ドラクエ5冒険日記(27) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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8年もの間、城を空けてしまったカイン王の帰還を
グランバニアの民は泣いて喜んだ。
王としての仕事をなにひとつしていないカインに、
不満を感じる者など、ひとりもいなかった。
グランバニアの民は宴を開いた、
カイン王の無事を祝って。

サンチョは、8年前の事件のことを
もちろん忘れてはいなかった。
だから、この祝いの酒に、毒や眠り薬が仕込まれていないか、
入念にチェックした。
サンチョは毒味に毒味を重ね、
毒も眠り薬も入っていないことが確認できたときには、
すでに酔って眠ってしまっていた。

サンチョが眠ったのが、
酔いのせいなのか、眠り薬のせいなのか、
カインには判断がつかなかった。
しかし、この祝いの席を
グランバニアの民が望んでいることはよくわかる。
だから、宴は開くが、自分は酒を飲まない、
という方策をカインは打ち立てた。
国民には、おいしい酒を飲んでもらおう。
でも、8年前の惨事は、もう二度と起こらない。
今度こそ、僕がこの国を守る。
それが、8年間国を空けてしまった、
カインのせめてもの償いであった。

翌日、
グランバニアに、特に異変がないことを確認して、
カインは安心して眠った。
石として、眠ったとも眠ってないともつかない日々を
送ってきたカインにとって、
グランバニアの寝室は、天国のようだった。
「お父さん。いろんなところを冒険しようね。ムニャムニャ。」
傍らで眠る天使たちの寝言を幸せそうに聞いているカイン。
カインはまた迷っていた。
またこの国を空けてしまってもいいのか。
王として、何もしていないのに、
また旅に出てしまってもいいのか。

そのカインの迷いは、
翌朝、オジロンの言葉で、消えてしまうこととなった。
8年も待ったのだから、もう少し待ってみよう。
国民の声が、そう言っていると教えてくれたからだった。
カインは、理解ある国民に感謝した。
王として何もしていないばかりか、
国民に支えられてばかりいる。
それから、カミュとクレアにも感謝した。
父として何もしていないばかりか、
子供たちに助けられてばかりいる。

そんな感謝の気持ちを胸に、
カインはグランバニアを発つのだった。


カインには行かなければならないところがあった。
それは、サラボナ。
義父ルドマンに、
子供ができたことを報告していないどころか、
デボラを連れ去られるという失態まで犯している。
カインは、ルドマンに、
何と言って謝ればよいか、わからなかった。
わからないが、行かねばならない。
カインは、どんな戒めも受けるつもりでルドマン邸を目指す。

同じ頃、アンディとフローラは、
最近ルドマンの様子がおかしいことに気付き、心配していた。
フローラは、アンディと結婚し、幸せな家庭を築いていたが、
父ルドマンのことが心配でならなかった。

ルドマンは、悩みに悩んでいた。
それは、先祖代々受け継いできた、魔神の壷のこと。

ルドマンにはルドルフという先祖がいた。
ルドルフは、ブオーンという魔神を壷の中に封じ込め、
壷から魔神が復活しないよう、
子々孫々、壷を守っていく使命を持った家系だった。
それから150年が経ち、
今、その封印が解かれようとしていた。
復活した魔神からサラボナを守ることを考えているルドマン。
考えはするものの、なんら対策を思いつかない。
こんなときに、カインがいてくれたら。

そう思っていた矢先に、
謝罪にやってくるカイン。
急いでいるルドマンは、
この際、カインの謝罪を聞かないことにした。
「今は黙って頼みを聞いてくれないか。」
そう切り出すルドマンの頼みを
もちろんカインは断ることはできなかった。


150年ぶりに壷から脱出したブオーンは、
自分を封印した、憎きルドルフを探して、
サラボナへとやってくる。
それを迎え打たんとするはカイン。
両者の力には大きな開きがあり、
圧倒的な力で、ブオーンはカインを打ち払った。

気が付けば、カインはグランバニアにいた。
そして、自分が倒されてしまったのだと知った。
しかし、そうなってくるとサラボナが危ない。
カインは急ぎサラボナへと移動し、
再びブオーンと対峙した。
そして、再びグランバニア送りされた。
カインは、何度も何度もブオーンに挑む中で、
何故か、ブオーンは、
律儀にも、サラボナを攻撃せずに、
カインの挑戦を延々と待ち続けていることに気付く。
この様子だと、しばらく放置していても、
サラボナは大丈夫そうだなぁ、と何となく思うカイン。
今の僕じゃ、ブオーンには敵わない。
もう少し、待っていてくださいルドマンさん。
もう少し待っててね、ブオーン。

こうして、サラボナの一件を一旦後回しにしたカインは、
テルパドールへと移動するのだった。
カインは、勇者を見つけたら、
ここテルパドールに再来して、
女王アイシスに再び謁見するつもりでいた。
今、カミュという勇者を連れたカインは、
アイシスのもとへと参ずるに至る。
アイシスは、カミュに天空の兜をかぶるよう奨めた。
カミュがかぶると、
天空の兜はカミュの頭に吸い付くように密着した。
アイシスは、これを見て、
伝説の勇者と確信し、勇者を称え、世界の平和を願うのだった。


次に目指すはエルヘブン。
カインの母マーサの故郷である。
エルヘブンは、カインが見つけたわけではなかった。
石となったカインを探している間に、
オジロン率いるグランバニア兵団が見つけ出した隠れ里である。

エルヘブンの民は、
従来特殊な力を持っていた。
それは、天空界と人間界と魔界の境界を開閉する力。
あるときは、境界を開き、大いなる存在を通過させ、
あるときは、境界を閉じ、小さな存在をも封じてしまう、
そんな力だった。
このエルヘブンの力は、
親から子、子から孫へと遺伝的に受け継がれていたが、
長い年月の間に、
子へと受け継がれる力は弱まっていった。
今、このエルヘブンで、
この力を所有するのは、もはや4長老のみになっていた。
その4長老でさえ、今となっては、
魔界への扉が開きかけていることを感知するのみにとどまり、
扉の開閉を行うには至らない能力しか持ち合わせていなかった。

そんな、現代のエルヘブンにとって、
マーサは特別な存在だった。
薄れゆくエルヘブンの力を
いまだ強く受け継ぐ、唯一の真の能力者だった。
マーサは、秘境エルヘブンにおいて、
将来を渇望された存在だった。
エルヘブンの民は、
そんなマーサに一目を置き、
あるいは尊敬し、あるいは崇め、
大切に大切に育てた。

あるとき、パパスという青年がこの秘境を訪れた。
マーサは、エルヘブンの崇高な使命があることを
重々心得てはいたが、
それでも、その流れ者の青年に恋心を抱くようになる。
パパスは、熱心にマーサのもとに通い、
口下手ながら、自分の想いをマーサに告げ続けた。
パパスがマーサに惹かれたのは、
マーサがエルヘブンの力を持っているからではなかった。
ただ、純粋に、女性としてのマーサに心を惹かれていた。
マーサは、そんなパパスの気持ちが嬉しかった。
エルヘブンの民は、自分を神格化し、
その能力ゆえ、人として接してくれる者がいなかった。
ゆえに、マーサには、
パパスのマーサへの接し方が新鮮だったし、
パパスの人格にもまた強く惹かれていった。

そして、マーサは、エルヘブンを離れ、
パパスに連れられて、グランバニアへと嫁いだ。
これは、歴史が紡ぎ出される瞬間でもあった。
これが、カインが感じ取った親子3代の運命の、
ひとつ目の輪だった。
ひとつ目の輪は、ふたつ目の輪を産み落とし、カインと名付けた。
そして、そのカインも、
3つ目の輪、カミュとクレアの父親となった。

エルヘブンの民は、
マーサを連れ出したパパスを憎んだ。
グランバニアをも憎んだ。
しかし、
グランバニア王にしてパパスの子であるカインに対し、
エルヘブンは心を開いていた。
それは、時間が心を開かせたこともあるが、
カインがマーサの血を引く者である、という理由が大きかった。

今、魔界への扉が開きつつある。
それを再び閉じることができるのはマーサしかいない。
これは、エルヘブンの民共通の認識だった。
だから、マーサを探し、助けようとするカインに、
エルヘブンは協力を惜しまなかった。

カインは、エルヘブンの至宝、
魔法の鍵と魔法の絨毯を譲り受け、
母マーサ救出の旅を続けるのだった。


カイン:レベル27、プレイ時間17時間33分
パーティー:カイン、カミュ、クレア、サンチョ、ピエール、ゲレゲレ、ベホマン、ゴレムス






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