本日二人目の受講者は、昨日も受講していたレイチェル・チョン。
今日は、ショパン「舟歌」です。
今夏のサマーコースでの修了コンサートでもこれを弾いたと友人から聴いていたので(私は東京におって聴けなんだ)、楽しみにしておりました。
まず、通した彼女の演奏は、私からすれば、おお・・・文句のつけどころナシ。
さすがレイチェル!
と思いましたですよ。
だけど、気になったのは、レイチェルが演奏していた時のクリスティーナ女史の動向でした。
ペリエ飲む飲む!って、そりゃええんですけど、スタッフに「スナック!」まで要求しまして。
そんで、場内を歩き回り、あちこちで音を(響きを?)聴きながら、時折頭を振り回して、まるで「違う違う!」とでも言いたげな感じで。
そしてレイチェルの演奏が終わるやいなやステージに上がり
マシンガンのように言いまくりました。
レイチェルが各大御所ピアニストのマスタークラスで演奏する様は、この5年間、何度も見てきましたけれども、どんな師も、開口一番に「ブラボー!」と言っては、二の句が告げられないとでもいった感じで無言の時が流れたもんです。
だけど、クリスティーナ女史は違った。
ブラボーなんて、言いません。良かったよ、とも言いません。
開口一番に言い放ったことは
「ショパンの音楽はとてもポリフォニックなんだよね。
その大事な音が、私には全く聴こえなかったんだけど?
それに、Too much pedal !!! これは、Too Romantic だよ。
それからさ、テンポ。
テンポ・チェンジがない間は、常に一定のテンポだよ。
アンタ、テンポが急激に遅くなったり速くなったりしてるよ。」
って、まるで私が日頃言われ続けているようなことを、ホント、弾丸のように浴びせられていました。ビックリした。
まず1小節目。
あのさ、右手、いきなりポリフォニックだよね?
アンタの演奏はさ、右手のトップ・ノートしか聴こえてこないよ?
だけど、右手は常に二声だよ?わかってんの?
それに!
1小節目はさ、3拍目から「ノー・ペダル」!!!
あのね、その後もだよ。
ペダルの指示が異常に細かいよね?
これさ、ショパンの指示なんだよ?
わかってんの?
あのさ、レイチェルさ、この曲、一度仕上げてから、長い事、楽譜見てない(読んでない)んじゃないの?
音も分析もペダルも、まるでショパンの指示と違うよ。
と、冒頭から丸々1ページ、1小節ごとに「そこはノー・ペダル!と
激を飛ばされ弾きなおしさせられまくりでした・・・あぁ、最後まで
到達するのかしら?って、ホント、私の毎度のレッスンみたいに
えっらい細かくなってました。これ、マスタークラスだよねぇ?っていうくらい。
細かく書いていると、日頃の私のレッスン記みたいに、どえらく細かく長くなってしまうので(実際、そのくらい突っ込みが多く激しかった)、大きくまとめて。
・左手と右手の音量バランスを常に聴くこと。
左手は単なる伴奏ではない。左手も一声のラインだということを忘れない。
・右手、重音になる時、それは、単なる「和音」ではない。
それは、常に、複声(ポリフォニック)の動きであることを忘れてはならない。
どの声部も、それぞれの動きとして「聴こえなければいけない」。
・ノー・ペダル!
シヌホド言われてました。確かに、ショパンのペダルの指示はこの曲は
めっちゃ多い。えっ?ここでノー・ペダル?って思っちゃうところで結構、
ノー・ペダルなのだ。
・もう一度、楽譜を読み直しなさい!
アーディキュレイション、強弱、ペダルなどなど。
目を見開いて!耳を開いて聴く!
その作業が大事。
一度仕上げてしまった曲では陥りやすいんだよ。
Not too much pedal !!!
Not too Loud !!!
とにかく私はこの一時間、クリスティーナ女史の「I don't hear!!!(大事な音が私には聴こえない!)」と、「No Pedal !!!」っていうお言葉が、耳タコなほど、今宵、夢に出てきそうな程、聞きました。連発してました。
...&...に参加していますそして、レイチェルは涙が止まらなくなってしまいました・・・
フォローに走った主催者さんに師匠・・・
それを、遠目でずっと見ていたクリスティーナ女史・・・という図がありました。
レイチェルが泣いたの、こういう悔しくて?自分に怒って?か、わからないけど、泣いた姿は初めて見た。
師匠も、初めてじゃないかな?きっと。
嬉しい涙はいっぱい見ただろうけれども。
ご自分が「押し!」でもって、マスタークラスに送りこんで、メッタ斬りされたなんて。。。
とってもフクザツな気持ちで見守っていた私でした。
もちろん、何も言えやしません。