クラプトン サイケSG異聞 | おんがく・えとせとら

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 ギターマガジン2008年8月号の特集は「ジョージとエリック」。何のかんの言っても,コンスタントにアルバムを出汁…失礼…出し来日公演をやるので,ギター雑誌にとってはまさに「クラプトンは神様」。とりあえず出せば売上げは伸びるんでしょう,年に1度くらいは特集をやってるようです。今回は自伝に絡んでの企画だ!

rocky
lucy

 特集ページでは,お互いのギターの貸し借りに言及していますが…ジョージが「I Am The Warlus」PVでも使ってたペインテッド・ストラト「ROCKY」,「Revolution」PVのレスポール「Lucy」,そしてクリーム期のクラプトンのトレードマークだったサイケSG「Sunny」

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 プレイヤー誌は,今年来日したトッド・ラングレンにインタビューを行い,サイケSGに関する顛末を直接聴き出してて,2008年7月号に記事を掲載してます。(まだ通販で在庫があるようです。)

「ジャッキー・ロマックスから500ドルだかで買った。彼はGハリソンから譲ってもらったらしい。木製ブリッジに換えられ本体はボロボロで寿命ギリギリだった。20年くらいしてジャッキーから『リースしただけだから返してくれ』って言ってきた」とのこと(詳細は本誌を参照ください)。
 …ということは,エリックはジョージの所有品を長期間借用してて,用済みになったので返却したということじゃないでしょうか。
 以前、YouTubeにサイケSGを弾いてるUTOPIA時代の映像がありましたが,現在は削除されてるのか見当たりません。オリジナルかレプリカなのかは不明ですが、インタビューのニュアンスでは,使い物にならないほど程度が良くなかった,とのことなので,後年のライブではレプリカを使ってた可能性が高いのでは。

sunny



 さて,ギターマガジン8月号には,ジョージとエリックが並んでギターを弾いている写真を何点か掲載してますが、バングラデシュ・コンサートのキャプションは間違い。エリックのは「L-5」ではなく同じギブソンの「バードランド」ですね。数年前の来日時には確かにL-5も使ってましたが。L-5とバードランドはスケールが違う。

 バードランドの指板のポジションマークは通常大型のブロックタイプですが,エリックの使用機はダブルの平行四辺形(ダブル・パラレログラム)タイプです。
 このギターについては確か「チャック・ベリーが使ってたES-350が欲しかったんだが良い出物がなくて,似たタイプのバードランドを買った」というようなコメントをしてたかと思います。ES-350のポジションマークはダブル平行四辺形。ちょうど仕様のよく似たイレギュラーなモデルが見つかったのでしょう。
 昨年末再結成のLツェッペリンではジミー・ペイジもプロンドのES-350を使ってたけど,同じくチャック・ベリーに憧れて,ということだったのかもしれない。

l5 L-5CES
bl BYRDLAND
es350 ES-350TD

 バードランドはL-5のショートスケール・薄型バージョンとして1955年に登場。ES-350も同年に登場。どちらもスケールは23 1/2インチ。で,どちらも最初のバージョンはP90×2で57年にハムバッカー×2に変更,60年にはフローレンタイン・カッタウェイ(フィレンツェ風/カッタウェイの先が尖ってる)に変わります。その後,ES-350は63年に先に姿を消してしまいます。
 両者の違いは,指板エンド部の仕上げ(BLは装飾風,350はストレートカット),ヘッドの模様(BLは松明ポット,350はクラウン)など。バインディングの積層やらテールピースの装飾も違ってる。


 話は戻って,ジョージとエリックのギターの貸し借りについて。実は専らエリックがパティに会う口実づくりに利用されてたりして。
「そういや,この間貸したあのギター,ちょっと要るんで一度返してもらえん? 今度行った時に…で,その日は奥さんいる?…あ,いないの,じゃあ…また今度にするわ」なんてね。

beatleg

 そういえば,海賊盤紹介専門誌「Beatleg」2008年8月号には,デラニー&ボニーのバックでエリックがジョージのストラト「ROCKY」を弾いてる珍しい写真が載ってます。モノクロの小さな写真。