2016年3月26日13:03キックオフ@札幌ドーム 天候:屋内

札幌 3ー1 京都


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から石櫃洋祐、菅沼駿哉、染谷悠太、本多勇喜。MF右から山瀬功治
、アンドレイ、佐藤健太郎、石田雅俊。FW有田光希、イ・ヨンジェ。
SUB:清水圭介、高橋祐治、下畠翔吾、田村亮介、堀米勇輝、國領一平、ダニエル・ロビーニョ
監督:石丸清隆

(選手交代)
HT、石田→堀米:堀米が右サイドに入り、山瀬が左へ。
63分、有田→ダニエル・ロビーニョ:イ・ヨンジェのワントップにダニエル・ロビーニョと堀米の2シャドー。
78分、本多→下畠:ポジションそのまま。


【札幌メンバー】
GK阿波加俊太。DF右からマセード(61分:→内村圭宏)、進藤亮佑、増川隆洋、櫛引一紀(88分:→イルファン)、福森晃斗。MF右から前寛之、深井一希、堀米悠斗。FW都倉賢、ジュリーニョ(73分:→ヘイス)。
SUB:杉山哲、上原慎也、河合竜二、稲本潤一
監督:四方田修平


【審判団】
主審:清水修平 副審:大友一平、日比野真


【得点】*サイドは攻撃側から見て
3分、都倉(札幌1-0京都):ロングボールを左サイドでキープしたジュリーニョが深井に下げる。深井からの縦パスを前がスルーし、受けた都倉がワンタッチで本多をかわして右足の強烈なシュートをゴール左に決める。
45+3分、福森(札幌2-0京都):ゴール前右からのFK。福森がゴール右上隅に直接決める。
51分、都倉(札幌3-0京都):右サイドからのクロスに走り込む福森を菅沼が倒し、PK。都倉がゴール左に決める。
89分、下畠(札幌3-1京都):後方でのパス回しから、菅沼、アンドレイ、山瀬、堀米、イ・ヨンジェと縦パスを繋ぎ、落としを受けたアンドレイがキープして山瀬にスルーパス。山瀬のシュートはブロックされるものの、こぼれ球を下畠が右足で蹴り込んで決める。


【警告】
札幌:都倉(45+4分)、福森(71分)
京都:なし



開幕から4試合連続引き分けとなった京都。
どうやら今節引き分けるとJリーグタイ記録の開幕5連続ドローとなるらしい中、札幌に乗り込んでの試合となりました。
京都はスタメンに負傷明けの山瀬と、出場停止明けの菅沼が復帰し、4-4-2。サブには堀米と田村が今季初めて入りました。
対する札幌は前節、清水を相手に攻め込まれつつも完封し、勝利を挙げています。
布陣は清水戦と同じく、5バックの前に3枚のセンターハーフを置いた形。ただし、GKのク・ソンユンが韓国U-23代表遠征、第2GKの金山隼樹が体調不良とのことで、J2デビューとなる阿波加が入っていました。



慎重さと隣り合わせの臆病さ


試合は早々に動きました。
都倉に強烈な右足シュートを決められ、わずか3分で先制を許します。

直接的には、本多が都倉の利き足である左足側をケアしようと不用意に飛び込んだのが手痛いミスでした。最初の位置取りにおいて、隣りにいた染谷との関係でやや外側にいたことも焦って飛び込む原因になったでしょうか。
しかし、本多単独のミスというよりも、チーム全体としてもあやふやな守備をしていたことが繋がった失点です。

元々、互いにクリアボールを蹴り合う形になっていて、札幌のクリアボールがジュリーニョに入ったところが起点でした。
ジュリーニョはボールの処理にもたついていたのですが、近くに居た菅沼や佐藤が強く寄せるでもなく。菅沼はラインを形成しに戻り、佐藤はまずはボールを下げさせようとします。
実際にジュリーニョはボールを下げるのですが、その際にDFラインはほぼその位置をキープ。
結果として、DFラインの前に入り込んできた前寛之が浮いた形となり、染谷が釣り出されたところを都倉に入れられたという形。
クリアボールの蹴り合いの最中でもDFラインは上げることができたでしょうし、また、ジュリーニョに入ったところでもサイドハーフの山瀬と石田の戻りは緩慢。
その後に染谷が釣り出された場面でも、元々バックパスに合わせて距離を詰めることができたはずですし、染谷が下がっていたことに本多が戸惑っていたようにも見えました。

前節・長崎戦のレビュー でも書きましたが、今季は基本的に、ラインを低めにしてまずはブロックを作ろうという守備をしています。
まずは守りからということで、慎重に戦っている印象を持っていますが、一方で押し上げるべき時に押し上げられないという側面も見せています。
ボールと人の動きに合わせて設定すべきところを、場所ありきになっているというか。
また、ブロックを形成するにしても、「どこで奪うか」を察知して、強く奪いにかかるタイミングが必ず必要になります。しかし、その意識がやや希薄に思えるのも確かです。
中盤では追い込みを見せてもいますが、良い形で囲んでも抜け出される回数が多いのも気掛かり。もはや個人としてのボール奪取能力にも関わるところかもしれませんけど。


札幌は5バック&3センターハーフのブロックを後方に敷き、都倉とジュリーニョの2人にまずは当てようという狙いでした。
2人とも強力なフィジカルを持っていますし、警戒すべきなのは当然です。しかし、どうにも消極的、ややもすると腰の引けた守備をしてしまった印象が強いのは、つまるところ奪いどころの認識や判断が徹底できていないということになるでしょう。
さらに、今節は染谷が都倉に対して全く対応できておらず、単純なミスも連発していたために全体もさらに受け身になってしまいました。
対照的に札幌は、人数を後ろに残しているという共通認識もあることから、攻撃にかかった時にツートップに加えて2~3枚が勢い良く飛び出してきましたね。
リードされた京都が前に人数を掛けていたうえ、中途半端なミスも多かったので、危険なカウンターアタックも幾つか。
前節は同じ戦い方で清水を破っていますし、自信を持って戦えていたのではないでしょうか。



攻撃については改善したようにも見えるが・・・


長崎戦に比べれば、攻撃はスムーズになっていたように思います。
札幌は8人でブロックを作っていましたが、ボールサイドにかなり食いつくので、サイドで一枚外して中に入れると結構空いていました。
石櫃や本多に入れたところから、ツートップに当てるなどしてサイドハーフを絡めていく形は何度か作れていて、実際にシュートシーンまで持ち込めていましたからね。
もっと数は増やせたと思いますし、増やさなければならない中で単純なパスミスでカウンターを受けてしまうことも多かったですけど・・・。
(なお、シュート数が2桁に行ったのは開幕戦以来のようです。攻めきれてないなぁ・・・。)

ここまでの試合を見ていても、京都が狙いとしたいのはサイドからの崩しのようですね。
高く位置取ったサイドバックがボールを持った時に、ツートップの一枚が引いてきたり、サイドハーフが中で受けたりといったところから3~4人でサイドを崩す、あるいは中央突破を狙うといったところ。
それが、うまく縦パスが入れられないとか、パスがズレて縦パスを入れてもその後に繋げられないとかが多いのが苦労している点。あとは守備時に引いているために、前線とうまく攻撃をリンクできないということも。
(そうなると、リトリートする守備にどれだけ意味があるのか?となるんですけど・・・)
今節は積極的にアンドレイが前に出るようになっていたので、サイドでの崩しもパスコースが増え、攻めやすくなったところはあるでしょう。
ただ、これがリードされているからできていたことかもしれないので、何とも言えないところ。
スコアが動いていない時にも、守備のバランスも見ながらアンドレイが上手く前に絡めるといいんですけど。なのでここは継続課題でしょうね。

今節の話をするなら、京都の右サイドが活性化してきたのを見て、ジュリーニョを左サイドハーフに入れて京都の右サイドを数で潰しにきた四方田監督の采配は見事でしたね。
割り切った采配ですけど、1-0でリードしていることと、都倉一人でも十分にカウンターを成立させられそうだという読みもあったのでしょう。
前半をこれで凌げばというところで、福森のFKで追加点。
後半にはまた2トップに戻しましたが、すぐさまPKで3-0。

その後は、京都は焦りでちぐはぐなプレーを続けてしまい、終盤に1点を返すのがやっと。
堀米が起点となってボールを精力的に引き出し、それらしい形もイメージはできたのですが、実ったのは試合終了間際。
ゴールに繋がった形は、チームとしてやりたいような攻撃だと思いますが、これからどれだけ再現していけるかですね。


これで開幕5試合を終えて4分1敗。
開幕5試合で勝ちがないのは99年以来だそうですね。
(ちなみにこの時のレギュラーには現コーチングスタッフの大嶽さんや佐藤尽さんがいました。)
正直、マズい状況ですね。
メンタル面でのブレも見られていますし、やりたいプレーがあっても実行できなければ仕方がないわけで。
自分たちで打破できるのかどうか。1週間でどこまで持っていけるかですね。

次の相手は、こちらも未勝利の山形です。



―2016シーズン通算記録―
4分1敗 勝ち点4 5得点 7失点
今節終了時点での順位:15位

【ゴール】
1点:有田、アンドレイ、イ・ヨンジェ、石櫃、下畠

【アシスト】
1アシスト:有田

【累積警告】
3枚:佐藤
2枚:本多、イ・ヨンジェ
1枚:菅沼、エスクデロ、有田

*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり