松山洋による“「Solatorobo それからCODAへ」全記録vol.2”【3】 | ゲーム制作会社 サイバーコネクトツー 松山洋の「絶望禁止」ブログ

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開発が中盤に差し掛かると、アニメーションが少しずつ制作会社からあがってきます。

当然、絵コンテもチェックしてるし脚本はこちらで書いているので
内容は全部わかってはいるものの、
それでも動いた絵があがってくるとテンションが上がります!!

アニメーションパートの制作を手掛けたのはアストロビジョンという会社。

東京にあるアニメ制作会社。

本作のコンセプトをよく理解して、すごく愛情を込めて制作をしていただきました。
アニメ会社にどんな資料を渡せばいいのかも、最初はさっぱりわかりませんでした。
なので、設定資料も足りてるのか足りていないのか、全くわかりません。


どんどん過剰に細かく資料を作って、渡して。

企画の新里と、デザインの磯部の忙しさも尋常じゃありませんでした。
まあ、このへんは今も変わらないかもしれないですね。

精神的に。

パートナー会社に渡す資料は、多ければ多いほど、良い。
足りないよりは。

自分たちが逆の立場だったら?

絶対、なんでも送って欲しいと思うに決まっている。
だから、たくさん用意してなるべく早く送る。
だから、いつも資料制作に時間がかかるのかもしれないですが。


おかげで、渡したパートナーは深い理解をもって仕事をしてくれます。

そして、およそ半年くらいの期間で。

『テイルコンチェルト』の総尺15分のアニメーションパートは完成するのでした。

こうして、『テイルコンチェルト』が持つ、
ゲームとアニメの“暖かさと懐かしさの融合”は果たされていくのでした。




そして、音楽の話

当然、『テイルコンチェルト』のゲーム中の楽曲は現在と同じ。

ウチのサウンドクリエイター(コンポーザー)福田考代が務めています。
日々、ゲーム中のBGMの作曲を行っていた、ある日。

バンダイのプロデューサーから連絡が入りました。

“オープニングのアニメーションに主題歌をつけよう。”

まあ、いつもの“突然爆弾”にも慣れてきた頃です。

というか、仕事はなんだって“突然”なのです。
その“瞬間”に発揮できる力のことを人は“実力”と呼ぶのです。

なので、動じない。

話を聞こう。


“有名な作曲家が育てている新人がいる。その子をボーカルとして起用する話がある。
作品の雰囲気は伝えてあるので。そのうち、主題歌があがってくるので実装よろしく。”


なるほど~。外部のミュージシャンか~。

そーきたかー。

そして数日後。

プロフィールをもらったけれど、そのボーカルの子は知ってました。

これは偶然の話ですが。

当時、長崎で『炎の博覧会』というイベントをやってて、
そのTVCMが福岡でもたくさん流れていたのですが。
そのイベントのテーマ曲を歌っている方だったのです。

まあ、そのCM自体は九州地区だけでしか放送されてなかったかもしれませんが。
我々にとっては毎日といっていいくらい耳にするテーマソングだったのです。


“あ~、あの曲を歌っている人かあ~。”


なんて、思いながらも期待は大きくなります。

そのボーカルの名前には“KOKIA”と書かれていました。




数週間後。

デモテープが届きました。

曲名は“FOR LITTLE TAIL”

当時の(仮)タイトルがそのまま使用されていました。

テープをみんなで聞きました。
一同が同じ感想。

素晴らしい楽曲。

もともとゲームで描こうと構築していた世界を更に広げる素晴らしい楽曲。

ちなみに。

現在のKOKIAさんは、あまりにもたくさんの実績と多くのファンを魅了する有名アーティスト。

しかし、この時は、この“FOR LITTLE TAIL”が(なんと)デビュー曲だったのです。
しかも、当時はまだ女子大生でした。

それでも現在のKOKIAさんの活躍に繋がる、未来への第一歩を
我々はみなさんよりもちょっぴり早く予感していたのでした。

こうして。

後にも“ザビアツタ~”という造語のフレーズで愛される
『テイルコンチェルト』の主題歌“FOR LITTLE TAIL”は完成したのでした。



そして、開発終盤。

立て続けに事件が起こります。

プロデューサーから一気に以下の問題を告げられました。


1)タイトルを変更したい。
2)主人公の名前を変更したい。
3)体験版を作って欲しい。


どれも結構、開発の終盤で告げられた話です。

えー、順番に行きましょう。

まず、1)の突然のタイトル変更について。

この瞬間まで本作のタイトル(商品名)は『LITTLE TAIL』でした。

変更希望の理由を聞くと、

バンダイの偉い人が
“『リトルなんとか』って付けたタイトルで売れたものがないから変更しろ”
とおっしゃっている、とのことでした。

……。

えー、今ではこんなやりとりはないですよ?ウチとバンダイナムコゲームスのあいだに。

あくまで当時の話です。

まあ、事実なので、仕方が無い。

全面的に理不尽を感じつつも、仕方が無い。
タイトル(商品名)の代案を出そう。
たくさん出したタイトル代案の中から選ばれたのが『テイルコンチェルト』という作品名。

バンダイのプロデューサーと話し合って決めました。

この瞬間に―――


(松山洋による“「Solatorobo それからCODAへ」全記録vol.2”【4】へ続く)


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本コラムは、下記冊子より抜粋したものです。
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