日興コーディアル証券は、昨年12月、自社の決算内容に虚偽記載を行ない、利益を水増ししたとして、東証より監理ポストに移されていましたが、今夕一転、東証の西室社長が、「記載がクロとは断定出来ない」として3/13日付で上場が維持されることになりました。
現在、アメリカの大手銀行シティーグループが、日興コーディアル証券のTOB(株式公開買い付け)に向けて、作業を進めていましたが、その成り行きに何らかの影響が有りそうです。
シティーグループのTOBが成功すれば、日興コーディアル証券は、シティーグループの傘下で、日本市場での証券業務を遂行することに成ります。
一方、シティグループは、日本国内で、法令違反を起したり、日本金融部門の規制強化で、日本戦略からの撤退や縮小を迫られていました。
この苦しい背景に有るシティ側では、日興コーディアル証券の出来事は、格好の材料に成った具合です。この機会に、同証券のTOBを行ない、日本戦略の建て直しを図ろうとした節があります。
しかし、日興にとっても上場廃止は、ほぼ確定の瀬戸際に立っていましたから、シティのTOBは歓迎する所でした。
企業の買収には、
「敵対的買収」と「友好的買収」が有ります。今回のシティグループの買収は、日興の望む買収ですから、友好的買収に相当します。
過去の、敵対的買収の例としては、昨年1月の、ライブドアによる日本放送の買収劇は、記憶に新しい企業事件です。結局、この買収は失敗に終わりましたが、この企業事件以降、各企業は買収防衛策の強化に動きました。
しかしながら、日興コーディアル証券の場合は、積極的に「友好的買収」を希望していました。
その意味で、シティ側と日興側の思惑が一致しています。買収を防衛するどころか、シティの買収を期待しているわけですからね。
私は、日興コーディアル証券は、東証の上場廃止を免れましたが、シティグループの友好的買収に応じるものと思います。今回の不祥事で、日興は、市場の信頼を大きく毀損しましたから、資金的バックアップを必要としています。
どうやら、日本ビクターに続き、またもや有力な日本企業が外資に買収されそうです。なにか行き所がない侘しい思いがするのは、私だけでしょうか。
- 読売新聞社会部
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