クラプトンのサイケSG | おんがく・えとせとら

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 Guitar Playerで紹介されたクラプトンのクリーム時代のサイケSG。以下は右下解説文の要約。

「66-67年頃に購入し,"Wheels Of Fire"までの3作のレコーディングで使用された61年製SGレスポール。元は折りたたみ式サイドトゥサイド・アームが付いてた。オランダの2人組デザイナー・グループ「ザ・フール」がサイケペイントを施した。エリックはチューニング安定のためにトレモロを固定し,後に2度テールピースを交換 (バイブローラ,トレモロ無しのトラピーズテールピースに) した。ペグもクルーソンからグローバーに交換。現在の所有者トッド・ラングレンはさらにストップ・テールピースとT.O.Mブリッジ,ストラップ・ロック,新しいノブに交換し,ペイントも修復している」

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 とにかく,カッコイイ! 「Disraeli Gears」のジャケットとともマッチする,サイケデリック・アートの傑作です。ネットで画像検索すると,内外問わず、数多くの人がコピーモデルの制作に挑戦している様子が窺えます。

 このギターの由来については諸説あるようですが,有力と思われるのは以下の説。

「もともとはジョージ・ハリスンの所有機のうち1本で,マジカル・ミステリー・ツァーでもデザインを手がけたザ・フールがジョンのJ-160Eなどと同時期にペイントを手がけたもの。66-67年頃にクラプトンに譲られた。本機のピックガードは初期の5点止めにリアPU近くのネジが追加された6点止めである点などから,61年製ではなく63-64年頃のものであろう。」

 実際にスイングアウェイ・ブルサイドウェイ・アームを取り付けてある写真は見たことがありません。わざわざバイブローラに取り替えるというのも無理があり,最初から付いてたと考える方が自然でしょう。
 バイブローラのカバーを外してあるのは,絵柄の露出度を高めるためだと考えられます。PUカバー同様,金属部分に着色しなかったのは塗料が乗りにくいせいでは。

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 このSGは67年夏の「Disraeli Gears」のレコーディング頃から,68年5月頃まで使われたようです。実働約1年。彼のファッション同様,細かい仕様はその間に少しずつ変わっています。

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ジミ・ヘンドリックスへの対抗上必要だったのかどうか分かりませんが,当初はバイプローラのアームを付けたままプレーしてます。「Slow Hand」の渾名のとおり (ライブの途中でも時間をかけてチューニングするところから),チューニングにはかなりシビアなようなので,ほとんど使うことはなかったのでは。

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エスカッションが2つともペイントされています。

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サイド部分の塗装が見られるショット。ペグはまだオリジナルのクルーソン。すでにネック裏のペイントを落としてある。

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ペイントを落としたネック裏の分かる画像。粉を吹くようになったためとか。激しい使用による摩擦で塗料が剥げだした? ペグはグローバーに変わっています。

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有名な68年のウーマン・トーン解説映像から。67年11月頃にはトラピーズ・テールピースに交換してたようです。ギブソンのESシリーズのテールピースとは若干違うように見える。何だろ? あと,リアPUを交換したのかエスカッションが黒に。SGにもタバコはさんでますね。ジャック・ブルースもEB-3でやってましたが。


 さて,クリーム初期にはこのSGを抱えてのけぞりながらノリノリの演奏をしてたクラプトンですが,68年途中でステージでの使用をやめてしまいます。熱しやすく冷めやすいというか…。当時21~23歳やから,無理もないか。
 69年には,過去と決別すべくジョージ経由でジャッキー・ロマックスに譲渡してしまいます。トッド・ラングレンはこれを71年頃に中古品店で,500ドル(当時の日本円で20万弱?)で入手したらしい。

(注記訂正) その後、プレイヤー誌がトッドの来日時にインタビューを実施した折りに「ジャッキーから買った」との証言を得ています。(2008年7月号に掲載)

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todd
 トッドも当初は購入当時のまま使用してたようです(上記は71-72年頃の写真。下は72年に発表された「Hellow,It's Me」同じメイク)が,その後ネックを折ってしまったりで,冒頭の写真のようにリペアするに至ったというワケです。トッドは本機を「サニー」と呼んでたらしい。(ピックガードに描かれた平原の昼間の風景に因んだものか?)
 90年の来日時にステージでも使用したようで,プレイヤー誌で大きく写真が紹介されてました。

 で,2000年にサザビーズのオークションにインターネット出品して,15万ドル(約1600万円)で売っちゃったらしい! …がこれは実は復刻品だった,とのオチも。
*すいません,確認の結果,一部記述修正しました。

<参考サイト>
サイケSGの謎に迫る
The Grande Ballroom

 最後にオマケで,あまり話題に上ることのない,ジャック・ブルースのサイケ・ベースVIを掲載しておきます。クラプトンのSGに対してボディ上部には平原の夜の風景が。本機の由来は…?

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