『少年』 | small planet

small planet

日々の散文。
もしくは 独り言。

日曜日の深夜。19歳になる青年が死んでしまった。

彼は、私の主人の甥っ子だ。私にとっては私の新しい『家族』である。

私と主人は、私たちが20歳の頃からの付き合いなので、義兄も義姉もそして、この子の小さいころの姿も私は知っている。
家族が留守にした日曜日の夜に、たった一人で彼は自らの命を終わりにした。

家族の傍で横になる彼の顔を眺めた。
私以外の家族は『あんなに小さかったのに大人の顔になったね。』と話をしていたが私には『少年』のあどけないかわいい顔に見えた。

初めて会った時の事を私は覚えている。今から10数年前の想い出。

私と主人と義兄夫婦の共通の友人の自宅で、この子は妹と二人、両親に挟まれて小さく座っていた。
私が挨拶をすると、二人は小さな声で「こんにちわ」と言って義姉の体の陰に、はにかみながら隠れた。

姉はとてもかわいい人で終始、笑顔を絶やさずたくさんの話をした。

今年の春に、私がこの家族の一員になった時、姉が言ってくれた。
『あなたが、お嫁さんになってくれてよかった!これからずっと末永くよろしくね。』

そんな姉の悲しみに暮れる姿を私は生涯忘れないだろう。
いつも強くてかっこよい兄の嗚咽する姿を私は生涯忘れないだろう。
小さく震えて両親にしがみつく姪っ子の泣き顔を私は生涯忘れないだろう。

随分と昔、私が描いて兄夫婦に贈った「絵」が彼らの自宅に飾られていた。

彼は、この絵を描いたのが叔父の嫁に来た私であったことを知っていただろうか?
私はもっと仲良くなりたかったのに。

私は、彼らと一緒に「悲しみの作業」をしようと思う。