【書籍紹介】図解ゼロからわかる経済政策【正しい羅針盤】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。

飯田泰之
「図解 ゼロからわかる 経済政策
「今の日本」「これからの日本」が読める本」

(角川書店、2014年)


図解 ゼロからわかる経済政策 「今の日本」「これからの日本」が読める本 (ノンフィクション単行本)/KADOKAWA/角川書店
¥1,296
Amazon.co.jp



◆◆◆ 出版社による紹介 ◆◆◆

http://www.kadokawa.co.jp/product/321310000103/

「モーニングバード!」レギュラー出演でわかりやすい解説に定評のある著者が、日本の経済政策の基本を紹介。本書の「3つの柱」を押さえれば、経済ニュースが手に取るようにわかる。自分の頭でも考えられるように。



◆◆◆ 私の感想等 ◆◆◆



 昨年10月にも紹介したのだが、田中秀臣教授が初学者向けのブックガイドを示している(http://ameblo.jp/bj24649/entry-11629041766.html)。

「[経済]経済を無理なく理解するにはどうしたら?(経済書ブックガイド2013秋)」 田中秀臣ブログ2013年10月6日
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20131006#p1

 で、近所の書店に行ったのだが、このブックガイドの中では、飯田泰之准教授と荻上チキ氏の共著「夜の経済学」しか店頭になかった。
 最初の一冊が「夜の経済学」というのもなんだかなぁ、と思ったところ、本書が新刊で出ていた。

 本書の序盤を読んでいると、上念司先生がよく言っている話が出てくる。
 上念先生は、「アベノミクスの3本目の矢は再分配政策がよいのではないか」ということを言うが、本書を読むとなるほどと思う。
 出版社の紹介文を見ると、「3つの柱」という言葉が出てくる。
 経済学の門外漢であれば、アベノミクス3本の矢を思い浮かべるだろう。
 すなわち、(1)金融政策、(2)財政政策、(3)成長政策である。
 しかし、アベノミクスとは切り口が少し違うのだ。
 「3つの柱」とは、(一)成長政策、(二)安定化政策、(三)再分配政策である。
 これは経済政策の効果に着目した一般的な分類法とのことだ(4ページ)。
 金融政策と財政政策はどこに行った、という気がするが、これらは安定化政策に含まれる。
 つまり、アベノミクス3本の矢は、再分配政策には言及していないのだ。
 そこで、上念先生は再分配政策の重要性を説くのだと思われる(本書207,214ページに同旨)。

 経済政策に関心のある人なら、GDPが大事だということは知っている。
 本書が特に重視するのは、一人あたりのGDPである(33ページ)。
 国民一人一人がより豊かになることが、国民の幸福に繋がっていくのである。本書では述べられていないが、これが経世済民なのだと思う。
 成長政策は、一人あたりのGDPの向上を目指すものである。
 成長政策は、潜在GDPを向上させるものでもあるが、安定化政策は、潜在GDPと現実のGDPの差を最小化するものである(38ページ)。
 仮に成長政策や安定化政策によって順調に発展していても、不幸はどうしても発生する。なので再分配政策が必要になる(41ページ)。日本はこの再分配政策がうまくいっていない(196ページ)。

 私がおもしろいと思ったのは、マンデルの定理である。
 マンデルの定理は、「経済政策論における比較優位原理」とも呼ばれ、ある政策目標があった場合には、いったん派生的影響や副作用への懸念は切り離して、その目標を達成するのに最も安上がりな手段を用いるべきというものだ。副作用は、別の政策手段を使って抑え込むべきであると考える(48ページ)。
 三橋貴明氏は、「デフレ期にはデフレ対策、インフレ期にはインフレ対策」「デフレ期の今はインフレ対策である成長政策には反対だ」という論調である。三橋氏は、国土強靱化を主張するが、デフレ期の今はデフレ対策として肯定できるとして、インフレ期に入ったらその正当性が崩れてしまう。命を守るために必要な事業であれば、たとえ副作用があっても行うべきではないか、副作用は別の政策で抑制すればよいのではないか、などと思っていたところではあった(そもそもデフレ対策・インフレ対策を主作用に据えることが適切なのかに疑問があるが。金融政策はこれでよいのだろうが、三橋氏は金融緩和のデフレ対策としての効果を否定する。)。
 三橋氏は「副作用があるからダメ」という態度だが、そうではなく、政策目標の合理性、目標達成手段の合理性、副作用抑制策、ということを論じるべきではなかろうか。

 私にとっての経済学の入り口は三橋氏だったが、私はリフレ派の考え方に魅力を感じた。
 やはり、公共事業には利権の問題がつきものなので、金融政策をデフレ脱却の中心に据えられるのなら、これはよいことではないか、などと思った。
 本書によれば、フィスカル・ポリシーは政策担当者の人為的な景気判断によって投じられる財政政策だが、経済の安定のためにフィスカル・ポリシーを用いることを許すと、結局のところ、税金を過度に下げ、財政出動を過度に増やしがちで、民主政治の適正な運営を妨げてしまう(144ページ)。
 飯田准教授は、安定化政策には財政政策以外を割り当てることを主張する。
 私もこういう考え方がよいのではないかと思う。ただ、日本銀行の体質が基本的に政府に非協力的なのが辛いか。日銀法改正が求められよう。

 外資の導入、労働力人口の増加、値上げの強制、カルテル、発送電分離、公共事業の効果、金融政策の効果、バウチャー、ベーシックインカム、給付付き税額控除(負の所得税)など、三橋氏とは論じ方が大きく異なると思った。三橋氏は小泉政権を低く評価し、麻生政権を高く評価するが、飯田准教授は逆だと言ってよい(207ページ)。
 シュンペーターの創造的破壊についても、中野剛志氏とは大きく異なる説明がなされていると思った(120ページ、http://ameblo.jp/bj24649/entry-11892907483.html)。
 彼らの解説に浸っている人は、一度本書を読んだ方がよい。
 学者がしている常識的な議論は知っておいた方がよい。
 その上で、三橋・中野の方が信じられると考えるのならば、それもよいだろう。

 経済評論家の解説書は、一般的に、時事問題に即したものが多い。
 具体的な最新情報が多く、おもしろいのだが、抽象的に体系をつかむことがなかなかできない。
 体系がわからないということは、正しい「羅針盤」を得られていないということだ。
 「成長こそが、全ての解」と言いつつ、「成長政策はインフレ対策(デフレ促進策)だから反対する」と言うのは、「羅針盤」に不安を感じる(http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10442279162.htmlhttp://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11700092524.html)。安定化政策の中の財政政策の中の公共事業だけが突出して尖った、歪な羅針盤かもしれない。
 「狂った羅針盤を正しい羅針盤に変更しよう!」と思った人は、本書を手に取ってみてはいかがだろうか(http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11813126445.html)。






◆◆◆ メモ ◆◆◆



はじめに

一人あたりのGDPを増やす(P2)。
問題を分割して考える(P4)。①成長・②安定化・③再分配。
視点:①人は損よりも得、苦よりも楽を選択する。②自分の懐については、人は他人より賢い。少なくとも同程度には賢い(P6)。



第一章 経済政策は「幸福を目指す」ためにある

パレート改善:誰かがより幸せになり、誰もがより不幸にならない(P17)
幸福度はGDPに比例する(P21~)。GNH(国民総幸福量)、HDI(人間開発指数)。
経済政策は、平均的な国民の所得・収入を長期的に向上させることを目指す(33ページ)。一人あたりのGDPを増やすのに、人口減少は関係ない(P34)。
成長政策が重要(P36)。潜在GDPを成長させる(P40)。
しかし、経済成長しつつ貧富の格差が拡大すると、参照点(レファレンス・ポイント)が上がり、貧困層の幸福度が下がる。特に失業が問題(P37)。
潜在GDPと現実のGDPの差を最小化するために安定化政策(財政政策、金融政策)を行う(P40)。
自己責任で済ませられず、民間企業の保険で補えない不幸につき、再分配政策で手当てする(P42)。ハルサーニの公正観察者。
政策の選択につき、ティンバーゲンの定理:N個の独立した政策目標の達成のためには、N個の独立した政策手段が必要である(P46)。
政策の副作用につき、マンデルの定理:政策目標を実現する最も安上がりな手段を用いるべきであり、副作用は別の政策手段を使って抑え込むべきである(P48)。
経済政策の失敗を想定したコンティンジェンシー・プランの存在を考える姿勢が保守主義(P49)。
小泉内閣・第一次安倍内閣は成長政策だけ。民主党政権は再分配政策だけ(P51)。



第二章 成長政策 ー 経済の「基礎体力」をつける

産業政策・計画経済ではない(P55)。
国が行うのは、市場の力を最大限にするための環境整備(P56)。
成長政策は潜在GDPを伸ばす(P57)。
GDP(国内総生産):ある国の国土において、その年内に新たに生産された付加価値の総額(P57)
 日本国内に存在する「資本」「労働力」「技術」が稼働することによってもたらされる(P60)。
伝統部門・収穫逓減性・偽装失業者(P61)→(労働者の移動)→近代部門(P62)
 これだけで成長できる「転換点」には既に到達した(P64)。
資本(生産設備)を増やす内国モデルと外資モデル(P66)。
 国内の貯蓄が国内で使われるとは限らず、外国資本が投じられることも重要(P67)。
 外資に魅力のない市場は、国内の投資家にとっても魅力がない(P68)。
 規制緩和・自由化の余地あり(P71)。
技術(付加価値をつけるもの)の向上は民間が自由にするのがよい(P74)。
自由な取引は両当事者に得をもたらす(P78)。
 需要曲線(需要関数)・供給曲線(供給関数)(P82)。均衡で厚生は最大化する(P86)。
 労働市場の場合、最低賃金制度が非自発的失業者を生じさせる場合がある(P89)。
市場が厚生を鈍化させる場合
:不完全競争(P94):独占・カルテル ⇔ 対策として自由貿易(P98)、参入規制の緩和(P100)
 市場の失敗:費用逓減産業(P101) → 自然独占(P102) ⇔ 対策として価格規制、上下分割方式(P104)、水平分割方式(ヤードスティック規制)(P106)、プライスキャップ規制(P107)
         外部性(P108):ある経済主体の行動が市場を通じないで他の主体に影響すること 外部経済(不経済)・ネットワークの外部性・公共財
         情報の非対称性:隠された行動(→効率賃金仮説)(P113)・隠された情報(P114)
 価格硬直性 → 安定化政策に関わる(P94)



第三章 安定化政策 ー 経済の「体調管理」をしっかりやる

長期→成長政策 短期→安定化政策(P118)
景気の安定の考え方:(A)ネオ・シュンペータリアン解釈(創造的破壊)(P120) (B)ニューケインジアン解釈(P121)
 → 一国全体としては景気安定が経済成長をもたらすとするB説が妥当する。産業レベルではA説が妥当する(P125)。
参照点(レファレンス・ポイント)(P126) 空間的相対所得仮説・時間的相対所得仮説(P127)
 → 安定的な経済成長が望ましい(P128)。
潜在GDPと現実のGDPとの関係(P130):(A)セイの法則(供給は自らの需要を創造する→安定化政策不要) (B)有効需要の原理(需要に対して供給が行われる。現実のGDPが潜在GDPを下回る需要不足(デフレギャップ)が生じ得る。)
 → A説は現実には成り立たない。B説で考える。
有効需要の原理=消費+投資+政府支出(+外需)がGDPを決める(P134)
財政政策の機能(P134):①経済安定化機能(ビルトイン・スタビライザー(自動的)、フィスカル・ポリシー(人為的。減税、政府支出)(P135))、②資源配分機能(資源のアロケーション機能)、③所得再分配機能
フィスカル・ポリシーを安定化政策の中心としてよいのか(P137)
 乗数効果(P138):消費が波及して所得の増大が起こる現象。GDPが増える。
 減税と政府支出はどちらが効果的か:一般論として、減税をしただけではGDPは増えず、GDPが増える財政出動の方が経済効果が大きい(P140)。
  批判:無駄な事業を行い、実質上、現金を配布しているだけの場合でも、GDPが増える。この場合、減税と大差ない(P141)。
     役に立つ事業こそ土地収用費が大きくなりがちで、「真水」が小さくなりがちで、乗数効果が働きにくい(P143)。
     ブキャナンとワグナーの政治経済学的批判(P144):民主主義国家では、財政政策は選挙に影響を与えるため、選挙のために適切な財政政策が行われないという政治的困難がある。
     政治的景気循環論(P145):アメリカでは選挙が近いと予算が増える
      → 民主主義国家においては、フィスカル・ポリシーに基づく財政政策で安定かを図るのは、政治的コストが高い(P145)。
       → マンデルの定理によれば、ハイコストの難しい政策は避けるべき。
     マンデル=フレミング効果(P147)。景況改善・金利上昇・円高という経路が働くと輸出の減少が景気改善の効果の一部を打ち消してしまう可能性がある。
筆者の提案:財政政策は上記機能②③を重視した方がよい。①には別の政策を割り当てるべき。
財政再建の考え方:財政が悪化すると財政の自由度が低下する。したがって財政再建は必要だ。しかし、経済政策の目的は財政再建ではないことを忘れてはいけない。
 →増税優先はダメ(P149)。
 →増税・歳出抑制・経済成長による自然増収の3つを組み合わせる(P150)。まずは景気の改善。
指数(P152)
物価は貨幣価値の逆数。インフレ・デフレは貨幣量で決まる(P154)。
金融緩和・金融引き締め(P156)。※量的緩和は別の用語(P164)。
物価が実体経済に影響を与える経路(P156):①労働市場(実質賃金が下がると失業率も下がり、消費が増える)、②金融市場(金利を下げ、インフレ率を上げると、投資が増える)、③資産市場(資産価格が上がると担保力が増し、融資を受けやすくなり、投資が増える)
貨幣量:現金と預金の合計(P161)
 信用創造:銀行の預金の貸出を通じて貨幣が生まれること(P161)
 → 金融政策は、民間金融機関の貸出行動を刺激・抑制して行う。
準備預金制度(P161):預金総額の一定割合を準備預金として中央銀行に預け入れる制度
 日本では、日銀当座預金口座に預ける(P162)。
買いオペ(P162)→代金が日銀当座預金口座に振り込まれる→余計な準備預金が引き出される・コールレート(銀行間の資金融通の金利)低下→貸出増加=金融緩和
売りオペ(P163)→準備預金が不足する・コールレート上昇→貸出減少=金融引き締め
ゼロ金利問題(P163):金融政策はコールレートの水準を目安にするが、これが0になると、金利を目安とした金融政策ができなくなる。
 → 将来も金融緩和を続けるという約束(コミットメント)が必要(P164)。
量的緩和(P164):金融市場調整の操作目標を金利(コールレート)ではなく、市中銀行の持つ資金量(日銀当座預金残高)そのものにする政策。コミットメントの一種。ゼロ金利で用いられる。
70年代以降、財政政策を安定か政策の中心にすることに疑問が呈されてきた。しかし、金融政策も、リーマンショック以降、安定化政策の中心にすべきかについて論争が生じている(P166)。



第四章 再分配政策 ー 社会的な「安全弁」をつくろう

成長政策と安定化政策は、所得向上を目指す(P168)。ミクロ経済学とマクロ経済学で完結する(P169)。
再分配政策は、平均から外れて不幸になってしまった人々の痛みを和らげ、再起を可能にする(P169)。
再分配政策の基本思想(P170):自由主義、パターナリズム。前者が基本(P172)。なお、双曲割引(P174)。
 → 折衷案としてのパターナリスティック・リバタリアン(P176):規制はしないが誘導はする。
機会の平等と結果の平等(P178)。両者は区別できない。ハルサーニの公正観察者の視点に立ち戻る(P179)。
自由主義的な再分配政策とは、自分で自由に選ぶことのできなかった不運に対する、強制加入の公的保険である(P181)。
 → 情報の非対称性が問題になる。
給付の方法(P182):現金給付、現物給付
 自由主義からは、現金給付が原則(P183)。
 しかし、子供の教育など、本人の自由に任せられないことはある。また、給付された現金を無駄遣いした人を餓死させるわけにもいかない(P184)。
 → クーポン、バウチャーの検討
誰に給付すべきか(セーフティネット制度):失業者→失業保険 不問→生活保護(P187)
現行の生活保護制度の四原則(P187):①無差別の原則、②申請保護原則、③世帯単位原則、④捕捉性原則
 → この原則そのものがセーフティネットの提供を妨げる。
   スティグマ(烙印)性の問題。金額が大きすぎる問題(P189)。
  → ベーシックインカムの検討(P190)。結局のところ、莫大な財源が必要になるのが欠点(P192)。
  → 給付付き税額控除の検討(負の所得税)(P193)。ベーシックインカムよりは少ない財源で済む(P194)。社会主義的にも見えるのだが、ミルトン・フリードマンも賛同的。
日本の現行の再分配政策は、高齢者を除くと、貧困率の改善にあまり役立っていない(P196)。相対的貧困率に顕著。
年金制度が若年層から高齢層への所得移転が起きる構造になっているのが問題(P198)。
戦中世代を支える賦課方式が、今では正当性を失っている(P202)。
大きな政府・小さな政府:財政規模と権限を分けて考えるとよい(P203)。
 現行:財政は小。権限は大。 ← 最悪の組み合わせ(P204)。権限を小さくするべき。



第五章 「これからの日本経済」を読むために

第二次安倍内閣は、金融政策を動かしたところが画期的(P206)。
小泉内閣は成長政策のみ。世界経済の好調も助けになった。しかし、成長政策は、新しいビジネスを始める人は儲かるが、それができない人には不利という面もあるため、統計的指標以上に、体感格差が広がった。中間層・貧困層の生活水準が改善しても、それ以上に富裕層が大きく儲ければ不満が募る(P207)。小泉内閣を引き継いだ第一次安倍内閣は格差問題に足をすくわれた。
麻生内閣は、リーマン・ショックによる景気悪化の対策として、財政政策を中心にして経済の立て直しを図ったが、明確な効果を得られなかった(P207)。
民主党政権は、再分配政策重視だったが、財源がなかった。
第二次安倍内閣の掲げる経済政策は、「財政政策→金融政策→成長政策」という三段ロケットの形を備えている(P208)。
失敗の可能性:①公共事業を増やしても、専門的技術のない失業者が雇われることにはならず、効き目が悪い(P212)。 ②産業政策路線が強い(P213)。
再分配政策に失敗すると、経済的弱者は、「格差が悪い=経済成長が悪い」と考え、格差是正の財源を作る経済成長にすら反対してしまい、政権が短命に終わるおそれもある。
成長→再分配→安定化のサイクルを作ることが大事。
成長政策においては、女性と高齢者の活用をするのがよい(P218)。中年男性主導型を脱することができるかどうかが、安倍内閣の評価に大きく影響する。
少子高齢化社会対策として「集積」もすべきである(P219)。
国際社会と協調しながら金融政策をする必要がある(P222)。
東南アジア諸国等が「中所得者層の罠」を超えれば、その国には莫大な市場が出現する(P223)。この市場を掴むことが大事だ。
経済政策は、意思決定をする人とリスクを負う人、つまり責任を取る人が一致しているものの方が、一致していない場合より、効率的である(P227)。
現代の経済政策は極めて技術的なので、自然な感覚を持ち込んではならない(P228)。