榎田さんのユウリ名義の「妖琦庵夜話」シリーズ5巻目です。

大好きなんですよ、このシリーズ。
妖人は出てきますが、妖怪は出てきません。
だから妖モノなんて言うと、
主人公の伊織に扇子でビシッとはたかれます(笑)

今回のテーマは差別ですね。

人の心を器に、感情を水に例えた描写が秀逸で、
なるほどと深く首肯しました。

差別を生むのは人の心なんですよね。

何故、人は差別してしまうのかを語る伊織の理論に、
脇坂同様、私もまんまとミスリードされてしまいました。
これまた扇子でバチッと叩かれちゃいますな。

人は自分似ていて少し違うものを怖いと感じる。
物語の中では、それが人間が妖人を差別することに繋がっていきます。
同じ人間なのに…。
(ふと、石田スイさんの「東京喰種」を思い出しました。)

今回の物語は、マメがメインとなっています。
純粋無垢でとても可愛い「小豆とぎ」のマメ。
彼の秘密が明かされています。

そして、本編に挟まれる黒いページ。
ラスト間近になると、
それにグラデーションがかかって……。

本文の構成と同様にこの演出にも唸りました。
見事なのです!

なお、初回限定で中村明日美子さんの
描き下ろしコミックペーパーが付いてます♪

【関連記事】
妖琦庵夜話 その探偵、人にあらず(単行本)
妖琦庵夜話 空蝉の少年(単行本)
妖琦庵夜話 人魚を喰らう者(文庫)
妖琦庵夜話 魔女の鳥籠(文庫)

妖琦庵夜話 グッドナイトベイビー
 著者:榎田ユウリ カバーイラスト:中村明日美子
角川ホラー文庫 非BL作品 2016年4月
★★★★★涙
妖奇庵夜話 グッドナイトベイビー (角川ホラー文庫)/KADOKAWA/角川書店
¥691
Amazon.co.jp


◆あらすじ(裏表紙)
茶室・妖琦庵の主は、隻眼にして美貌の洗足伊織。
ヒトと僅かに違うDNAを持つ妖人だ。
家令の夷、家事手伝いのマメと共に静かに暮らしていたが、《鬼》の属性を持つ青目にマメが襲われて以来、危機感を強めていた。
妖琦庵を訪れた《獏》から「妖人というだけで差別され、妻子が苦しんでいる」と相談を受ける。
一方、子どものように無垢なマメには、過去からの脅威が近づき……。
大人気シリーズ第5弾、文庫書き下ろし。 ◆


以下の感想は読メからのコピペです。

人の心の弱さ、脆さが浮き彫りになる差別がテーマ。

過酷な境遇で育ちながらも
ずっと真っ白でいられたのは……。

白と黒。

交じり合うことなく、白を守っていた黒。

綴じられてしまった黒い子。

読み進める程にトウという存在から伝わってくる
寂しさや哀しさに胸が詰まり、
終盤に明かされる「おあがり」に続く呼びかけには落涙。

マメがマメでいようとした理由にも胸が締め付けられた。

もう二度とマメが狙われないことを
切に願っているのだけど、
どうだろうな。

真っ黒な闇にいる青目の心の奥底を知りたいと思う私に、
ラストの一文が深い余韻を残した…。

明日美子さんのペーパー、楽しかった♪

仄暗く重い本編読了後に、
可愛くて笑える漫画で和ませてもらった。

オチがちょいとブラック風味なのもいい!

(読了日2016/6/19)

≪榎田尤利作品INDEXへ

↓クリックよろしくお願いします♪壁||ョ*´ェ`) 
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説読書感想へ
にほんブログ村
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL漫画感想へ
にほんブログ村

妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず (角川ホラー文庫)/角川書店
¥637
Amazon.co.jp

妖奇庵夜話 空蝉の少年/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥1,512
Amazon.co.jp

妖奇庵夜話 人魚を喰らう者 (角川ホラー文庫)/KADOKAWA/角川書店
¥648
Amazon.co.jp

妖奇庵夜話 魔女の鳥籠 (角川ホラー文庫)/KADOKAWA/角川書店
¥691
Amazon.co.jp