金沢八景駅から京急本線で15分。
馬堀海岸駅で下車です。
閑静な住宅街の続く坂道を上ること、20分、
お目当の神社に着きます。
安房口神社です。
今年の夏、房総半島の洲崎神社にお参りしてから、ずっとお参りしたかった神社。
ここには、竜宮から洲崎神社に奉納された"吽形"の神石の対となる、"阿形"の神石が祀られています。
そして、阿吽の神石が東京湾を挟む両半島の端から、湾を護っているという伝承が残っています。
古代からの海を隔てた繋がりを感じますね。
こんな閑静な住宅街の中に突如、現れる森の中に鎮座しています。
鳥居をくぐると、そこは太古の世界。
マテバシイが生い茂る森の中へと。
マテバシイは温暖な沿岸部に自生する日本固有種で、古代から食用に供されてきました。
鳥居を振り返る。
森から言葉にならない言葉で語りかけられている…そんな気分になります。
視線を落とすと、踏み固められたドングリ。
化石みたいですね。
先に鳥居が見えてきました。
社号標と鳥居。
石灯篭。
再び、鳥居。
耳を澄ませば、葉や枝が風に揺れる音と小鳥のさえずり。
清々しく、けれど、深い雰囲気に身も心も満たされます。
ちょっとユーモラスな狛犬に迎えられ、
いよいよ、御神前へ。
睨みを効かせる狛犬の間を、
神妙な面持ちで通り、
お参りです。
安房口神社は社殿を持ちません。
"阿形"の神石が鉄格子に囲まれて、祀られています。
御祭神は天太玉命。
(アマノフトダマノミコト)
房総半島の安房神社の御祭神と同じです。洲崎神社の御祭神はその妃神です。
"阿形"という名の通り、凹みがあります。
子孫繁栄の意味もあるのでしょうね。
実際に、安房口神社は古くから安産祈願の神様として崇敬されています。
(北条政子も安産祈願に参拝したのだとか)
出産前に御神体の周りの小石をひとつ持ち帰り、出産後に石をふたつ返すという風習があるそうです。
一方、房総半島側の神石は凸形。
伝承では、東国鎮護の為に、この山頂に飛んできたとなっていますが、一体、いつどこから運び込まれたのでしょうか…
後ろから失礼して。
見上げると、木々の間から木漏れ日が射し込んでいました。
石碑の周りでは、鳩たちが木の実をつついていました。
住宅街の中に、今も古代祭祀の様相を色濃く残す神社でした。
森を反対側に抜けると、
住居の間に出ます。
まさに、住宅街の中の異空間。
ご当地マンホール。
市の木、オオシマザクラと市の花、ハマユウです。
ここから山の高級住宅街、湘南山手を抜け、浦賀へ向かいます。
続く