冷たい熱帯魚 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 園子温

脚本 高橋ヨシキ

撮影 木村信也

編集 伊藤潤一

出演 吹越 満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂 恵

2011年 日本


平成5年に埼玉県熊谷市周辺で実際に起こった、愛犬家の連続殺人事件をベースにした本作は、

『骨と肉は分ける。これは大事だよ。ボディが透明になっちまったらな、何もわかりゃしない。』と

豪語して、死体をバラバラにして完全犯罪を目論んだ異常な夫婦と、その暴力の渦に巻き込まれて、

精神を崩壊させていく男の悲劇を、エログロを前面に出したスキャンダラスな映像で描いた

ブラックコメディーです。

『いったろ こんなん慣れなんだよ』と鼻歌を口ずさみながら、牛刀で死体を切り刻んでいく殺人鬼を

演じたでんでんの鬼気迫る演技に圧倒されますが、映画の創作と思っていた『ボディを透明にする』や

『商売繁盛、殺しも繁盛』『俺が今日死ぬと言えば死ぬ。間違いなくそうなる。何しろ、俺は神の伝令を

受けて生きているんだ。』『人間なんでも一番にならなきゃ駄目だ。殺しにかけては俺がいま

ナンバーワン。』等を実際に言っていたモデルの男の心の闇の深さを想うと、の狂気の一部しか

演じることが出来なかったに違いありません。

主人公の職業を、ドッグブリーダーから熱帯魚屋に替えているのは正解で、
狭い水槽でたゆたう熱帯魚が、餌に与えられた小魚を一呑みしてしまう場面に象徴されるように、
主人公達が生息する死と暴力に彩られた世界の縮図として映像効果を上げています。

女優達に胸の谷間を強調した服を着せて挑発したり、死体をバラバラにする場面を

見せ場にする園監督は、エロと暴力とスキャンダルを売り物にしている週刊大衆の

愛読者に違いありません。


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