いつもなら、ジェッツ観戦記をアップするところですが。
今回は、今日船橋アリーナで起こった前代未聞の出来事について。
船橋アリーナで開催された、千葉ジェッツvsアルバルク東京戦。
二日続けてのナイスゲームを期待するジェッツブースターが押し寄せ、昨日の惜敗により千葉ジェッツの選手達は気合が入っていましたし、アルバルク東京の選手達も受けて立つべく集中を高めた立ち上がりでした。
千葉はヒルトン・アームストロング選手が、東京はトロイ・ギレンウォーター選手が調子の良さを見せていた中。
第1Q残り3分30秒、事件は起きます。
千葉オフェンスでスクリーンに立ったアームストロング選手が、ファイトオーバーしようとした東京の菊池選手と接触、二人はもつれて倒れます。
そこから東京の速攻が出た場面で、速攻に加わろうとした菊池選手の脚に(故意かどうかは不明ですが)アームストロング選手の脚が絡み、菊池選手は再びコートに転倒。
菊池選手が詰め寄り二人は言い争いになり、そこに他の選手達が駆けつけ揉み合いに。
アリーナが騒然とする中、それぞれチームメイトをいさめつつ離れる両軍。
そこで、ビデオ判定のために時間をとることがアナウンスされます。
この時私は、アームストロング選手に対しての、テクニカルファールもしくはアンスポーツマンライクファールの裁定の為のビデオチェックだと思っていました。
しかしてそれは、その裁定の為ではなく。
コート上に踏み入ったベンチの選手達を特定し、ディスクオリファイとする為でした。
ディスクオリファイ=退場処分。
千葉は、伊藤選手、ストーン選手、荒尾選手、原選手、西村選手。
東京は、二ノ宮選手、松井選手、田村選手、ネイミック選手。
以上の選手達が、コート内に踏み入ったとして退場。
さらにはコート上にいたアームストロング選手とギレンウォーター選手にも、非紳士的行為があったと認定され退場が宣告され。
両軍合わせ、11人もの選手がコートを去ることになりました。
ここまでは、皆さんも既にご存知の事実かと思います。
ここからは、会場で観戦していたジェッツブースターとして、一人のバスケットボールファンとしての、所感を書かせていただきます。
発端となったプレーやその後の揉み合いについては、置いておきます。
確かにアームストロング選手はかなりエキサイトしていましたが、体の接触が多いスポーツですし、闘う意識がこの場面で表に出てしまったのでしょう。
しかし今回問題とせねばならないのは、何故そこに至ったかということと、その後に起きたルールの理解不足による退場劇の方かと考えます。
まず、アームストロング選手と菊池選手が交錯し倒れ、さらに両選手の脚がからみ菊池選手が再び転倒した場面。
あの時、三人の審判のうち二人は、あの脚が絡んだ場面までも確認できる位置にまだいましたし、少なくともベンチと逆側の審判の方は両選手へ視線を送っていたので、気が付いていたはずです。
にもかかわらず、審判三人ともが東京の速攻に意識を向けて走り出し、両選手の状況に注意を向けなかった。
結果、そのまま事態が起こることになったしまった。
あの時少しでも注意を向けていれば、テクニカルファールか何かのコールで試合を止められたはずですし、そうなれば両チームのベンチから選手達が踏み込んでくる状況も起こり得なかったでしょう。
また、そもそものジャッジングの基準に疑問点があったのも確かです。
例えばかのプレーにもあったスクリーンについても、ファールの線引きが昨日のゲームからあいまい。
そのコールの不安定さが一因となったことは、否定できないと思います。
そして、コートに入ってしまったベンチの選手達の退場処分。
これは迂闊だったと指摘されても致し方ないかと……コートに踏み入ったベンチの選手達は、決して相手に掴みかかろうとした訳ではありませんし、ブースターの中からは、『乱闘をしかけにいった訳じゃなく諌めようとして入ったのだから、退場はおかしい』との声も聞かれましたが、それは言っても詮無きこと。
何故ならリーグ規定に定められているのですから。
ああした状況下でコートに入っては、退場を課すと。
そうしたリーグ規定は開幕前のカンファレンスで各チーム関係者に説明がなされているのですから、知らなかったではすまされないのです。
選手は闘士たる一面を持っていますし、チームメイトのことを考えれば座ったままでいられない、という気持ちもわかります。
しかし、ファンの為にプロたるプレーを見せねばならい身として、自重して欲しかったなと…。
もちろん、仲間を守ろうという意識が先立って瞬間的に頭から飛んでしまった、ということも選手ならあるでしょう。
しかしそれも、コーチ陣が冷静なら静止することもできたと考えます。
コーチ陣は、何故静止することができなかったのか……やはり冷静さを欠いていただろうと思います。
皆が冷静さを失い、ルールに抵触する行為をしたら、どんな状況になってしまうのか。
最悪の場合、あの後試合にならない可能性もあった訳です。
コート上の選手が一人ずつ退場し、加えてベンチの選手が全員退場、結果残った選手は4人ずつ、という事態も起こり得たのですから。
さらに。
私が上記のことよりも、腹に据えかねるのは。
ごく一部の、千葉ジェッツブースターの無礼な振る舞いです。
ここにはとても書けない、ひどい言葉が叫ばれていました。
なるほど確かに、チケット代を支払ってきているのであれば、文句を言いたくなるかもしれない。
毅然さが今一つな審判団のわかりづらい説明や、退場者が大挙して出るという事態に、腹を立てるのは当然かもしれない。
長くジェッツを応援してきた、チームへの想いが強いファンなのかもしれない。
だかしかし。
あのような口汚い、低俗なヤジを飛ばすようならば。
私個人は、あなた方にジェッツブースターを名乗っていただきたくはない。
アリーナには、バスケットに夢を見る子供たちがたくさん来ていました。
その子たちは、応援にきていた選手達が退場するという事態に直面した上に、感情のままにあのようなヤジを飛ばす大人たちの悪意にさらされるのです。
それがどれだけ残酷なことか…。
主義主張はそれぞれあります、ご自分の想いを吟味する間もないままストレートに口に出すのも結構、ご自由に。
しかしそれは、ご自分の自宅で一人、リビングのTVの前でだけにしていただきましょう。
ブースターを名乗るならば。
せめて試合会場の中では、胸を張れるバスケットボールファンでいてもらいたく思います。
私はバスケットボールを愛せばこそ、選手、コーチ、審判団、その他ゲーム開催に携わる多くの方々へのリスペクトを忘れたくはありません。
ですから、例え数人であっても、ブースターは今日のような姿は見せないで欲しい。
そう、切に願います。
私がかの事件について述べられる所感は以上です。
では、今日のゲームについて語れるのはそれで終わりかと言えば、そんなことはない。
今日船橋アリーナに集った観衆は、決して残念な思いのまま帰った訳ではありません。
ゲーム再開後は、アリーナが一つとなって選手達に声援を送り。
両軍の選手たちはそれにこたえるべく、素晴らしいプレーをしました。
退場処分となってしまった選手達も、想いはチームと共にあったに違いありません。
残った選手達は、退場となった選手達のその想いまでも背負って、昨日の激闘から一日と経たず長い出場時間を強いられて疲労が重なりながらも、最後まで走り切った。
特にジェッツは、ブースターも一体となって3000人でディフェンスし、劣勢の中5点差まで追い上げた。
あの時のアリーナのディフェンスコール、私はしばらく忘れられないと思います。
『見たか日本よ、これが新たなプロバスケットボールだ!』
そんな思いが胸に湧きました、本当にすごい熱気でしたよ。
そして、千葉ジェッツの奮闘及ばず、ゲームはアルバルク東京が勝利。
試合終了後、アリーナは両軍選手達への温かい拍手で包まれました。
最後のそのシーンは、感動的ですらありました。
おそらくは明日、リーグから裁定が出ます。
今日退場となった選手達は、規定通りであれば次戦は出場停止の可能性が高い。
千葉、東京の両チーム共に、次戦は厳しい戦いになるでしょう。
でもきっと、彼らはプロバスケットボール選手として、でき得る最高のパフォーマンスをしてくれると思います。
実は私は、尊敬するクライド・ドレクスラーが岩手ビッグブルズのゲームに来るというので、来週末は岩手行きを検討していました。
が、今日のゲーム後、すぐにチケットをおさえました……千葉ジェッツvs仙台89ers戦を。
厳しい戦いとなるジェッツの応援をすべく、仙台に駆けつけるつもりです。
今日のようなことが起こっても、そんな気持ちにしてくれるバスケットボール、そしてBリーグ。
本当に、素晴らしい。
今日のことはブースターも含めて反省すべきことが多い出来事でしたが、それさえも糧にして、発展していけると確信します。
長くなりましたが、今日の出来事についてはここまでに。
最後の拍手のシーンを思い出しつつ、床に就こうと思います。
ということで、本日はこれで。
また、次回に。