Great Pop Songs 80年代編 4 | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

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過去と現在の洋楽シーンをチャートデータをもとに紹介するページ(週一更新予定)

Great Pop Songs 300


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1980年に始まったMTVが本領を発揮しはじめたのが1983年頃からで、ビデオクリップも映画のようなストーリー仕立てがあったり、インパクトのある映像が出たりします。ちょうどブリティッシュインベイジョンと呼ばれるUKのアーチストが全米チャートを圧倒する出来事が起きますが、それもこれもMTVの力が大きくて、それについてはまた後の特集で紹介しましょう。ブリティッシュインベイジョンの年と言いながら、全米のアーチストがこの時に駄目だったかと言えばそうじゃなくて、80年代を代表するMichael JacksonやPrince、Lionel Richie、Hall & Oatesなどは絶頂期でしたし、音楽界全体にパワーがみなぎっていました。



101 Billie Jean / Michael Jackson (83)


Michael Jacksonが82年の末にリリースした『Thriller』は先行カット「Girl Is Mine」は1位になることが出来ませんでしたが、続くこの曲はビデオクリップ、MotownライブのTV中継の話題もあって全米1位を7週間記録します。70年代にSteely Danがやっていた音に対する徹底的なこだわりは80年代にQuincyとMichaelに受け継がれ、『Thriller』で実現します。結果『Thriller』は全米のアルバムチャートで37週間1位を獲得し、全米だけで2600万枚のセールスを記録します。R&Bという枠を超えたポップアルバムの登場は黒人音楽、白人音楽といったフォーマットの壁を無くしていきます。80年代ポップスターの時代が到来したのです。


102 Little Red Corevette / Prince  (83)


80年に初のTop40ヒットを放ったPrinceは評論家には評価されていましたが、チャート的には伸び悩んでいました。しかし82年の末に発売された『1999』から状況は変わります。ファンクからよりロックにシフトされたこのアルバムからの先行カット「1999」(当初44位)は不発に終わりますが、続くこの曲は全米チャートで6位まで上がる大ヒットを記録します。ここからPrinceの快進撃が続き、収録されたアルバム『1999』は初のTop10入りを果たす大ヒットを記録するのでした。切ないメロディは涙が出そうになりますが、ビデオクリップでは、歌っているPrinceから放たれるオーラが凄まじいです。


103 Say It Isn't So / Hall & Oates (83)


Michael Jacksonが登場するまではチャートの主役としてHall & Oatesが出す曲出す曲ヒットさせていました。その中で出されたベストアルバムからのカットとなるこの曲は1位には到達しなかったものの4週間2位を記録します。個人的な話ですが、私の子供の頃のアイドルはDaryl Hallで、このビデオにもあるDaryl Hallの軽やかなステップなんかは本当によく真似していました。


104 Love Is A Battlefield / Pat Benatar (83)


今でこそ女性ロッカーは多くいますが、それもこれも80年代最初に活躍したPretenders(クリッシーハインド)やPat Benatarの活躍があってこそでした。Pat Benatarは80年代に活躍した女性ロッカーの代表ですが、この曲はドラマチックなビデオクリップもあって自己最高となる5位に入る大ヒットを記録します。特に後半のダンスシーンはその後MTVでじゃんじゃん取り上げられるほどの有名なシーンです。


105 Total Eclips Of The Heart / Bonnie Tayler (83)


日本では「Hero」のヒットで有名なBonnie Tylerの全米1位曲(4週)です。邦題は「愛のかげり」。MeatloafやAir Supplyで有名なJim Steinmanが書いたドラマチックなロックナンバーです。ハスキーなボーカルがなんとも渋いです。90年代にはNicki French(95年全米2位)によってダンスナンバーにカバーされてヒットしました。あと、ちなみにBonnie TylerはUK出身でした。


106 Der Kommissar / After The Fire (83)


実は意外なことにこのバンドもUK出身。Falcoのペン (81)によるナンバーで全米チャート5位に入るヒットを記録しています。サビのフレーズなど、ダサカッコイイという感じで、邦題が何故か「秘密警察」。わかる気もしますか。


107 Maniac / Michael Sembello (83)


83年に大ヒットした映画「フラッシュダンス」から。アイリーン・キャラの「What A Feeling」が全米1位になった後にMichael Sembelloのこの曲も全米1位(2週)を記録します。いかにも映画にピッタリのダンスチューンですが、元々はホラー映画用に書かれた曲で、確かに「ハロウィン」あたりのEDテーマにも合っていますね。テンションが落ちた時に聞きたいナンバーです。


108 Stray Cat Strut / Stray Cat  (83)


何年周期かでオールディーズリバイバルみたいなことがあります。Stray Catsのこの曲も1950年代、Elvis Presleyがやっていたロカビリーですが、見事に全米で3位に入る大ヒットを記録しました。驚くのは中心メンバーのBrian Setzerは今もなお現役バリバリで、時々ロックチャートで活躍しています。


109 Uptown Girl / Billy Joel (83)


Billy Joelが83年に発表した『Inocent Man』は50年代から60年代のゴールデンポップスの世界を現代に蘇らせた作品でした。ロックが誕生した瞬間の熱気そのままに、Billy Joelのメロディアスな部分もプラスした名作です。そこからカットされた「Tell Her About It」は全米1位を獲得。そして次にカットされたこの曲も全米チャートで3位に入る大ヒットを記録しました。ビデオクリップに登場する「山の手のお嬢さん」クリスティーンは本当にBilly Joelの奥さんになってしまいました。(そして離婚もしました)


110 Every Breath You Take / Police  (83)


UKのバンドPoliceの名曲です。全米で8週間1位を記録して、83年の年間チャートでも1位に輝きます。邦題「見つめていたい」は、歌詞を見ると単なるストーカーのような歌ですが、曲は間違いなく名曲。さらにはGodrey & Creamが作ったモノクロームに溶け込むビデオクリップは文句なしの名作。そして収録されているアルバム『Syncronicity』は疑いなく名作です。Puff Daddyが90年代にサンプリングして「I'll Be Missing You」(97年全米1位×11)としてオリジナルを超える大ヒットを記録しました。


111 Hungry Like The Wolf / Duran Duran (83)


80年代初頭からUKではニューロマンティックスと呼ばれる音楽が登場します。これは70年代後半に登場したUKパンクの暴力性から、全く反対の中世の貴族のようなファッションに身を包んで、華麗で知的なロックという、70年代のグラムロックの変形のようなものが生まれたものです。代表的なのが82年にアルバム『Rio』を発表したDuran Duranやその次に紹介するSpandau Balletで、これがビジュアルが物を言うMTVに見事にはまりました。Duran Duranのこの曲はRussell Mulcahayにより高額なビデオクリップが作られ、結果として全米チャートで3位に入る大ヒットを記録します。


112 True / Spandau Ballet (83)


ニューロマンティックスの代表Spandau Balletは、アルバム『True』からこの曲に代表されるソウルフルなサウンドを取り入れ、全米で4位に入る大ヒットを記録します。日本のCMでもよく使われている名曲で、90年代にはPM Dawnによりサンプリングされ「Set Adrift On Memory Bliss」が91年に全米1位に輝いています。


113 Time / Culture Club(83)


このころのUKアーチストの特徴はシンセポップを軸にしてレゲエ、ソウル、ファンクといった音楽を貪欲に吸収してカラフルなポップスを展開していました。代表的なのはCulture Clubで、この曲はソウルサウンドを上手く取り入れて全米で2位に入るヒットを記録します。個人的にもCulture Clubの中でベストの曲だと思っています。様々な形で時計が登場するビデオクリップも名作です。


114 Too Shy / Kaja Goo Goo (83)


一部ではニューロマンティックスはビジュアル系バンドのムーブメントと言われるほど、83年のUKバンドはアイドル的な人気がありました。シンセポップサウンドのKaja Goo Gooのボーカル、リマールもアイドル的な人気があり、全米ではこの曲が3位に入るヒットを記録するに留まりますが、日本ではDuran Duran、Culture Clubと並び御三家と言われていました。


115 Sweet Dreams / Eurythmics (83)


ニューウェーブのテクノサウンドはこの頃人気がありましたが、デイブとアンのコンビによるEurythmicsは独特の美学があって、アンのエモーショナルなボーカルがいい味を出していました。個人的にはこの曲の歌詞が好きで、いつでも歌っていたい80年代の名曲だと思います。83年に全米1位を1週間記録しています。


116 Rock The Casbah / Clash (83)


ブリティッシュインベイジョンの嵐は大御所までもヒットを飛ばすようになります。60年代に活躍したKinksの「Come Dancing」が全米で6位に入るヒットを飛ばせば、70年代のUKパンクの雄Clashはこの曲で全米チャートで8位に入るヒットを放ちます。Will Smithが99年に「Will 2K」でサンプリングしてヒットを飛ばしています。


117 Our House / Madness (83)


スカバンドのMadnessも80年代の初めから日本のCMなどでも知られるほど活躍していましたが、ブリティッシュインベイジョン時には全米チャートでこの曲が83年に7位に入るヒットを記録します。この頃のブレイティッシュバンドの曲はメロディアスな曲が本当に多いですが、この曲もいい感じです。


118 One Thing Leads To Another / The Fixx (83)


わりと80年代UKポップス好きには外せないのがテクノポップバンドのFixxで、いろんな80sサイトを見ても良く名前が上がっています。独特のアングラっぽさが魅力のこの曲は83年の全米チャートで4位に入るヒットを記録しています。


119 Let's Dance / David Bowie (83)


80年代といえばNile Rogersというプロデューサーが活躍しました。Diana Rossの「Upside Down」(80年1位)のヒットから注目を集め、David Bowieのこの曲で不動のものとしました。70年代にグラムロックシンガーとして登場したDavid Bowieはスタイルを変えながらヒットを飛ばしますが、全米1位は75年の「Fame」以来出ていませんでした。ブリティッシュインベイジョンの嵐が吹き荒れる82年にはレーベルをEMIに移籍して発売されたのが『Let's Dance』というアルバムで、Nile Rogersをプロデュースに迎えます。David Bowieの持つエモーショナルな部分にChicのグルーブが加わって83年にBowieとしては2度目の全米1位(1週間)を記録します。


120 Come On Eileen / Dexys Midnight Runners  (83)


これまでのテクノシンセポップとはちょっと違ったサウンドで、ストリングスを上手く使った曲にDexys Midnight Runnersのこの曲があります。60年代オールディーズの臭いも漂わせながら、華やかなポップミュージックでUK(4週)、US(1週)ともに1位を獲得しています。曲の後半で音のテンポが徐々に速くなっていくあたりが聴き所。80'sの名曲の一つです。