、亘から車のキーを受け取り外へと出ていった。入れ違いにジョージが姿を現した。

「黎明は?あいつ潜入に失敗したみたいだ…だから俺が入るって言ったのに」

「ああそうみたいだな…今、出て行ったよ」

「無事だったか?」

亘は、黎明に渡そうとした書類の束をジョージに渡すと

「これから忙しくなるよ。取り敢えずレイとは神の家で落ち合う事になっている。俺達も急ごう」


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