大地の大穴に落ちて見知らぬ世界に足を踏み入れたカイン。
しかも、この世界ではどうやら体が透明になってしまうらしい。
この世界がどんな世界かわからなくても、
経験者は咄嗟にこういう言葉を使う。
「下の世界」と。
カインは経験者ではないので、
「下の世界」などという言葉を知るはずもなく、
ただ、もとの村に帰るべく、黙々と方法を探す。
いや、もとの村に戻る前にマルシェでビルテ氏から精霊の冠を買って・・・。
そんなことを冷静に考えたりしながら、歩きまわっているうちに、
噂の古井戸を見つけた。
なんでそんなことを考えたか、今でもよくわからないが、
直感的に、古井戸に飛び込めばいい、と思い、思い切って飛び込んでみた。
するとどうだろう。
見覚えのある大地の大穴の淵へと舞い戻れたではないか。
もっと苦労して戻るんだと思っていたカインは、
あまりの呆気ない帰還に、逆に驚きながら、マルシェへと向かった。
もちろん、精霊の冠を買うために。
冠屋さんは、カインを命の恩人と崇め立て、
精霊の冠をタダでくれたので、
喜び勇んでライフコッドへ飛んで帰った。
飛んで帰るときはキメラの翼を使うのが、この世界の常識となっている。
勇んでライフコッドに戻ったものの、
待ち受けていたのは衝撃の出来事だった。
あまりの衝撃に、
村長さんに「お役目ご苦労」的な意味合いでお駄賃をもらったり、
ライフコッドには宿屋がなくて旅人が来れないので、
将来村長になった暁には宿屋を作って村おこしをするのだ、と思ったりしたことなど、
すっかり忘れてしまった。
忘れたというか、どうでもいいこと、になってしまった。
衝撃というのは、
祭りの夜に、ランドが妹のターニアに、結婚を申し込んでいたのを目撃したこと。
ランド17歳、ターニア16歳。ちなみにカインは17歳。
この世界では、決して結婚するのに早い年齢ではない。
もう、お酒も飲んだりできる歳である。
が!
そーゆーことではなく!!
たった一人の肉親であるカインに、
ターニアは今までそんな素振りを見せたことは一度もない。
ランドがターニアに気があることは、以前からわかっていたが、
結婚を考えるところまで話が進んでいるとは!!
いやいや、そもそもランドにはジュディがいるではないか!
ジュディは、今でも、ランドのことを想っているのに。
いやいやいや、ジュディのことも、この際どうでもいい。
どうでもよくないのは、ターニアがこの申し出を受け入れるのかどうか。
受け入れるとして、兄には何の相談もしないのか。
そんなこんなことを延々と考え続けるカイン。
頭の中で、まとまらない考えがぐるぐると回っているカインが見守る中、
ターニアが出した結論は。
「今はそんなことは考えられないの。自分のことがよくわからなくて」
と、走り去るターニア。
それを茫然と見送って、程なく、ハッと我にかえる。
えっと!?
今のはNoってことだよね!?と、何故か安心するカイン。
安心しながら、ターニアの悩みに全く鈍感だった自分に反省もする。
ターニアの恋仲に干渉しすぎていることにも反省する。
ターニアとランドがこの先どうなるかはわからないが、
ターニアにはターニアの考えがあるだろう。
ターニアなら、自分で道を切り開くことができると信じている。
そして、自分自身も、道を切り開くべきなのだと、カインは強く感じた。
もちろん、さっきの村祭りの最中の、精霊の呼びかけを意識してのことである。
この世界の謎を解く、という宿命を感じ取ったのである。
覚悟を決めたカインは、村長さんから「レイドックの通行証」をもらい、
村を出ることを決意したのである。
そんなカインに、ターニアは、
「私には止めることはできないわ。気をつけて。そして、いつでも帰ってきて。」
と言葉を掛ける。
ターニアの言葉に勇気づけられたカインは、
深く頷いてターニアに背を向け、村を出るのであった。
レイドックの城下町に着いたカインは、
レイドック王に会うために、レイドック兵士になることを志願した。
そして、試練を乗り越えて兵士になることができた。
逆に兵士になることができなかったのがハッサン。
つい今しがた、レイドックで知り合った旅の武闘家であるが、
夢の中で一緒に魔王と戦った仲間と良く似ている。
似ているというか、たぶん同一人物のような気がするのだが、
向こうにはその記憶がない様子。
だから、とりあえず初対面、ということで接している。
兵士になり損ねたハッサンであったが、
カインと同行したいという提案をしてきた。
夢での知り合いなわけで、
実はカインのほうでもハッサンと行動を共にしたいと思っており、
意気投合したのであった。
仲間を得たカインは、その勢いで、ファルシオンを仲間にした。
ファルシオンというのは馬の名前。
近所で困りものの暴れ馬ファルシオンを仲間にしたという功績で、
ハッサンはレイドック兵士になることができた。
かくして、晴れてレイドック兵士となったカインとハッサンは、
レイドック王の正式な依頼を受けて、ラーの鏡を探しに行くのであった。
ラーの鏡、というのは、真実を映し出す鏡であるという。
レイドック王曰く、魔王ムドーとは何度も戦っているが、
いつもトドメをさすすんでのところで、まやかしの術を使って逃げおおせるのだという。
そのまやかしを破ることができるのがラーの鏡、というわけ。
そこまで言われて、ふと思い当ることがある。
夢で戦った魔王。
もうちょっとというところで夢から覚めたけど、
夢から覚めた、というのがまやかしだったら?
つまり、今現在、まやかされている真最中だとしたら?
あのときは、確か石にされたような気がしていたんだけど、
そういう意識を植え付けられただけかもしれない。
考えれば考えるほど、恐ろしいことになってしまう。
さすが魔王。いや、ムドー。
恐ろしい相手である。
そう思いながらハッサンの顔を横目で見た。
全く記憶が蘇ってない呑気な顔をしている。
それならばそれでも構わない、今後ムドーにお目にかかったときにわかるでしょう、
とカインはひとり思ったのであった。
で、ラーの鏡を探して持ってきましたカイン一同。
ラーの鏡を探している間に、
謎の女性ミレーユと家出娘バーバラが仲間になっていた。
細かいところは省略。長い旅であったので。
重要なところだけ掻い摘んで。
ミレーユのほうは、夢の中で顔馴染み。
カイン、ハッサン、ミレーユの3人でムドーに挑んだ、
というのが、だんだん記憶に蘇ってきていたので。
ミレーユのほうも、その記憶がある様子。
ラーの鏡探索の一環で、またしても大地の大穴をくぐるが、
ミレーユの協力があり、透明な体を元に戻すことができた。
ちなみに、「下の世界」は「幻の大地」と呼ばれている。
もちろん、そう呼ぶのは「上の世界」の住人だけ。
下の世界の人からしたら、幻でもなんでもない、普通の大地。
「上の世界」「下の世界」という言葉は、
ゲーマーが使う言葉であって、キャラクターが使う言葉ではない。
はずなのであるが、ハッサンとかミレーユとかと話すと、
普通に、「上の世界に行きましょう」とか言ったりする。
初めて聞く言葉に、カインは驚いた。
もっと驚くべきことは、ミレーユは上の世界には行ったことがないので、
「上の世界」の存在は知らないはずなのである。
にもかかわらず先の発言。
この世界の秘密を知っているのか。
恐ろしい女性である。
ときどき、さすらいの剣士のうわさ話を聞くことがある。
森でモンスターに襲われたバニーガールを助けてあげたり、
ちょっとハンサムだったりしたとかで、やたら人気がある。
見たことも会ったこともないが、腕は立つのだろう。
そのうち仲間になってくれないだろうか。
さて、そういう話もあったが、
なにはともあれラーの鏡をレイドック王に届けることができた。
これで、ムドーを倒す足掛かりができたわけである。
世界の平和は目前に迫っている。
と思って楽観視していたら、
ラーの鏡を見たレイドック王の姿に異変が。
王が王妃へと姿を変えてしまった。
これが、真実を映しだす鏡の力か。
鏡の力は本物だということがわかったが、
王が王妃に姿を変えた意味が全く分からない。
全くわからないが、王妃が言う。
「レイドック王は、今はムドーの下にいます。
というか、ムドーがレイドック王なのだと思います。
レイドック王を助けるために、一緒に来てください。」
えっと。
倒そうと思ってたけど、助けに行くの?
なんか、混乱してしまったけど、
まぁ、戦うか助けるかは、成り行きに任せるとして、
とりあえず、王妃についていくことにいくことにしよう。
流れが淡泊なのは、プレイ日記のせいじゃないんですよ。
ゲームの流れが淡泊なのです。
王が王妃になったのも、お城の兵士が王妃に従うのも、
カイン一行が王妃と同行するのも、ムドーと戦っていいかどうかわからなくなったのも、
何も納得できないんだけど、
もはや言われるまま、何も考えずにただついていくのみ。
世間的には、こんなわけのわからないことを公表するわけにもいかないので、
「レイドック王はムドー退治に向かわれた。」ということで、
とりあえず民衆の目をごまかしているようである。
因縁のムドーとの対峙は近い。
夢でのことの逆襲をしたいけど、場合によっては助けるわけで、
心にゆとりを持っていなければならないという複雑な心境。
ハッサンとミレーユも複雑な心境なのだろうか。
って、ハッサンは記憶がないんだから、
複雑でもなんでもないか。
今のパーティーは、
カイン(村の少年)、ハッサン(旅の武闘家)、ミレーユ(謎の女性)、
バーバラ(家出娘)、ファルシオン(暴れ馬)。
夢の中でのパーティーとは若干違うが、
このメンバーで、今度こそムドーを倒してやる。
いや、助けてやる。
いや?
もうどっちでもいいか。
平和を勝ち取ってやる。
ただいまレベル13、プレイ時間6時間17分。