監督・脚本 ダニー・ボイル
脚本 サイモン・ボーファイ
原作 アーロン・ラルストン
編集 ジョン・ハリス
撮影 アンソニー・トッド=マントル、エンリケ・シャディアック
出演 ジェームス・ブランコ、ケイト・マーラ、アンバー・タンブリン
2010年 アメリカ/イギリス
誰にも目的地を告げないまま、広大なキャニオングランド国立公園内の
徒歩でしか入れない奥地にあるブルー・ジョン・キャニオでキャニオニングして
楽しんでいた主人公のクライマーが、誤って岩壁の割れ目に滑落して、
同時に落ちてきた岩と壁に右腕を挟まれて身動きが取れなくなってしまう。
登山家のアーロン・ラルストンが実際に経験した事故をベースにした本作は、
助けを求めても、地上からは存在が確認できない透明人間になってしまった
主人公の、死から逃れるための孤独な127時間に亘る戦いを通して、
生きる勇気と希望を、コミュニケーションが希薄化する現代社会における、
人と人との繋がりの大切さを教えてくれる感動作です。
映画のほとんどが、岩と壁に挟まれた主人公を演じるジェームス・ブランコの
ひとり芝居ですが、『スラムドッグ$ミリオネア』の映像派監督ダニー・ボイルが
手掛けただけあって、映像の見せ方が上手で、最後まで全く飽きさせることがありません。
本作を観る前に、TVで偶々、大晦日に1ラウンドTKOで防衛に成功した井岡一翔の
ドキュメントが放送されていて、彼が減量中に一番苦しかったことは、
食事より水分を制限されることだと本人が語っていましたが、
本作でも、生命にとって一番大切な物が水であることが、丹念に描かれていました。
リメイクやシリーズ物が横行する映画界で、オリジナリティーを持ち、
派手なアクションシーンが無くても、娯楽性の高い作品が作れることを証明してくれた
ダニー・ボイルの手腕に拍手を送りたい。
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