独立直観 BJ24649のブログ

流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。


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 「平和条約についていえば70年間できなかったわけで、そう簡単な課題ではないわけであります。」

 安倍総理大臣のこの発言から、北方領土返還交渉が難航しているという観測が増えてきた。

 

 

「【安倍・プーチン会談】 安倍首相ぶらさがり詳報 平和条約締結交渉「道筋見えるが簡単でない」」 産経ニュース2016年11月20日

http://www.sankei.com/world/news/161120/wor1611200011-n1.html

 

「 【リマ=田北真樹子】安倍晋三首相は19日午後(日本時間20日午前)、訪問先のペルーの首都リマでロシアのプーチン大統領と会談した。首相は会談後、記者団に、平和条約締結交渉に関して「解決に向けて道筋が見えてきてはいるが、一歩一歩山を越えていく必要がある。大きな一歩を進めることは簡単ではないが、着実に前進していきたい」と述べた。詳報は次の通り。

 

 

--会談の手応えは。

 「(経済協力)8項目について具体的な進捗(しんちょく)を二人で確認し、12月のプーチン大統領の訪日、長門市での会談に向けていい話し合いができたと思います。もちろん今日も平和条約問題も含め議論を行いました。平和条約についていえば70年間できなかったわけで、そう簡単な課題ではないわけであります。この平和条約の解決に向けて道筋が見えてくる、見えてはきてはいるわけですが、一歩一歩、山を越えていく必要があります。一歩一歩進んでいかなければいけない。そう簡単に、これは大きく、大きな一歩をですね、そう簡単に大きな一歩を進めるということはそう簡単ではないわけですが、着実に一歩一歩前進をしていきたいと思っています」

 

http://www.sankei.com/world/news/161120/wor1611200011-n2.html

 

「 --後半、少人数になる場面があったようだが

 「プーチン大統領と二人きりで平和条約交渉、平和条約について腹蔵ない意見交換を行うことができました。これはやはり二人の信頼関係の上でなければ前進していかないと思います。今日は二人でしっかりと話をすることができたことは意義があったと思っています」」

 

「【社説検証】 日露首脳会談 領土進展、各紙そろって懐疑的 共同活動はロシア支配強めるだけであり得ないと産経」 産経ニュース2016年11月30日

http://www.sankei.com/column/news/161130/clm1611300004-n1.html

 

「 11年ぶりとなるロシアのプーチン大統領の来日(公式訪問)を12月半ばに控え、北方領土交渉進展への期待が高まる。日本の対露経済協力も出そろった。だが、安倍晋三首相はペルーの首都リマでのプーチン氏との会談後、「そう簡単ではない」と発言、懐疑的な見方が広がった。

 プーチン氏来日は、9月のウラジオストクでの首脳会談で合意した。このときは、「懸案の北方領土交渉を進展させる好機と位置づけたい」(日経)、「プーチン氏と頻繁に会談を重ねてきた安倍晋三首相の戦略が問われる局面に入ったと言えるだろう」(毎日)と楽観的な見通しも示された。日経は、エネルギー調達先の多角化につながるなど、ロシアとのパイプ作りの意義も説いた。

 領土交渉の呼び水ともいうべき日本の対露経済協力は、極東の都市開発支援など、次々と具体化していった。だが、来日直近のリマ会談で領土問題打開への展望は開けなかった。日経は「日ロの北方領土交渉を進展させるのは、やはり容易ではないということだろう」とトーンダウンし、「領土を実効支配するロシアを動かすため、日本が対ロ経済協力をある程度先行させるのはやむを得ない。ただし、早期の決着をめざそうと投資案件や額を短期間に積み上げるだけでは、ロシアに足元を見られるだけだ」と慎重姿勢に転じた。」

 

http://www.sankei.com/column/news/161130/clm1611300004-n2.html

 

「 毎日は「空気が微妙に変わっているかもしれない」とし、その背景として2つの要因を挙げた。一つは米政権交代に伴う、ロシアにとっての日本の戦略的価値の低下。もう一つは、経済協力の窓口だった閣僚の突然の拘束、解任が強く示唆する露指導部内の路線対立だ。プーチン氏が強硬派の圧力を抑え、領土問題で決断できるか疑問だという。

 安倍首相の北方領土問題解決にかける並々ならぬ決意と、首脳同士の個人的信頼関係をテコに事態を打開しようという手法については、各紙は一定の理解を示している。

 産経はそれにも増して、ロシアへの警戒感を前面に出し、政府は経済協力に前のめりが過ぎないか、プーチン氏が信頼に足る相手か、と重ねて問いかけてきた。プーチン氏はリマでの会見で、北方四島でのロシアの主権を主張し、四島での「共同経済活動」を首相と協議したと語った。これについて産経は「四島は日本固有の領土であり、不法占拠するロシアに主権があるはずもない。四島の日本への帰属や返還が決まらない限り、共同経済活動に応じるのはロシアによる支配を強めるものでしかない」と断じた。

 読売も「戦後70年以上、北方4島の返還を実現できず、ロシア国内では返還反対論が強いままだ。領土交渉の進展は楽観できない」とし、「領土問題にゼロ回答で、大規模な経済協力を期待するのには無理がある。プーチン氏は、自らの来日でさらに大きな成果を目指すなら、領土問題の前進に向けて真剣な努力が求められよう」と論じた。」

 

http://www.sankei.com/column/news/161130/clm1611300004-n3.html

 

「 朝日は、北方領土の返還を望む日本と、経済協力優先のロシアとの「すれ違い」が鮮明になったと評した。その上で、領土交渉にあたっては「『法の支配』という普遍の価値観を共有する米欧との協調と両立させねばならない」とクギを刺した。ロシアがクリミア併合という「力による現状変更」に踏み込み、日米欧が対露経済制裁を科していることを念頭に置いたものだ。

 プーチン氏来日時、首脳会談は安倍首相の地元である山口県で行われ、両首脳の会談は16回目となる。どこで何度、会談を重ねようとも、日本側の主張すべきが、北方四島の返還であることに変わりはない。(内畠嗣雅)

                   

 ■日露首脳会談をめぐる主な社説

【産経】

 ・返還なき協力あり得ない(23日付)

【朝日】

 ・原則を踏みはずさずに(21日付)

【毎日】

 ・新たな状況を見極めよ(22日付)

【読売】

 ・領土交渉進展は楽観できない(21日付)

【日経】

 ・日ロ交渉は領土・経済均衡で(22日付)」

 

 

 前回の記事で、飯島勲氏が3年前に著した「秘密ノート」を引用した(http://ameblo.jp/bj24649/entry-12222764343.html)。

 あらためて読み返してみたら、北方領土返還交渉について書かれていた。

 飯島氏は「プーチンの本音」を書いている。

 政権と関わってきた飯島氏は様々な利害関係を有しているに違いなく、全てを鵜呑みにするのもよくないのだろうが、参考までに紹介する。

 飯島氏の分析では、プーチン露大統領自身は北方領土返還に前向きだ。

 

 

飯島勲 「秘密ノート」 (プレジデント社、2013年) 66~72ページ

 

プーチンに直談判するぞ

 

 「二島なら返す」は真意ではない

 

 二〇一二年五月七日、プーチンが、再び大統領に就任した。同年三月四日のロシア大統領選でプーチン首相が六〇%以上の得票率で圧倒的勝利を収めた結果である。

 大統領選の結果が日本のマスコミで大きく取り上げられたのは、プーチン自身への関心の高さももちろんだが、投票直前の外国メディアとの会見で北方領土問題に言及したからだろう。

 少なくとも六年間の大統領の任期中、ロシアを治めることが決まっている最高権力者が、北方領土問題について「最終的に解決したいと強く願っている」と述べたのだ。

 柔道家のプーチンが「引き分け」という日本語を例に挙げたことから、ロシア側は二島返還での解決を求めていると受け取り、警戒を強める向きも多いが、私は進展を期待したい。

 「二島なら返す」というのはプーチンの真意ではないと思う。

 実は、小泉内閣当時にも、プーチン体制下で北方領土問題が進展するという期待があった。私の情報では、プーチン自身は乗り気だったようだが、議会の承認が得られず断念したということだった。

 北方領土問題に対する前向きな発言が出たということは、議会対策にかなりの自信を持っているのではないかと推測できる。ということは、日本側さえ対処を間違えなければ、北方領土問題を前進させることができるはずだ。

 ロシア大統領選挙について、プーチンは相当な苦戦を予想していた。一回目の投票では決着がつかず、決選投票に持ち込まれる心配もあったが、第一ラウンドで過半数を制する見込みが立ったため、つい本音が出たというのが「北方領土」発言の背景ではないだろうか。

 もちろん、前回の大統領就任時と比較すれば支持率も下がり、アメリカが加担した反プーチン派の活動も盛んになった。しかし、ロシアの将来を考えてプーチン政権の弱体化を望む国民は少なかったのだ。

 余談だが、二〇一一年、欧州が仕掛けた「メドベージェフ大統領続投」が、ロシアの支配層にアプローチしたことと比べると、米国と欧州のインテリジェンス風土の違いを私は感じた。

 プーチンは、世界の勢力バランスを考えている。まずアメリカ、そして中国を封じ込めることで、自国の権益を拡張させていくのだ。

 一見ロシアにとって何のメリットもない北方領土の返還で、中国の封じ込めと極東開発を企図している。ズバリ、これがプーチンの本音だ。

 プーチンの極東への関心を一番よく示しているのは、一二年九月のAPEC首脳会議の場所をウラジオストクに設定したことだ。

 各国首脳が集まる際の設備、警備体制などを考えれば、自分自身の出身でもあるサンクトペテルブルクか、首都のモスクワでやるのが妥当だ。そのほかに候補地となりそうなのは、一四年に次の冬季五輪が開催される黒海沿岸のリゾート地、ソチくらいだ。

 そこを、あえて極東の小さな港町、ウラジオストクにした。首脳はともかく、各国外務省の担当者や、プレス関係者が泊まれるだけの宿泊施設はなかった。

 宿泊施設が足りない町で大規模な首脳会議を開くことができると、プーチンが判断したのは、〇一年、イタリアで開催されたジェノバ・サミットを経験したからだろう。

 小泉首相とプーチン大統領の初めての首脳会談も、このサミット期間中に行われた。あのときは、アメリカの代表団だけが陸上のホテルに宿泊したが、他の参加国は首脳も随行員も、すべて停泊中の客船に泊まった。もちろん私も船中泊。同行記者もすべて船だった。記者によってはまったく窓がない部屋に当たった人もいてかわいそうだった。

 そして首脳全員が出席するメーンの会議意外の、各国のバイ会談も船で行われた。小泉・プーチン会談も海の上だった。プーチンはこのときの経験から、ウラジオストクでも大丈夫だと決断したのだと思う。

 結局、会議場もホテルも新しいものがAPECに間に合うように建設され、プーチンの力が見せつけられた。

 

 プーチン次女がディズニーランドに

 

 ウラジオストクで開催された、ということ自体が、APECの議題とは別に重要な意味を持ってくるだろう。

 いろいろな不備を承知のうえで、ウラジオストク開催を決めたのは、ロシアの将来を考え、人口の少ないシベリアの開発、インフラ整備を進めたいという強い意志からだと推測できる。

 そのためには、極東の拠点としてのウラジオストクの都市基盤の充実が必要になってくる。

 プーチンは、日本の経済力、技術力に対して大きな期待を持っている。日本は、インフラ整備については、あらゆる分野に高度な技術とノウハウを持っており、これを活用しない手はないからだ。距離的にもロシアの中心であるモスクワやサンクトペテルブルクよりも、日本のほうが圧倒的に近い。

 私はシベリア鉄道を北海道まで延伸して日本とユーラシア大陸を直接つなげることをプーチンに提案し、同意を得た。実現すれば、世界の物流が変わり、日本とヨーロッパが直接鉄道で結ばれる。

 しかし、鉄道がつながっただけでは、ロシアにはうまみがない。人口が極端に少ないシベリアはマーケットとしては魅力が少なく、単なる通過点になりかねないからだ。

 日本の資本を素通りさせないための拠点の一つとなるのがウラジオストクだ。

 ロシアの歴史を紐解けば、ピョートル大帝がサンクトペテルブルクを「欧州の窓」として建設したように、プーチンは「アジアの窓」として、ウラジオストクを建設して、太平洋への玄関口としたいのだ。

 ウラジオストクの開発が進めば、日本経済にも大きな変化がある。いま、日本の大都市は太平洋側に集中しているが、日本海側に大きな港を持つ都市の可能性が広がる。

 ロシア、中国、韓国と、いま経済に勢いのある国との取引に有利な地理的条件を備えている。日本列島が鉄道でユーラシア大陸とつながることに加えて、日本海の海上交通も活発化すれば、日本国内の経済地図も書き換えられることになる。

 プーチンの思惑通りに計画を進めるための障害となるのが、北方領土問題であることは容易に想像できる。日本政府が一番重視しているのは北方領土問題だからだ。

 日本の支援を引き出すため、まずはこの問題を解決したい、実利を得るためには柔軟に対応したほうがいいと、プーチンは考えたのではないだろうか。

 日本の外交政策にとって一番重要なのは日米同盟であることは揺るがない。しかし、いま世界中の指導者を見渡してみれば、日本のことを一番よく理解しているのはプーチンといってもいい。

 本人も柔道家で日本文化に触れていることはよく知られているが、リュドミラ夫人と次女のカテリーナさんも親日家。特にカテリーナさんはお忍びで四回来日し、東京ディズニーランドなどで遊んでいることを私は確認した。

 これまでメドベージェフ大統領は、北方領土の視察を行ったり、北方領土に中国や韓国の企業を誘致しようとしたりと、日本への挑発を繰り返してきた。日本との協力関係を深めたいプーチンはメドベージェフのやり方にうんざりしていた。

 日本側がプーチンの意図を読み間違えなければ、確実に協力関係は進むと見ている。日本側も外交力に疑問符がつく政府だけではだめだ。

 経団連を中心に財界が主導して政官民が一体となって対応することがのぞましい。私は、その先駆けとしてプーチン大統領に直談判しに行きたい。」

 

 

 

 

 このブログを見るかなりの割合の人が倉山満氏を信頼しているかもしれない。

 倉山氏は、「プーチンは絶対に北方領土を返さない」という立場だ(倉山満「世界一わかりやすい地政学の本 世界のリーダーの頭の中」(ヒカルランド、2016年)293ページ)。

 「プーチンの本音」について飯島氏とは逆の見方をしていると言ってよいと思う。 

 

 

 

 

 飯島氏の3年前の「秘密ノート」と近時の報道をあわせて考えると、プーチン大統領自身は北方領土返還に前向きだけど、国内世論や議会が障害となっていると言えそうだ。

 しかし、返還する気などないのに、国内世論や議会の反発を言い訳にして、返還する気があるように装っているだけかもしれない。

 プーチン大統領が先月20日にあらためて北方領土の主権を主張したのは気になるところだ(http://www.sankei.com/world/news/161121/wor1611210033-n1.html)。

 北方領土返還交渉と関係があるのかはわからないが、対ロシア軍機のスクランブル発進が増えているのが気になる(http://www.mod.go.jp/js/Press/press2016/press_pdf/p20161014_05.pdf)。

 ロシアが平和で友好な露日関係を築こうという意志を持って平和条約締結交渉に臨んでいるのならば、対ロシア軍機のスクランブル発進は減ってもおかしくないように思う。

 とはいえ、プーチン大統領は「中国の封じ込めと極東開発」をどうするつもりなのか。極端なことを言えば、元島民には申し訳ないが、北方領土返還は100年先でも構わないと言い得る(<9日追記>元島民の思いと日露首脳会談を解説したものとして、http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/258653.html)。他方、ロシアの極東開発はそんなに待っていられず、一刻も早く進めたいのではないか。

 

 ロシアはヤルタ協定を主な根拠として北方領土の主権を主張してきた。

 しかし、その主張の正当性が揺らぐ資料が発見された。

 プーチン大統領の北方領土の主権に関する主張の正当性も薄れた。

 

 

「国際的取決め」 内閣府HP

http://www8.cao.go.jp/hoppo/mondai/03.html

 

■ ヤルタ協定(1945年2月)

 

1945年2月に署名されたヤルタ協定では、樺太の南部及びこれに隣接するすべての島はソ連に「返還する」こと、及び千島列島はソ連に「引き渡す」ことが書かれています。
ソ連は従来から、北方領土問題についてヤルタ協定を引き合いに出していました。
しかし、ヤルタ協定は、当時の連合国の首脳者の間で戦後の処理方針を述べたに過ぎず、日本はヤルタ協定に参加していないため、この協定に拘束されることはありません。
また、そもそも同協定の内容はカイロ宣言に反しており、また米国政府も1956年9月7日のこの問題に関する同政府の公式見解において、この協定に関する法的効果を否定しています。」

 

「【ヤルタ密約秘話】 ヤルタ密約に疑念 英秘密文書で判明 ロシアの北方四島不法占拠が濃厚に」 産経ニュース2016年12月5日

http://www.sankei.com/politics/news/161205/plt1612050015-n1.html

 

「 「北方四島は第二次大戦の結果、ロシア領になった」。ロシアが領有権を主張する最大の根拠である「ヤルタ密約」(ヤルタ協定のうち極東密約)を交わした3カ国のうち、ソ連(当時)の領土占有に法的根拠がないとの立場を1950年代に鮮明にした米国に続き、英国が密約の有効性に疑念を示したことが英外交公電で明らかになり、ロシアによる「不法占拠」が一層色濃く浮かび上がった。(ロンドン 岡部伸)

 ヤルタ密約は、連合国首脳が交わした軍事協定にすぎず、条約ではなく国際法としての根拠を持っていない。当事国が関与しない領土の移転は無効という国際法にも違反している。日本政府は「当時の連合国の首脳間で戦後の処理方針を述べたもので、領土問題の最終処理を決定したものではなく、当事国として参加していない日本は拘束されない」(平成18年2月8日、国会答弁)との立場だ。

 米国は戦後、日本の立場を支持し、ソ連の法的根拠を認めない姿勢を示してきた。米上院は1951年にサンフランシスコ講和条約を批准承認する際、ソ連に有利となるヤルタ密約の項目を「含めない」との決議をし、アイゼンハワー政権も56年に「無効」を発表。2005年には当時のブッシュ大統領がラトビアのリガで「ヤルタ会談は史上最大の過ちの一つ」と批判した。」

 

http://www.sankei.com/politics/news/161205/plt1612050015-n2.html

 

「 ところが、ロシアはソ連時代からヤルタ密約を最大の根拠に領有権主張を繰り返し、日本の外務省は「ソ連政府は『ヤルタ協定』により、択捉島、国後島、色丹島および歯舞群島を含むクリール諸島のソ連への引き渡しの法的確認が得られたとの立場を取ってきた」(同国会答弁)と説明してきた。

 露外務省は11年2月、北方領土に対するロシアの主権は「合法」であるとの声明を発表。その根拠を「第二次大戦の結果」とし、ヤルタ協定▽ポツダム宣言▽サンフランシスコ講和条約▽国連憲章107条(旧敵国条項)-で認証されたと強調した。

 プーチン大統領は15年9月の国連総会で「ヤルタ合意こそ世界に平和をもたらした」と語り、戦後の国際秩序の出発点と評価した。

 もう一つの当事国である英国は密約が米ソ主導で結ばれたこともあり、立場を明らかにしてこなかった。日本の外務省は英国の立場について、平成18年2月の国会答弁で「わが国の認識を否定するものではない」とのみ答えていた。

 ヤルタ密約に署名した3カ国のうち、ソ連以外の米英両国が「(密約は)法的な根拠に乏しく拘束力を持たない」との立場を取るとなると、密約を根拠に北方四島の領有を主張するロシアの正当性が一層薄れることになる。

 

「【ヤルタ密約秘話】 「当初から有効性に疑問 英国の立場を示す」 京都大学名誉教授 中西輝政氏」 産経ニュース2016年12月5日

http://www.sankei.com/world/news/161205/wor1612050015-n1.html

 

「 ヤルタ密約を結んだ3カ国の一つである英国は冷戦時代、フランスとともにソ連との正面衝突を回避するため、ヤルタ協定に対する立場を鮮明にしてこなかった。終戦から約半年後の46年2月、「密約」公表直前に英外務省が全在外公館にあてた公電は、内閣の了解を経た英国の公式な立場を示すものだ。公電は領土移転の署名をしたルーズベルト大統領が米国の大統領権限を越えていることや、米議会の批准もない状況下での有効性について疑念を示しており、英政府が当初からヤルタ密約の法的な有効性に疑問を抱いていたことがうかがえる。公電で疑問を呈した通り、数年後にアイゼンハワー政権が「密約」を無効とした米国と同様に英国が有効性を事実上否定していたことがわかり、北方4島の主権を主張するロシア側は一層法的根拠を失うことになるだろう。」

 

 

 北方領土返還交渉の基本事項については、↓の動画が参考になる。

 「○島返還」と、いろんな説が出ているが、どういう考え方でそういう説が出てくるのかが解説されている。

 

 

「【11月19日配信】日本の領土問題は2つだけ!小野義典の国際法講座~あなたならどうする?第8回「北方領土は返還されるのか? (領土問題・国家領域)」聞き手田沼隆志【チャンネルくらら】」 YouTube2016年11月19日

https://www.youtube.com/watch?v=4oFzCE578vs

 


 安倍政権を支持する者にとっては、北方領土返還交渉は論じ方が悩ましい。

 原則通りに全島返還を主張したいところであるが、これを強く言いすぎると、これが実現しなかった場合、安倍叩きに繋がりかねないという心配がある。わが国にはまともな軍事力がないため、外交交渉だけで北方四島すべての返還を求めるのはもともと望み薄のように思える。変な話だが、日本が弱いとロシアは北方領土返還について妥協しづらいのではないかと思う。

 上で中西輝政氏の見解を引用したが、中西氏は、北方領土返還交渉について、「二島返還は売国の行ない」という論考を書いている(「Voice 2016年12月号」(PHP研究所)44ページ)。もし二島返還で決着したならば、「安倍は売国奴」ということになり、安倍叩きキャンペーンの材料になってしまう。果たしてそれでよいのか。

 かと言って、領土問題について安易に妥協はしたくない。「妥協やむなし」と思ったとしても、全島返還を諦める世論を広げたくない(https://youtu.be/B6ym9vAcs2Y?t=16m38s参照)。

 

 

 

 

 5日、安倍総理大臣と菅官房長官はこう述べた。

 

 

「【日露首脳会談へ】 安倍晋三首相、北方領土「1回の会談で解決できる問題でないが、前進させたい」」 産経ニュース2016年12月5日

http://www.sankei.com/politics/news/161205/plt1612050023-n1.html

 

「 安倍晋三首相は5日午前、首相官邸で開かれた政府与党連絡会議で、15日に山口県長門市で開かれる日露首脳会談について「首脳同士、胸襟を開いて率直に議論し、平和条約締結交渉を前進させたいと考えている」と意気込みを述べた。また、「一回の会談で解決できるような簡単な問題ではないが、高齢化されている元島民のみなさまのお気持ちをしっかり胸に刻んで、プーチン大統領との信頼関係のもとに着実に一歩一歩、前進させていきたい」と強調した。

 一方、菅義偉官房長官は5日午前の記者会見で、3日にモスクワで行われた日露外相会談に関し「領土問題、平和条約締結問題をはじめ双方が満足するような意義ある成果を上げるために何が必要か、日本側の考えをしっかり伝え、首脳会談につなげるための有意義な会談だった」と指摘した。

 また、北方領土での共同経済活動について、ラブロフ外相が外相会談後の記者会見で、安倍首相から提案があったと語ったことには「ラブロフ氏がどのような会見をしたか承知していない」とした上で、「事柄の性質上、首脳会談での具体的なやり取りは、コメントを差し控えたい」と述べるにとどまった。

 両国政府が共同経済活動を以前から協議してきたとの一部報道にも「わが国の法的立場を害さないとの大前提で行われるべきであるということは、全く変わっていない」と説明した。」

 

 

 北方領土問題について決着を付けず、「一歩前進」という程度の内容で先送り、ということもあり得るのだろうか。

 国民としては見守るほかない。

 北方領土を治める法的正当性はわが国にある。

 北方領土についてわが国の法的立場を害さないように、政権担当者には力を尽くしてほしく思う。

 

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