2週間の戦い。~その後に続く物語~ -6ページ目

村上春樹

「僕たちは何かを取り込むことに長けた人種だ」

作家・村上春樹


『やがて悲しき外国語』というアメリカ滞在記で、彼が黒人のタクシー運転手とジャズについて語る様子が描かれている。

2人はジャズ好きでラジオから流れるジャズについて話すのだが、その会話のちょっとした所で運転手の白人至上主義に対するなんとも言えない思いがみえたりする。

村上春樹はジャズが好きだし、日本人の若者はヒップホップやロックというアメリカ文化が好きだ。

さらに、日本人はそれを熱心に研究するからアメリカ人より詳しかったりする。でもアメリカ文化はアメリカ人のものなのだ。と、黒人運転手は思っている。

日本人がいくら勉強しても日本人のものにはならない。それが文化。

村上春樹は言う。「僕たちは、確かに何かを取り込むことに長けた人種だ。」

私も思う。私たちは確かに何かを取り込むことを得意とする。

本質的にはものにならないものを取り込むことが得意な人種はどこにたどり着くのだろう。

わからない。

迷走。

だから、取り込むことが得意になるのだろう。

純名りさ

「私も教えてほしいです」

女優・純名りさ

宝塚出身の女優の彼女がNHKのスタジオパークに出演していた。

『リトル・チャロ』というNHKの英語教育番組の主人公である子犬チャロ。片耳が茶色と白だからチャロなんていう、ほんわかしたかわいい子犬。

その声優をしているのが純名りさである。ネイティブにまざって全編英語という壁もなんのその、普段の会話にどう食い込んでいくかが楽しいという。

思い立ったらすぐ行動派で、一人旅もよくするし、現地でのコミュニケーションが楽しいという彼女。大阪出身でまさに明朗快活。

そんな彼女が、ヘコんだ時はどうしてるかという質問に対して言ったのがこのオコトバ。

意外だったが、考えてみればヘコまない人なんていないはず。一見、明るく元気でもみんな悩みはいっぱいある。それでも、彼女のように笑ってた方が、人生楽しい気がする。

野村忠宏

「そんな甘いもんじゃない」

柔道家・野村忠宏


オリンピック4連覇を目指していた野村氏が、北京五輪代表最終選考会で破れた。

個人同一種目での4連覇は、あの有名なカール・ルイスを含め、世界で3人しか達成していない。

その偉業に挑戦している日本人がいたということだけで勇気を貰う。

代表発表後の会見で、今後についてはわからないと彼は言った。

このまま終わっていいのかという思い、4年後に臨むのはそんな甘いものではないという現実、その狭間にいると言った。

強要される練習は嫌いだが、自分で決めたらとことんやった自分流でオリンピック3連覇。

並大抵のことではない。同じ人間だけど彼しか知らない世界があるのだ。たくさんの人が、その世界に憧れをもつ。

しかし、試合翌日のインタビューで憧れの世界の住人は苦しそうに言った。そこに住むのは「そんな甘いもんじゃない」と。

笑っているのが泣いているようにみえた。