ドラクエ4冒険日記(17) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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第五章 導かれし者たち


ピサロは、魔族の若者であったが、
今は魔族の王であり、デスピサロと名乗っている。
ピサロは、魔族を統治する者として、
魔物が住みやすい世界を目指して、尽力していた。
その活動のひとつが、伝説の勇者狩りである。

人間にも魔物にも伝わる言い伝えのひとつとして、
地獄の帝王がやがて蘇る、というものと、
その地獄の帝王は勇者が倒してしまう、
というものがある。
結局勇者に倒されてしまうのだから、
ピサロとしては、面白くもなんともない言い伝えであり、
この言い伝えが実現しないようにしたいのであった。
いや、前半部分は当たってほしいので、
地獄の帝王は復活するけど、勇者は現れない、
というのが、ピサロの願っているところである。

ピサロは、願っているだけではなくて、
積極的に動いていた。
自分の直属の手先をバトランド付近に送り込み、
成長して勇者になりそうな子供を
さらっていくことを指令した。
さらに、単にさらうのみならず、
魔物の仕業と思われないような策も与えていた。
実際、この策を施行したピサロの手先であったが、
惜しくも、バトランドの王宮探偵ライアンに、
撃破されていたのだったが。

ピサロは、自ら率先して動き、
エンドールでの武術大会にも参加した。
もちろん、
勇者が腕試しに来ている可能性を考えてのことであり、
接触できたら、命を奪うことを狙っていた。
残念なことに、ピサロが命を奪った者の中に、
勇者でありそうな者はいなかった。
決勝戦だけは、所用のため席を外したが、
対戦相手は、どこぞの姫であり、
勇者ではなさそうであると判断してのことだった。

ピサロは、魔族の王でありながら、
自分の足で勇者を探した。
そして、バトランドの近くで、
ある山奥の村を見つけたのだった。
この村は、外界と接触を断って、
目立たぬように存在していたのだが、
道に迷った旅の詩人を装って、
潜入することができた。

ピサロは、村の少年と出会った。
緑髪の少年は、村の外からの旅人を珍しそうに見る。
ピサロは、
「この村に、君のような子供がいるとは思わなかった。」
と、声をかけるのだった。
そして、心の中では、こう確信していた。
ついに見つけたぞ、勇者よ。
今から軍を率いて、その首を刈ってやる、と。


緑髪の勇者カインは、
もちろん、ピサロのそんな思惑を知る術もなかった。
初めて会う、村の外の者に、興味津々であった。
また、異様な殺気も感じていたのだが、
村の外に住む者は、こういう殺気を発するものか、
と、特段気にしなかった。

カインは母に頼まれて弁当を父に届ける途中であり、
親友のシンシアと、楽しく話をするのだった。
この幸せがずっと続けばいい。
大人になっても、
ずっとこの村で慎ましく幸せに暮らせればいい。
それが、シンシアとカインが思っていることだった。

カインは父に弁当を届ける。
父はこう言った。
「カイン。おまえももう17歳。もしも何かがあっても、強く正しく生きるのだぞ。」

父に弁当を渡したカインは、
家に帰り、自分も食事をしようとする。
食後には、呪文の師から、
ライデインを習おうとしているところだった。


そんな折りに、
村に魔物が押し寄せたという知らせが入った。
慌ただしい中にも、
まるで、これが予定通りであるかのように、
迅速に行動する村の人々。
「ついに見つかったか。カイン、こっちに逃げるんだ。」
「カイン、今まで楽しかったわ。絶対に守ってみせるから。」
「今になって言うが、実はわしはおまえの本当の親じゃないのじゃ。」
カインには、何が起こったのか、
村の人々がなぜこういう言動を行うのか、
あまりの突然なことに、
全く意味が分からなかった。

村の地下室の、
さらに奥の隠し部屋に連れて行かれるカイン。
カインが最後に会ったのは、シンシアだった。
シンシアは、得意の呪文で、カインの姿へ変身し、
こう言葉を残して、去っていくのだった。
「今までありがとう。さようなら。」

程なく、魔物の声が聞こえてくる。
「デスピサロ様、勇者を仕留めました。」
「よくやった。では引き上げるぞ。」

カインは、その声を聞いて、
恐る恐る地上に出た。
村は焼け野原と化していた。
焼け野原の中央に、
羽根帽子が落ちていた。
いつもシンシアがかぶっていた、お気に入りの羽根帽子。
カインは、その羽根帽子を拾いながら、
ようやく事の成り行きが理解できた。

勇者は自分なのだと。
村の人々は、
自分を守るために犠牲になってくれたのだと。
そして、シンシアもその例外ではなかったのだと。

カインは、羽根帽子を握りしめ、
ただただ泣き叫ぶのだった。
シンシア。
シンシア!
僕は・・・、
僕だって君のことを守りたかった。
なのに、なぜ、
僕の身代わりになるようなことをしたんだ!

羽根帽子を見つめながら、
焼け野原を見ながら、
ただ、泣くばかりのカイン。
カインは、父の言葉を思い出していた。
「なにがあっても、強く正しく生きるのだ」

父さん、強く生きるって、どうしたらいいですか。
正しく生きるって、どうしたらいいですか。
まだ、強くも正しくも生きられないカインは、
ただ泣き、
ただ悔しがり、
ただデスピサロを憎むのだった。


「へっ。てめぇみてぇなガキは一晩泊まっていきやがれ。」
傷心のカインは、村を出て、すぐそばの木こりの家を訪ね、
一泊してから、木こりから情報を得、
ブランカの城へ移動した。

ブランカの城では、こういうおとぎ話があった。
地上に降りた天女が、木こりと恋に落ち、
そして子供を育んだ、というおとぎ話。
ただ、カインには、この話が単なるおとぎ話と思えなかった。
昨日一泊させてくれた木こりのことが気になり、
おとぎ話の子供のことも気になった。
それから、カインが父親だと思っていた人物は、
実は父親ではなかった、ということも気になった。
平和な村で育ったつもりでいたが、
自分の出生が、途端に謎に包まれてしまった。
勇者とは何なのか?
山奥の村で平和な暮らしをしていた自分が、
本当に勇者なのか?

ブランカの王は、
まずは地獄の帝王の情報を集めよ、と助言をくれた。
ただ、これは、
別にカインを特別に思ってのことではなく、
旅の者みんなにそう言っているのだったが。

カインは、ブランカで集めた情報を整理した。
西のエンドールに、
よく当たる占い師と踊り子の姉妹がいるらしい。
途方に暮れているカインには、
占いというものがありがたく思えた。
今からどうすればいいのか、占ってほしかった。


カインは、西の大国エンドールを目指す。
トルネコという商人が掘ったと言われる、
大陸間トンネルのおかげで、
すんなりとエンドールにたどり着けた。

エンドールでは、この国の姫と、
隣国ボンモールの王子との結婚式が開かれていて、
エンドール王とボンモール王は、
席を並べて式に参加していた。
つい先日まで、戦争を企てていたことなど、
カインにはわかるはずもなかった。

王に会うことはできなかったが、
よく当たる占い師に会うことができた。
占い師は言った。
「今は小さな光ですが、導かれし者が集まり・・・、」
言いながら、占い師は自分で気づいた。
「勇者様ですね。私ミネアと姉のマーニャを仲間にしてください。」

姉の方は、カジノのスロットで、
妹の稼ぎをスッカラカンにしていたのだが、
勇者の仲間になっている妹を見て、
「あたしたち、これからはこの人に養ってもらいましょ。」
と、簡単に仲間になった。

そして、3人の導かれし者が集まった。


カイン:レベル1、プレイ時間9時間19分
パーティ:カイン、ミネア、マーニャ





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