野村忠宏 | 2週間の戦い。~その後に続く物語~

野村忠宏

「そんな甘いもんじゃない」

柔道家・野村忠宏


オリンピック4連覇を目指していた野村氏が、北京五輪代表最終選考会で破れた。

個人同一種目での4連覇は、あの有名なカール・ルイスを含め、世界で3人しか達成していない。

その偉業に挑戦している日本人がいたということだけで勇気を貰う。

代表発表後の会見で、今後についてはわからないと彼は言った。

このまま終わっていいのかという思い、4年後に臨むのはそんな甘いものではないという現実、その狭間にいると言った。

強要される練習は嫌いだが、自分で決めたらとことんやった自分流でオリンピック3連覇。

並大抵のことではない。同じ人間だけど彼しか知らない世界があるのだ。たくさんの人が、その世界に憧れをもつ。

しかし、試合翌日のインタビューで憧れの世界の住人は苦しそうに言った。そこに住むのは「そんな甘いもんじゃない」と。

笑っているのが泣いているようにみえた。