「人脈がない」中でチャンスを掴む、2つの方法。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

「人脈がない」中でチャンスを掴む、2つの方法。


来月、中国の広東省に「出張GK指導」に行く事が、正式に決定しました。

ブログで12月と1月の出張G指導やGK練習会の告知
ブログは行っていましたが、まさか「中国」から声がかかって出張GK指導に行く事になるだなんて…予想だにしていませんでした。さすが、僕の中でホンジュラスと並び「ありえない!がある!」国、中国。そして、僕の中でホンジュラスと並び「ありえない縁!がある!」国も、また中国なのです。非常に思い入れが強い国・中国からのオファーに、僕は本当に感動・感激しました。谢谢!!


今回の中国からのオファー。全く、面識も何もない…会った事すらない人物から突然、きました。完全に「人脈の外」からきたチャンスです。

会った事すらない人物なので、正直、ちょっと怖い気もするのですが、これまでの人生の中でもこういう時に「前に進む」選択をして道を切り拓いてきたので、今回も勇気を出して中国に乗り込む事を決断しました。

向こうは向こうで会った事もない僕に航空券や宿泊先の手配をしてまで招聘するので「凄い勇気と思い切りの良さだな」と感心ました。中国人のこういう「凄い勇気と思い切りの良さ」には、いつも驚かされます。中国人は成功するにしても失敗するにしても、常に「前のめり」。中国人のこういう姿勢は良し悪しもありますが、日本人として見習うべき点も非常に多いと、常々、感じさせられます。


さて。

ここで皆さん、疑問に感じていると思いますが、そもそも「人脈」も何もない中で、「どうやって面識もない、会った事もない中国広東省在住の中国人からオファーがきたのか?」…という事。


これには重要な要素が、「2つ」あります。


まず、1つ目。

僕は彼の事を一切、知りませんが、2009年に僕が中国の国営TV局、中国中央電視台(CCTV)の人気サッカー番組「足球之夜」の雑誌版に4ページに渡って特集されたのですが、何と彼はこの記事を見て僕の事を知っており、記事に感動して、長年、僕に興味を抱いていた…との事だったのです。これが今回のオファーに繋がった「重要な要素」の1つです。


そして、2つ目。

僕は「中国版Twitter」と言われる「微博」(ウェイボー)も配信していて、その中でも度々、自身が現在、行っている出張GK指導やGK分析などの活動、中国スーパーリーグのGKや中国代表のGKの分析を中国語で綴っていたのですが、それを彼が見てくれていて、今回のオファーに繋がったのです。


こうして「人脈」も何もない中で、面識もない、会った事もない中国広東省在住の中国人から出張GK指導のオファーが届き、僕は来月、中国へ旅立つ事となりました。

よく世間では「人脈がないとチャンスはこないよ。結局は人脈だよ」と言われます。確かにこれは一理あり、そういう「人脈がないとこないチャンス」も世の中にはあります。

しかし、今回の中国行きのチャンスのように、「人脈も何もない中で、面識もない、会った事もない人物から突然、チャンスがくる」という事も、実は凄く多い。他の人はどうか知りませんが、少なくとも僕のこれまでの35年間の人生の中では、「人脈も何もない中で、面識もない、会った事もない人物から突然くるチャンス」の方が、むしろ多かったくらいです。

ホンジュラスの地で「プロサッカー選手になる」という人生最大の夢が叶った時(2005年)も、突然、一切、面識もない、会った事もない人物(チームの監督)がホテルに訪れ、僕に練習参加を要請したのが始まりでした。治安が世界で最も悪い国の1つであるホンジュラスだったので、「このまま誘拐されて殺されるんじゃないか?」と本気で怖かったのは言うまでもありません。けど、そこで勇気を出して「前に進んだ」決断が、人生最大の夢を実現させてくれたのです。

確かに「人脈」も大事ですが、「魂込めて」日々、全身全霊で活動していれば、「人脈の外」の人でも、必ず「見てくれている人がいる」という事を、これまでの人生の中で学びました。だから僕は「人脈づくり」よりも「とにかく今、目の前にある仕事を魂込めて全身全霊でやる」事に集中してこれまで生きてきました。そうやって生きていると、不思議なもので、思いがけない「人脈」に「自然と」巡り合ったりするものなんですよね。まさか、ホンジュラスの大統領官邸で現職の大統領と対面する事になるだなんて、思ってもみませんでした。それも、ひょんとした事から「自然と」そうなったんです。

そして、もう1つ大事なのが「自分の活動をしっかり発信する事だと思います。僕はブログTwitterFacebookメルマガYoutube、微博などで情報発信しています。ブログは2005年から10年間、続けています。情報発信しないと、自分がどんな活動をしていても、その「存在」さえ知ってもらえません。今回の中国のチャンスも、情報発信していなかったら、間違いなくきていませんでした。改めて「情報発信」の重要性を再認識させられました。

これからも魂込めて情報発信していきますので、よろしくお願いします!!


最後に。僕はこれまでの人生の中で「海外」で活動する事が多かったのですが、それに対して「エエ歳して海外、海外って、海外ばっか行ってる場合じゃないだろ!」「何がホンジュラスだ!」などとよく批判されたり馬鹿にされたりして、「山野が理解できない」と離れていった親友もいます。⇒【
「友達」とは、何のなのか?

けど僕は日本でも働いているし、日本も海外も関係なく、ただ「最高のチャンス、最高の幸せ」がある場所で働いているだけなのです。それが日本なら日本ですし、海外なら海外です。

僕は広島県民ですが、ならば「広島県民は広島県以外では働いてはいけない」となりますか?なりませんよね。けど、「海外」を否定する人の批判は、僕からするとこれと全く同じに聞こえます。「日本人は日本以外では働いてはいけない」と言っているのと同じなのです(実際にそう言う人もいる)。

広島県民でもチャンスがあれば東京で働くように、日本人だけどチャンスがあるなら海外で働く …これの一体、何が問題なのでしょうか?

そもそも「海外」を批判したり馬鹿にしたりする人は「自分は海外に行った事すらない」という人が多い。「行った事すらない」のに、「海外」の何が分かるのでしょうか?そして、「分からない」のに、どうして「海外」を批判したり馬鹿にしたりできるのでしょうか?そこが僕には、どうやっても理解できません。

僕は、僕自身の人生を批判されたり馬鹿にされたりするのは構わないのですが、「ホンジュラスに居た」という事をイメージだけで「ホンジュラスなんか…」と批判されたり馬鹿にされたりすると、僕が本当にお世話になった「ホンジュラス」という国まで侮辱されているのと同じであり、許す事ができません。一体、ホンジュラスの何が分かって、批判したり馬鹿にしたりしているのでしょうか?ホンジュラスは確かに貧しく治安も世界最悪と言われるくらい悪いけど、それでもそこには、毎日、元気に明るく逞しく必死に生きている人たちがおり、僕も彼らから生きる希望をたくさんもらってきました。ホンジュラスを侮辱されると、そういうホンジュラス人たちの顔が思い浮かび…許す事ができないのです。


「海外」を批判したり馬鹿にしたりする事は、その国で生きる人たちをも侮辱しているのと同じであり、他国に対して非常に失礼な行為なのです。


もし、実際にホンジュラスに住んだ事ある人がホンジュラスを批判するのなら、実体験に基づく批判なので仕方ないですが、行った事もない、知識もない、けど「何となくのイメージ」だけでホンジュラスを批判したり馬鹿にしたりするのは、ホンジュラスという国とホンジュラス国民への侮辱に他なりません。そういうホンジュラスに対する侮辱だけは、僕は絶対に許しません。

日本人が日本の中で見えている世界だけが、「世界」ではない日本人が日本の中で見えている世界は、実は、世界の何100分の1の小さな「世界」に過ぎないのです。

世界は、広い。世界には無数のチャンスが転がっています。それなのに「日本」に限定してしまえば、それら世界中に散らばる無数のチャンスを逃す事となります。これほど、もったいない事はありません。


僕は海外に出た事で、逆に「日本人」としての誇りに目覚めました。常に海外で「日本人」としての誇りを胸に闘ってきました。これは僕に限らず、海外で活動する多くの日本人がそうだと思います。広島県民が上京したら、今まで意識すらしていなかった「広島県民」としての誇りに目覚めるのと同じです。それが郷土愛であり、愛国心だと思います。

海外で活動する日本人に対して、日本の日本人の多くは「海外かぶれ」という偏見をもっていますが、むしろ海外で活動する日本人の方が自分の事を「日本人」としてより強く意識し、「日本人」としての誇りをもって日々を生きている(もちろん、全員がそうではありません)。

どうか「海外」や「海外で活動する日本人」をイメージや偏見だけで批判したり馬鹿にしたりする風潮がなくなり、より理解が深まる事を切に願っています。

※2007年に僕がかつてお世話になった中国の天津師範大学サッカー部のみんなと撮った写真です。現在、このサッカー部は解散してなくなってしまったそうです…。悲しいです。

天津師範大学サッカー部