MAD探偵 7人の容疑者 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら


監督 ジョニー・トー、 ワイ・カーファイ

脚本 ワイ・カーファイ、アウ・キンイー

撮影 チェン・チュウキョン、トー・フンモ

編集 ティナ・バス

出演 ラウ・チンワン、ラム・カートン、ケリー・リン

2007年 香港


人間の隠れた内面を読み取ることが出来る超能力を持つ元刑事が主人公。

彼が依頼を受けた未解決事件の容疑者として浮かび上がった男は、

七つの人格を持つ多重人格者で、元刑事に実体として見えているその人格を、

女性を含めた七人の役者に演じさせているのが、この映画の見せ所と言えます。


監督は、『ザ・ミッション 非情の掟』『エグザイル/絆』等で、ガンアクションの斬新さや

暗黒街に生きる男たちの“死の美学”を描いて、世界的な評価を得ているジョニー・トー

ですが、本作は、ジョニー・トーの盟友ワイ・カーファイとの共同監督で勝手が違うのか、

容疑者が元刑事の顔面にピストルの銃口を押し付けて、今や引き金を引こうとする

暴力的人格を、他の人格が宥めて止めさせる場面にシンボライズされているように、

本来のスタイルが封印されて、サイコサスペンスタッチの作品に仕上がっています。


特殊な能力に付随する異常な行動が災いして怪物扱いされ、妻に逃げられ

職を失う等社会から阻害されていく主人公の悲しみが描ききれていないことと、

容疑者の攻撃的人格以外の人格も明確にして、その鬩ぎ合いを役者達に演じさせて

いなかった事が物足りなかった点でしょうか。


すでにハリウッドでリメークされることが決まっていますが、脚本の完成度が高いので、

プロデューサーの作品に対する解釈ひとつで、傑作にも駄作にもなりえる作品だと

言えるでしょう。


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