無言歌 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 ワン・ビン

原作 ヤン・シエンホイ

撮影 ルー・ション

編集 マリー=エレーヌ・ドゾ

出演 ルウ・イエ、リェン・レンジュン

2010年 香港/ベルギー/フランス


1956年4月に毛沢東は、党に対する自由な批判を歓迎する内容の

政治運動「百花斉放百家争鳴」の方針を打ち出した事で、

多くの知識人による持論が展開されるようになりましたが、

次第に過激な意見が出始めるようになると、党の運営に支障を来たすと

危惧した毛沢東は、6ヵ月後の10月に掌を返すように百花運動を撤回して、

反体制派の右派分子に対して『反右派闘争』を発動します。


本作は、労働改造の名目で辺境の地にある収容所へ送り込まれ、

飢えと疲労によって、次々と非業の死を遂げていく罪なき人々の無念の想いを、

ドキュメンタリー畑のワン・ピン監督が代弁した初の劇映画ですが、

リアリズムを追求してきた監督とは思えない、感傷的なお涙頂戴映画で、

悲しみは伝わってきても、権力に対する怒りは、最後まで込み上げてくることは

ありませんでした。


余談ですが、飢えを満たすために草の種を拾う老人のワンシーンが

そのままポスターになっていますが、ポスターの人物は、実際に収容所での

経験を持つ生存者リー・ シャンニェン氏で、監督の切なる望みに応えて、

特別出演しています。


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